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銀河売りのバラッド

シロクマ文芸部さまの企画に参加させていただきました⁠(⁠^⁠3⁠^⁠)⁠

「銀河売り」?
 
 電柱に貼り付けられた短冊のようなチラシが目に入った。
 
「くだらねぇなぁ」
 
 彼は祖父が酔っ払うとよく話していた、どこかできいたような昔話をつなぎ合わせた、どうしょうもない話を思い出した。
 
 ある日じいさんは山にキノコ狩り、ばあさんは川で銀の魚を捕まえようとしていたら、大きなウリが流れてきた。ばあさんはそれを拾ってウチに帰り、じいさんに切ってもらった。そしたら中から可愛い赤ん坊が出てきた。女の子だった。その子はキノコよりタケノコが大好きでたくさん食べた。
 そして、あっという間に大きくなって、7年目の七夕の夜、空から黒い汽車がやってきた。姫さまはそれに乗って月に帰って行ってしまった……残されたじいさん、ばあさんは悲しくて悲しくて、泣いて泣いて、その涙の粒たちが天の川になったってヤツだ。
 
 その後、必ずミルキーをくれたんだが、いつのヤツかわからないから庭にいるアリンコにプレゼントした。
 
 カバンの中からペンを取り出し、ちょっとイタズラ書きをしてみる。
 
「銀河」のあとに「鉄道」、「売り」のあとには丁寧に「ます」もつける。
 
【銀河鉄道売ります】
 
 はは、過去から宮沢賢治がやってきて買ってくれるといいな。
 
 次の日、その電柱を見たら「銀河鉄道」の間に「999」が足されていた。