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『ゴールデン・リバティ』観劇納めと「本を作りました」
12月14日の月組公演『ゴールデン・リバティ』『PHOENIX RISING』が2024年の観劇納めでした。『ゴールデン・リバティ』はとにかく大野拓史先生の大劇場新作というだけで感無量。このあと間髪入れず宙組大劇場公演『宝塚110年の恋のうた』、そして同じ月組の全国ツアー『花の業平』再演が決定済み、とたまさかの演出作つるべうち大野フィーバー大満開ぶりにいったいどういうこと、殺す気(忙しさで大野先生を)!!? と悲鳴と狂熱が絶えることを知りませんが、ともかくいまは「名前と訂正の活劇」とでも言うべき『ゴールデン・リバティ』の「言いたいことがありすぎてむしろ何も言いたいことがない」深い味わいにとっぷり浸っております。
別人のジェシーと間違われてサーカス列車に拾われたジェシーが、ジェシーは女性だったはずというサーカス団員の指摘によって、同行していた名無しの少年ならぬ少女にジェシーという名前を奪われ、否応なくとっさの思いつきでジョニーと名乗る羽目になるも、物語後半ジェシー=ジョニーの許から少女が姿を消したあと、本来サーカス列車に拾われるべきだった「本物の」ジェシーが現れ、それとともに少女に冠されていたジェシーの名前が宙に浮き、ジェシー=ジョニーがただのジェシーに戻ったタイミングで、名無しの少女の消息を知らせる新聞記事によって彼女の本来の名前が明らかになる。名前がひとの欲望や夢や野望を駆り立て、移動を促し、実際に人間同士が出会うことによって名前と人物の結びつきが不断に訂正されていく。特に(ジャンルとして)群像劇を謳っているわけでもそのように構成されているわけでもないのに、終盤でまるで群像劇であったかのようにそれぞれ顔と身体を具えた各登場人物たちの今後の人生に思いを馳せてしまうのが大野拓史作品のよさだなあということは、12月14日の『ゴールデン・リバティ』観劇前日の夜にたまたまスカイステージをつけたらちょうどプロローグが終わった直後あたりだった『エドワード8世』の前でそのまま身動きが取れなくなり、2012年の大劇場公開以降すでに何度観たかわからないくらいであるにもかかわらず、今回は先日行ったばかりの霧矢大夢コンサートで歌われた「退位の歌」の余韻も相俟って、涙ぐまんばかりに胸を打たれながらしみじみ感じていたことでもありました(『柳生忍法帖』堀の女たちのように「わたしも尼寺で菩提を弔って生きたい……」と思うよね!)。
ところでこの度、本を作ってみました。noteに投稿してきた記事を本という形式に沿って再録ならぬ「再演」したという体になっております。柿内正午『会社員の哲学』の「この世にゴミは多ければ多いほどよい」(大意)という言葉に勝手に励まされつつ、けっきょく自分の読みたいものは自分で書くしかないという半ば諦めのもと、ただただ宝塚のことだけを考え、ひたすら宝塚のことだけを書いていればよいというこの上ない喜びの時間をみずからに享受させるべく粉骨砕身で「再演」に勤しんでおりましたら、気がつけば活字ばかりで100ページ近くなっておりました。
先日、文学フリマ東京39のちゅいんぐゎさんのブースに先行で置かせていただきましたところ、何人かの方にお手にとっていただけたと聞いております。来年の1月19日の文学フリマ京都9では個人ブースを設けて出品させていただく予定です。
以下詳細となります。
【文学フリマ京都9】
📍ブース:き-74
🗓1/19(日) 11:00〜開催
✅入場無料
🏢京都市勧業館「みやこめっせ」1F 第二展示場
📕イベント詳細→ https://bunfree.net/event/kyoto09/ https://c.bunfree.net/e/dNR #文学フリマ京都
![『牧童日記』の表紙](https://assets.st-note.com/img/1734954604-Iv4OBTbNfycKngejZLrMdHDk.jpg?width=1200)
今後もできれば関西方面の即売会に参加できればと思っております。またBOOTHでの販売もはじめてみましたのでご利用いただけましたら幸いです。
(送料高いよなあと思って価格を100円下げて販売しているのですが、これってどうなんだろう……)