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検査室にエースはいらない
前回のnoteでは「検査室はサッカーだよ」ってお話はしました。
サッカーを例に、チームの本質的な成功について考えてみましょう。
全員ストライカーは成り立たない
もしフィールド上の11人の選手が「我こそがストライカーだ!」なんてことになったら、どうなるでしょうか?守備の選手がいなくて失点しまくりですよね。
これは臨床検査室でいうならば「自分がやりたい検査だけをやる!」みたいなワガママ放題,まるでサル山の大将を決める戦いみたくなります。自分が一番だと,誇示し合うなんとも愚かな光景ですね(サルはいいんです、サルの世界があるので)。
現実は,みんながみんな,自分のやりたいことをできるわけではないです。やっぱり個々の能力というものがありますし,チームのバランスもあります。妥協してもらうことが必要になってくるんですね。
全員前線作戦が招くもの
実は僕,過去に「全員がエースになるチーム」というエレガントかつビューティフルな幻想にハマったことがあります。30代前半、ひとつの部署を任された時でした。
みんなと話し,さまざまな議論をして、「それは俺がやる!私がやる!」と手を挙げまくった結果、何が起きたと思います?見事に、誰も責任を取らない、中途半端な成果しか生み出せないチームになってしまったんです。最終的な責任はリーダーである僕の帰属しますが,悪い意味でみんな自分の仕事に責任を持たなくなってしまったんですね。
やりたいことだけをやるというのは聞こえはいいですが,実際はいい意味での緊張感が生まれにくい環境です。嫌なことだけをやるのはどうかと思いますが,ある程度はプレッシャーや我慢があった方が,実はやりたいことができた時の爆発力がすごいんです。
個人的にはみんなが納得して仕事するというのが理想だと思っています。それは今でも変わりませんが,当時はそこへのアプローチや移行するタイミングを完全に見誤ったわけです。
新人は勢い、ベテランは経験,管理職は計算
前のnoteでも触れていますが,サッカーチームに例えると…
- FW(新人)
- MF(中堅やベテラン)
- DF(役職*主任クラス)
- GK(役職*責任者クラス)
という感じでチーム形成することが必要だったんんですね。
しかし,当時は「全員FWだ!カウンターも守備もオレがやるから存分に暴れてくれ!」みたいな感じでした。ハマればいいですが,ハマらなくなった時に崩壊を起こし始めました。
そこそこキャリアを積んだメンバーが,なかなか結果を出せない新人を批判したり,新人は新人で先輩の言い方があーだこーだと、自分のことだけを考える様になり,ゴールまでノッキングを起こしたんです。まあ当然ですよね,そこのポジション,人たくさんいますもん。うまく動けるわけがないんです。
全員エースは幻想
ここから得た教訓は『役割分担をしっかりと明確にしましょう』ということです。当たり前のことではあるんですが,いいチームを作ろうとすればするほど,みんなを満足させて輝かせたくなるんです。今では新人リーダーが陥る罠だったなと。
はっきり言います。「全員エース」は幻想です。
むしろ、「全員が自分の役割はこれだ!」と言い切って,それを中心に能力開発していくことが実はいいチームを作るコツだったりします。イコール,それがチーム力を上げることになります。
僕の失敗談から学んでほしいのは、「みんなで頑張ろうは通用しない」「仕事を属人化しない」ということ。
それぞれの強みを活かし、互いを信頼し、補完し合うチーム。それが本当の"優秀なチーム"なんです。
この考え方はリーダーだけではなく,チーム全体で持っておいた方がいいと思っています。これが共通認識になればお互いの仕事が把握できる様になるので。
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