TLS2020 TOP4レポート

こんばんは、べーす(@Dull04)です。
先日行われたThe Last Sun 2020にて、4位という成績を収めることが出来ました。元々の予定から1年近くの延期を経ての開催。その度重なる延期から、デッキ選択や調整には本当に頭を悩まされました。折角ですので、その過程をここに記しておきたいと思います。

・権利獲得

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(上記リストからは《ニッサの誓い》4枚、《思考消去》3枚目、《時を解す者、テフェリー》4枚、《苦渋の破棄》が抜けております。)

フォーマットがパイオニアとレガシー、更には開催地が大阪。是が非でも参加したいイベントということで、予選の行客へ。レガシーでいつも通りのLandsを使うまでは良いとして、パイオニアで選択したデッキは5Cニヴ。ミッドレンジかつ多色。どちらも大好きな要素だったりします。
当時はデッキが60枚で、序盤のマナ加速は《森の女人像》という形が主流でした。バーンをはじめアグロ相手には信頼できる壁となり、マナ基盤も安定していたものの、自分の全体除去に巻き込まれる点が不満でした。

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そこで採用したのが《樹上の草食獣》です。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が絡むと1→3→5で3t目に《ニヴ=ミゼット再誕》に繋がり、《時を解す者、テフェリー》の壁になり、《ニッサの誓い》と各種トライオームでタップインを刻むなど、デッキに非常にマッチしたカードでした。相変わらずバーンに強く、加えて"到達"能力のおかげでスピリットも受けられます。

またパーマネントが並ぶ関係上《空を放浪する者、ヨーリオン》との相性が良く、しばしばスロットに悩まされる5Cニヴに欲しいカードを全て取れるなど、60ニヴの不満点をほぼ全て解消したリストでした。当時ではトップクラスのデッキパワーを持っていたと自負しております。

このデッキは権利と2Bye目を獲得するなど非常に強力でしたが、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《時を解す者、テフェリー》を失ったことで一線を退くこととなります。対コントロールへのプレッシャーを失ったことで《ニヴ》《創造の座、オムナス》、後の《星界の騙し屋、ティボルト》に除去を当てることが容易となり、リソースがあっても勝ち手段が無い場面が頻発しました。また、攻めの起点全てに《霊気の疾風》が当たるため、青くキルターンの早いデッキを全般的に苦手とすることとなりました。加えて《狼の友、トルシミール》無しにはバーンにも勝てません。

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「うーん、序盤の加速が足りないなあ…せや!らせんや!」

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「今度はめっちゃフラッドする。受けれてカウンター効かんやつ…!」

・・・

・・・・・・


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とはなりませんでした。気づけば《ウーロ》の幻影を追っており、終ぞその穴が埋まることはありませんでした。そうして5Cニヴを諦め、開催が告知される度に話題となったデッキを試すようになります。

・延期に次ぐ延期

コロナウイルスの流行具合に拠るとはいえ、パイオニアは新弾が出る度に環境が変動したため常に情報を追いかけ続ける必要がありました。

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3リーグほどでの感想なので精度は低めです。結果として夏の開催も見送られ、200チケットほど失っただけの結果となりました。

さてワクチンも出回り、時は10月。11月に今度こそ開催されるのではないか、という運びとなりました。環境のトップは皆様ご存知イゼットフェニックス。これが非常に強く、私が試してもリーグで安定して4-1と3-2を繰り返します。
但し、デッキが強すぎること。これはこれで問題でした。TLSという場の参加者は最低でも競技勢、上を見ればスポンサードやプロといったプレイヤーが多くを占めます。つまり、自分より上手い相手にミラーマッチで勝ち切れるかがポイントとなります。
イゼットフェニックスの同型は《パズルの欠片》や《宝船の巡航》をはじめ、相手にブン回られると手数が追い付かずジリ貧になってしまいます。他方《神々の憤怒》や《マグマのしぶき》など、メインボードから同型を意識した構築も可能と腕が出る反面、これを押さえてプロに勝ち切る自信はありませんでした。
自分はこのトーナメントで弱者である。これが私の結論です。

・デッキ選択

トーナメントにおけるデッキ選択について -強者か、弱者か- 
これは私の大好きな記事なのですが、TLS2020というトーナメントの直前はこの弱者デッキの調整に時間を割いておりました。具体的にはMtgGoldfishで15番目に掲載されていたデッキ、「白黒ヨーリオン」になります。

