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ラガバン禁止後のLands

今現在、Landsは《ウルザの物語》を4枚採った形が主流となっている。
MTG Goldfish(以下金魚)に載っているリストは、細部の違いこそあれほぼ全てが《サーガ》4枚と3~5枚程度のアーティファクトに枠を割いた、所謂サーガLands(以下サーガ型)になっている。
一方の私はリアル、Magic Online(以下MO)の何れも《サーガ》を1枚のみとした純正なLands(以下純正型)を使い続けている。今回は、この2デッキの違いと使用理由について論じていきたい。

・はじめに

前提として、純正型とサーガ型は全く違うデッキである。
前者はコンボ要素を持ったコントロールデッキだが、後者はアグロデッキの側面がかなり強くなる。《演劇の舞台》《暗黒の深部》の《マリット・レイジ》コンボこそ共通しているものの、メインの勝ち筋が前者は《死者の原野》、後者は《サーガ》の連打による構築物トークンとゲームレンジが全く異なったものになっている。
《踏査》から《サーガ》。1tおいて2枚目の《サーガ》。構築物を生成しつつ《モックス・ダイアモンド》をサーチし《壌土からの生命》。そして《探検の地図》による後続確保。この速度は純粋なアーティファクトデッキの8castをも凌駕し得る。
一方で《森の知恵》《ヴァラクートの探検》を廃したことから、リソース源を《ローム》に頼り、サーチ先に枠を割くために一部の特殊地形を抜いている。良くも悪くも《サーガ》を中心に据え、それに依存した構築になっている。尤も寄せた方がより強力で、それで勝ち切れるのが《サーガ》の強みでもある。これは純正とサーガ型のどちらが優れているという話ではなく、環境によって使い分けるのが良いだろう。

・純正型について

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さて、上記が私の最新リストになる。
神河で登場した《耐え抜くもの、母聖樹》はやはり強力で、メインボードから《血染めの月》《基本に帰れ》《全知》《動く死体》を割れるなど、取らない理由は無い。ただ予てからの問題として枠が無く、仕方なく《幽霊街》を外すこととした。奇跡コントロール、ANTの衰退から基本地形を枯らす必要が薄いこと、《魔の誘惑》をはじめ《幽霊街》が欲しいマッチの殆どは《母聖樹》が当たることが理由だ。

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また《森の知恵》の3枚目を戻し、デッキ枚数を61枚としている。これは《敏捷なこそ泥、ラガバン》の禁止と《母聖樹》の登場による4cベースの《自然の怒りのタイタン、ウーロ》デッキの台頭を見据えたものだ。1枚分キーカードの引きやすさが損なわれるが、《エルフの開墾者》《輪作》というサーチ手段がある以上、特殊土地のデッキ内枚数が0と1では天と地の差がある。サイドボードに関しても同様だが、色が緑のため《忍耐》《活性の力》のコストは1枚分増えた勘定になる。この点も評価して61枚とした。この2枚が入る、あるいは《忍耐》のピッチを要求されるマッチで《森の知恵》が抜けることは無い。

因みに《森の知恵》の代わりに《サーガ》の2枚目と《改良式鋳造所》を試したところ、《鋳造所》の素引きがあまりに弱く、一瞬で抜けてしまった。比較的マナの潤沢な後半ですら余裕が無いのに、序盤に使える機会は皆無。事実上の1マリガンだった。《サーガ》の重ね引きが強力なのは認めるものの、後述のデメリットが目立ったこと、また3章をうまく扱えないことから1枚に戻すこととした。

・具体的な違い

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さて、ここでリストの違いを見比べてみよう。異なるのは下記のカードだ。

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大まかに言えばマナ基盤と勝ち筋、そしてリソースの枠を《サーガ》に寄せている。サーガ型は要求される色マナが比較的少ないものの、中盤以降のドローを発掘に頼ること、《森の知恵》が無いことからダブルシンボルの《忍耐》の採用には疑問符がつく。

さて、純正型のキープ基準と言えば《罰火》エンジンやリソース源の確保、あるいは3~4t目の《マリット》召喚が主だ。何れも序盤から展開できつつ、中盤~終盤まで役割を持てるカード達である。一方のサーガ型は前述の通りキープ基準、ひいてはゲームプランの多くを《サーガ》に依存している。《罰火》《マリット》の枠を削り、《知恵》《探検》が無いためだ。ここで最大の問題となるのが、《サーガ》1枚だけではゲームが成らないことである。8castのそれとは異なり、サーガLandsの構築物は単体では精々3/3で、そこから《サーガ》を重ねることで強力なプレッシャーとなっていく。1枚だけではゲームを組み立てるには力不足で、2枚目以降か《ローム》との併用が望ましい。則ち初手のハードルが相対的に高く、引きムラが生まれやすいという点が1つ目の違いである。勿論、重なった場合の爆発力は特筆すべきものがある。

