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時の沼地(詩)

時の沼地に足を取られて 動けないよ
雲も星も流れていくのに 動けないよ

僕だけ何もかも出来ない そんな夜
雨を飲んで生きるしかない そんな夜

意味を下さい 誰か下さい 分けて下さい
そんなの貰ったって 意味がないのに
本当は知ってるけど 祈ってしまうんだ

時の狭間で泣いてばかりで 動けないよ
静かに鳴く蛙の音聞きながら 動けないよ

そこまで必要な人じゃない そんな夜
そう自分で思ってしまった そんな夜

価値を下さい 誰か下さい サイン下さい
そんなの貰ったって 変わらないのに
本当は知ってるけど 売ってしまうんだ

不安定さが絡まって 変な嘘をついて
誰も笑ってくれない 凄く痛々しいから
それで目を閉じて 押しつぶされるの待ってる

何か下さい 誰か下さい それすら知らない
そんなの言われたって どうしようもないのに
本当は知ってるけど 頼んでしまうんだ

不安定さが絡まって 変な嘘をついて
誰も笑ってくれない 凄く痛々しいから
それで嫌気がさして 昔の事を考えている

時の沼地を足を取られて 動けないよ
雲はもう風に吹かれていった 動けないよ

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