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イニストラード-真夜中の狩り-で追加されたカード、《忘却の儀式》。この追放除去がイゼットフェニックスに強そうで、豊富な除去とライフゲインからバーンとウィノータに戦えそうというのが所感でした。また今回、パイオニアラウンドの2Byeを持っていることでメタ外のデッキとは当たらないことが期待できます。
一方で元々のリストは除去とドローと勝ち手段の役割があまりにはっきりしており、安定性に難がありました。それを踏まえて調整したのが上記のリストなのですが、3リーグほど回して新たな問題点が明らかになりました。

・問題点1 : コンボにマグロ
見ての通り、相手ターン中の干渉手段は僅かな除去のみです。更地の盤面から《ボーラスの城塞》1枚に捲られるのはあまりに悲しいものがありました。またクロックが細すぎるため、ロータスコンボにも勝てません。《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》も他に打点がある訳でもなく、解決策には程遠かったというのが結論です。

・問題点2 : コントロールに勝てない
単純に除去が死に札になるため、ドローに秀でた相手が有利になるのは自明です。ハンデスから《ヨーリオン》のブリンクを通して一時的にアドバンテージを稼いでも、その半分が腐っていては意味がありません。

・問題点3 : 序盤の再現性が低い
除去コントロールの宿命として、最序盤の動きは相手に依存することになります。現リストで能動的に動けるのは《スレイベンの検査官》《魅力的な王子》《メレティス誕生》の3種。元々のリストは《王子》すら入っておらず、土地と除去と展開札をバランス良く引くことを要求されておりました。相変わらず引きが偏ると簡単に死ぬ上、80枚というデッキ枚数がこれに拍車をかけます。

・問題点4 : イゼットフェニックスに負ける

本題です。単純に4/3/2飛行速攻が打点を稼ぎ、追放除去はその豊富なリソースから自殺するなど、意外とゲームを零しました。また主な勝ち筋はクロックを捌ききってのLOになるのですが、そこで《神秘を操る者、ジェイス》で捲られることも。PWはソーサリーでしか触れないんですねー…

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これを踏まえて調整したのが上のリストになります。変更点は以下。

・《王子》4枚目
《検査官》のブリンク、ライフゲイン、占術2と序盤の役割を持ちつつ《ヨーリオン》ともシナジーする最高のカード。文句無しの4枚です。

・《ヨーリオン》4枚目
このデッキのリソース源はこのカードに依存しています。1枚も引けないと途端にジリ貧になるため4枚。単純に5/4/5というサイズも強力です。

・《塵へのしがみつき》
対イゼットフェニックス最終兵器。また、コントロールには恒久的なドローとしても役割を持てます。意外と墓地が溜まらないのが難点。

・《精神迷わせの秘本》
《裏切る報い》《ヨーリオン》以外のリソース源として辿り着いた1枚。対アグロには占術でカードを探しつつライフゲインでき、《ヨーリオン》はカウンターをリセットしてくれます。設置コストも軽く、見つけたときは流石にテンションが上がりました。

・《食肉鉤虐殺事件》
シンボルの薄い全体除去兼勝ち手段。基本がトークン戦術なのでライフルーズがかなり嵩みます。アグロ相手のライフゲインも勿論強力で、デッキに非常にマッチした1枚でした。対ウィノータへの最高の回答。

・《屍呆症》4枚
コンボはパーツをぶっこ抜けば勝つ!よって4枚!!
…という単純な話ではありませんが、それほど不利なのは事実。またイゼットフェニックスには《孤光のフェニックス》を抜くことでデッキを機能不全にします。

同時にマナベースを調整して完成っ…!

しかし私が実際に使用したのはカバレージの通りボロスバーン。
そう、このデッキはなお致命的な弱点を抱えているのでした。

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それはウィノータに勝てないこと。体感1:9です。

一たび《軍団のまとめ役、ウィノータ》が機能すると、事実上の速攻クリーチャーが大量に並び、大ダメージを受けつつ全体除去を要求されます。そのため基本的にはインスタント除去を構え続けることとなり、今のウィノータにはこの動きを強烈に咎めるカードが多数存在します。そう《不吉な首領、トヴォラー》《エシカの戦車》、そして《レインジャー・クラス》です。

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此方は常に2マナを構えているのに対し、悠々と展開されては追いつけるはずがありません。そもそも非人間が1体いるだけで《ウィノータ》に怯える必要があるため、除去はすぐに尽きてしまいます。そして全体除去の隙に走ってくる《戦車》と《ハイドラの巣》。
文面だけでもその相性はおわかり頂けるのではないでしょうか。

ウィノータはイゼットフェニックスには不利なものの、次いで高いデッキパワーを誇り、それなりな使用者がいることが予想されます。加えて2番手のバーンは有利に見えて《乱動する渦》が致死的で、環境の2番手3番手に弱いデッキを選択する理由はありませんでした。
この判断を受け、イゼットフェニックスに有利かつ同型とウィノータに勝ち筋を担保できるデッキ、ボロスバーンを選択することとなりました。

