宇宙は本当にひとつなのか
今回は村山斉氏の「宇宙は本当にひとつなのか」をご紹介しよう。
この本は講談社ブルーバックスの本で、いわゆる科学本のジャンルになると思う。タイトルが示す通り、多元宇宙、もしくは多次元宇宙についてわかりやすい例え(時に強引過ぎて余計訳が分からなくなることもあるが)で説明してくれている。
特に、印象的だったのが「ワープする宇宙」というリサ・ランドール氏による書籍で紹介されている歪曲する3次元空間という発想だった。
ざっくり行ってしまうと、3次元空間に時間の方向を加えて四次元空間として我々の世界は認識されているのだが、この4次元空間が5次元の空間から見ると歪曲しているというものだった。
何のことやらさっぱり、という印象をもたれるかもしれないが、3次元を2次元で描写すると、平面として表現されるが、その平面が歪曲しているということなのだ。
宇宙戦艦ヤマトをはじめとする多くのSF作品で登場するワープ航法は、この歪曲を利用して3次元空間のある地点からある地点をショートカットするというものなわけだ。
この世界に対するイメージは、自分に対してある想像を掻き立てさせてくれた。
それは、とある三次元空間の地点は、別の三次元空間と重なっているような場所があるというイメージだ。
空間が歪曲している以上、その空間の歪曲により、空間が重なるようなことがあるのではないか?しかも、その3次元空間の重なりは5次元の空間におけるねじれの関係にあり、5次元空間的にみると、ねじれてつながることになる。
鏡の国のアリスという作品をご存じだろうか?
彼の作品は、科学的に想像を掻き立てる描写が多くちりばめられていることで有名だが、その中で「鏡の国のお茶はおいしくない」という描写がある。
これは、鏡の国がすべて左右が逆になっている世界なので、異性体(同じ原子の組み合わせでも構造が異なるだけで性質が異なる物質のこと)の構造が左右逆転し、その物質の性質が異なることを描写しているものだ。
これと同ことが5次元的に歪曲した3次元空間の重なりで起きるとしたら……。
また、なぜ重力が電磁力に比べて非常に小さいのかという説明も本書ではしてくれている。
結論から言うと、3次元空間以外の次元に重力が漏れているから、その分弱くなるということだった。
そうなると、先ほどの5次元の歪曲により重なり合った3次元空間は異様な重力が発生する可能性を秘めている。
ブラックホールにおける事象の界面が3次元空間の重なりと影響しあったら何が起きるのか?
SFファンならずとも、宇宙には我々の想像力を刺激してくれる多くの事象が置き続けていることをイメージさせてくれる良本だったと思う。
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