・その他の違いと欠点

さて、1つ目の違いを記したところでサーガ型の欠点を挙げていきたいが、それにはまず環境を説明する必要がある。
結論から言うと、サーガ型は現環境に合っていないというのが私の所感だ。
現在、金魚のメタゲーム上位は次のようになっている。
URデルバー、デスタク、RBリアニメイト、ジェスカイコントロール、4cコントロール、エルフ、DD、GWデプス、8cast。
この内、サーガ型にすることで明確に有利になるのはジェスカイ、4cのコントロール2種とGWデプスだ。それ以外は同等か、純正の方が相性は良い。なお、ジェスカイに関しては純正でも既に有利で、GWデプスも五分だ。

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最たる例が対URデルバーである。サーガ型はURデルバーにさして有利ではない。このマッチで露呈する弱点の2つ目が、盤面形成に時間がかかることだ。構築物の生成にラグがあり、マナを大きく消費するため、基本的には相手のクロックが先行する。構築物のサイズが小さいため《濁浪の執政》を超える、あるいはかわすのに時間がかかる。中盤以降の相手クリーチャーは全て飛行持ちのため、そのまま詰め切られる。これが典型的な負けパターンになるのだが、これを抑える《マリット》《罰火》《迷路》《Chasm》の枠は削られている。また、デッキを掘る手段に乏しいため、ゲームプランの修正も困難である。同上の理由で、劣勢の盤面を覆すのも苦手としている。

弱点の3つ目が《サーガ》への依存性だ。
前述のとおり、このデッキの主な勝ち手段は構築物の量産となる。
現環境ではサイドボードに《溶融》《無垢への回帰》が2-3枚採られることはザラで、他の《サーガ》デッキ同様に致命傷となる。8castではこの対応にピッチカウンターを使えるが、サーガLandsはただただ盤面が崩壊するだけだ。なお、純正で《サーガ》を意識させたプレイをすると、《溶融》をサイドインさせることが出来る。《モックス》が流れる可能性はあるが、基本的には無駄牌とできる。

8castの話が出たところで、弱点の4つ目は《サーガ》同型である。
サーガLandsに登場するアーティファクトは《モックス》4枚とサーチ枠3-5枚、そして構築物自身ということで標準サイズは3/3。良くて5/5といったところだ。他方アーティファクトを主体としたデッキでは、1体目から5/5を超えることは珍しくない。《不毛の大地》や《ローム》といった搦め手を用いれば良い話ではあるが、基本的には盤面を支えることは困難である。

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続けて5つ目が《Chasm》を採れないこと。
《河童の砲手》擁する8castが流行っている現状、純正型での《Chasm》は必須枠と言って良い。加えて先のメタゲーム上位でもDDとコントロール2種を除き、一頻り有用なカードでもある。しかしサーガ型では構築物が殴れないデメリットが顕在化する。加えて土地が並びづらいこと、受けるカードに乏しいことから運用のし辛さが目立つこととなる。

最後に、マリガン耐性を挙げておく。《サーガ》は2t後に自壊してしまう。《モックス》を残すにも土地を要求し、《地図》と構築物生成の同時起動は不可能である。このことから、最序盤~中盤のマナソースとして運用するには《ローム》か、潤沢な土地が必須となる。そして《ローム》が無く土地が乏しい状況で、《サーガ》の運用がリスクとなるのがマリガン時である。《迷路》《Chasm》のような全くマナが出ない土地よりはマシだが、土地1枚分としてカウントするのはリスキーだ。1枚ならまだしも、枚数を重ねるとそれなりな頻度で発生してしまう。

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・まとめ

以上の欠点、メタゲームの背景から私は純正型を使用している。
因みに、純正型とサーガ型は後者がやや有利だ。同型において《母聖樹》のマウント力は凄まじく、五分~劣勢の盤面で回り始めると、捲るのはほぼ不可能。盤面を覆すには必須となる《踏査》《森の知恵》《探検》は全て割られ、サーチ先も《Taiga》2枚と《森》1枚しか無いため事実上のランデスがすぐに始まってしまう。《地図》は《輪作》と異なり手札に加えるためサーチ時のラグが無く、この《地図》にアクセスできる《サーガ》は4枚入っている。勿論この前段階での駆け引きも存在するが、ワンサイドゲームの展開も珍しくは無い。また一段ミラーマッチが不毛になってしまった。

以上、質問等があれば@Dull04まで。

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