・いざ本戦

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元にしたのはみっくすさんのリスト。ただ《棘平原の危険》がマナスクリューの受けとして全く嬉しくなく、1点もカードとして不足と感じたのでそのスロットを調整。《大歓楽の幻霊》と《砕骨の巨人》はメインに採るとウィノータに手数で追いつけないため解雇し、同型で強い《巨人》だけをサイドに4枚。空いた枠に同型意識の《灼熱の血》2枚、追加の1マナ火力として《乱撃斬》、最後にスクリュー受けとして一番マシな《ラムナプの遺跡》を採用して75枚が完成です。

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Landsはメインの60枚は固定。自信をもって最強の60枚のリストです。
サイドボードは《活性の力》《抵抗の宝球》を削り、《紅蓮破》《Drop of Honey》を採る対URシフト。今回のメタゲームにおいてURデルバーが最強なのは自明で、プロ勢はこれを選択すると予想。直前のエタパの結果から《狡猾の宮廷》はよりメジャーになると読み、《紅蓮破》枠は久々の4枚目を。そして割を食うのはURに強くないDoomsdayと、エタパの優勝で《溶融》が増える青単親和、ということでそこに対する2枠を削った形です。そもそもDoomsdayはデッキが難しく、熟練のレガシー勢以外は選択しないと考えました。ちなみに、《Drop of Honey》は単純にカードが弱いです。メタが極端に寄らない限り使わないことを推奨します。

・本戦レポート

R1,2 : BYE
予選を3回抜けていたため、パイオニアラウンドを2つスキップ。パイオニアがトータルで3-2という成績だったので、この2勝は本当に有難かったです。

R3 : 青白ハサミ(こちょむ)
G1 : 土地が2でストップし、しかもクリーチャーしか引かない展開。ブラフアタックを通しつつ何とかダメージレースをするものの、ラストターンで適切なブロックをされ1点足りず負け。
G2 : 《ウォーターディープの黒杖》とのすれ違いレースでジリ貧となる滑り出し。そこで引いたは《舞台照らし》、捲れるは土地と《損魂魔道士》。出すと手札の《灼熱の血》が唱えられないが、盤面が弱く自身に速攻も無いため仕方なくプレイ。返しに《静寂をもたらす者》へ《きらきらするすべて》がついて5/6絆魂が爆誕。負け。

R4 : ラクドスアルカニスト
G1, G2 : 2戦とも相手がフラッド気味で押し切り。

R5 : 80アルーレン(こちょむ)
G1 : 《否定の力》ケアでメインにマリットを出したら《虹色の終焉》。60枚と80枚は別デッキということを失念しておりました。
G2 : 《森の知恵》でゴリゴリにデッキを掘って圧殺。
G3 : マリットは《剣を鍬に》で除去され、返しにコンボスタート。《罰する火》を回収し損ねたせいで1手が足りず、そのまま完走で負け。

R6 : 赤単プリズン
G1 : 顔キープで1t《血染めの月》される。ただ《金属モックス》2枚と《猿人の指導霊》という無茶な展開だったので、《ヴァラクートの探検》で何とか粘る。残念ながら重なることは無く、12までライフを削ったところで負け。
G2 : 3tマリットが間に合って勝ち。
G3 : 相手3マナ持ちの3t目。《エインジーの荒廃者》がいる場面で《軍勢の戦親分》を展開、これに《罰する火》を当てると3ドローには《血染めの月》。これで1tズレたおかげでマリットが間に合い勝利。《戦親分》が通っていた場合は、3ドロー+次ターンの1ドローに速攻持ちが出れば勝ちと受けは広め。結果的に勝ちの目を拾ったものの、受けをしっかり意識することが重要だと認識させられました。

R7 : エルフ
G1 : 《垣間見る自然》が3枚でストップ。いなしてマリット召喚して勝ち。
G2 : 互いに何も引かず、1/1の群れに小突かれる展開。最終的に《輪作》を引いて《Glacial Chasm》とマリットの両受けの盤面になり、《暗殺者の戦利品》が無いのが透けたので展開。数ターン前から雑なフルアタックになっていたので《忍耐》を討ち取って返しで20点。勝ち。

R8 : URデルバー(おたっくんさん)
G1 : 虐殺。
G2 : 速攻でマリットを展開。途中《水没》ケアを忘れてフェッチを起動し、何も置かないという失態を犯すも何も引かれず勝ち。

6-2で1日目を折り返し。
1敗が許される位置で再びのパイオニアラウンドへ。

R9 : 果敢バーン(オレンジさん)
G1, G2 : 構造上相手からスペルを撃ってくれるので、それに除去を合わせる展開。無理な攻めを続けてくれたので捌いて勝ち。

R10 : ボロスバーン
G1 : 火力を全く引かず肉ばかりが並ぶ展開。そこに出てくる《大歓楽の幻霊》2体。盤面を突破できず此方から動くことを強要され、そこに火力が飛んで負け。
G2 : 相手の《夢の巣のルールス》を《砕骨の巨人》で処理する上々の立ち上がり。ただその後は互いに《岩への繋ぎ止め》や《灼熱の血》が重なり、ドローゴーが続く展開に。最終的に此方が土地を引いていた枠に3点火力を複数抱えられており負け。

R11 : ANT(MATさん)
G1 : 相手3マリ。此方も1マリ後2マナ+《踏査》+《ヴァラクートの探検》という対コンボには脆弱なハンドだったが、何とか繋がって《幽霊街》で土地を枯らして勝利。
G2 : 《モックス・ダイアモンド》《忍耐》《活性の力》《リシャーダの港》《リシャーダの港》《不毛の大地》《吹きさらしの荒野》という初手に、トップから降ってきたのは《抵抗の宝球》!! 対応で《渦まく知識》されるとそこに土地は無く、そのまま土地1で6tストップ。その間に《エルフの開墾者》も駆けつけて勝利。

R12 : 青単親和(さとれいさん、フィーチャーマッチ)
G1 : 《真髄の針》と《虚空の杯》X=2が直撃し、その後は土地しか引けず。しかし相手が《永劫のこだま》を起動したおかげで手札が回復した上、相手も展開が温く《死者の原野》が起動。何とか《輪作》1枚は引けたというちところで、いよいよ巨大な構築物トークンが《影槍》を携えてアタック。《Chasm》ループは遠く、《イス卿の迷路》は解決になっていないのでマリットを召喚。結果対応策は無く、《改良式鋳造所》の起動も半端だったため押し切って勝ち。
G2 : 《湖に潜む者、エムリー》が機能し始めたところで値千金の《カラカス》ドロー。そのまま盤面を誤魔化しつつマリットに繋いで勝ち。

9-35位抜け。

SE1 : ジェスカイフェニックス(おたっくんさん)
再戦。当然ながらレガシーは選んで貰えずパイオニアに。
t白要素があるものの、基本はイゼットフェニックスということで悪いマッチではありません。この点でどちらも環境トップに有利というデッキ選択は活きていたかと思います。

G1 : 《氷の中の存在》に2枚だけ入った《灼熱の血》2枚が重なって6点。更に《ヴィーアシーノの紅蓮術士》への除去のタイミングで手札に抱えるは《魔術師の稲妻》3枚!! そのまま押し切って勝利。
G2 : 相手2マリ。しかし《黄昏の享楽》が《黄昏の享楽》を呼び、攻め手が切れたところで《氷の中の存在》が覚醒。トップ火力条件で勝ちというところでドローは《ラムナプの遺跡》。起動に2マナ足りず負け。
G3 : 《黄昏の享楽》を見たことで《灼熱の血》を4枚in。ただ土地が2で止まった上に白マナを引かず、手札には《岩への繋ぎ止め》が3枚と《ボロスの魔除け》。一方の相手も《氷の中の存在》がカウンター1個を前にスペルを3t引けず。先に《聖なる鋳造所》に辿り着き、4点が通って勝ち。
本大会のパイオニアのベストデッキだったと考えます。

SE2 : 80アルーレン(こちょむ、フィーチャーマッチ)
G1 : 《森の知恵》2枚、《ヴァラクートの探検》、《壌土からの生命》を《虹色の終焉》2枚、《意志の力》、《生ける願い》+《忍耐》で全て対処され、場には《踏査》3枚を残すのみ。リソース源を引けばゲームになったものの何も引けず、《魔の誘惑》関係なくクリーチャーに詰められて負け。
G2 : 相手の土地が詰まり気味だったので、徹底的に縛る方針でゲームスタート。《貴族の教主》が出てきた返しで4マナが出せ、負けを覚悟するも手札に《魔の魅惑》は無し。その後は詰め切って勝利。
《Drop of Honey》の雄姿が見れますが、この2日で使ったのはこの場面だけです。何なら起動ラグのせいで負けかけてます。このカード弱いです。
G3 : 2マリに対して3t《魔の魅惑》で3kill。対応策は1枚も引いていないので何を返しても負けでした。

以上、TOP4まで。次はEternal Weekend 2021でお会いしましょう。
ご拝読ありがとうございました。

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