第11使徒のATフィールドが描くもの
あんたにも好きなコンテンツってあるよな?
俺にも結構な数の好きなコンテンツってのがあるわけだけれども、映画公開の終了に伴って、完全に作品としての完成となるエヴァンゲリオンは、そんなコンテンツの中でも群を抜いて好きかもしれない。
もちろん回収しきれていない伏線とか残ってんじゃんかとか言うツッコミをあんたが入れたくなる気持ちもわかる。
それでもシン・エヴァンゲリオンをもって、コンテンツとしての完成となったってのもわかるだろ?
今回は、そんなシン・エヴァンゲリオンを見て、TV版を見直してみたって動画を見て、改めてTV版の一つの話について、メチャクチャ深いこと言ってね?って思ったことを報告する回だ。
まあ、例によって趣味よ。趣味。
俺の趣味話に付き合ってくれよな。
第13話「使徒、侵入」
今回このことを書くきっかけをくれた動画がある。
この動画をこさえているよしもんさんの感想ってジワる感じがして好きなんだけれども、今回取り上げられているのが第13話「使徒、侵入」だ。
TV版の使徒の中で、第11使徒はリリン(人類)以外では唯一の群体により構成される使徒だ。
そのことを端的に表しているのがこの13話の副題「lilliputian hitcher」(つなぎとめる小人たち)だよな。
この13話は俺としてはTV版エヴァンゲリオンの中で一番オモロイと思う話なんだよ。
よしもんさんも言う通り、この話は色んなことが立て続けに起こり続けるジェットコースタームービーのような作りになっているんだよな。
俺としてはこの話を見るためだけにTV版を見る価値があるとすら思う傑作なんだと思うわけだ。
今回はその様々な出来事の中で第11使徒について注目してみていってみよう。
群体で一つの意思を持つ意味
物語冒頭で第11使徒が来た段階で発現するATフィールド。
このシーンでまずオモロイと思うわけよ。
第11使徒はリリンと同じ様に群体で構成されているにも関わらずに、ATフィールドは共通している。
これは第11使徒は複数の個体で一つの感情を共有していることを意味している。
なぜって?
ATフィールドはabsolute terror field、つまり絶対恐怖領域だ。
つまりATフィールドは他者との断絶の象徴であり、その断絶の源は他者への絶対的な恐怖。つまりは感情だね。
同じ恐怖という感情を共有していなければATフィールドは共有できないってスンポーだ。
対して同じ様に群体で構成されるリリンには共有されている感情はない。
そいつは知恵の実を得た使徒としての宿命みたいなもの。
そのハリネズミのジレンマというテーマは作品全体を通じて描かれ続けているわけだ。
その象徴のように第11使徒のATフィールドは感じられたんだよね。
実際の人類が共感をする方法
このことを更に考えてみるとちょっとオモロイ。
実際のヒトという生き物は他の生き物と決定的に違うことがある。
それは虚構によって多数の個体が協力し合うという特殊能力だ。
このあたりのことはサピエンス全史が詳しく教えてくれている。
このnoteでも書いてみているので合わせて読んでみてくれよな。
同じヒトの中でもこれが出来たのはホモサピエンスだけで、ネアンデルタール人などの他のヒトには出来なかった。
なので、ネアンデルタール人は協力し合う事ができたのがせいぜい100人くらいまででしか無かったらしい。
対してホモサピエンスは宗教や貨幣や政治といった虚構で一致団結することが出来た。
その協力の力でホモサピエンスは他のヒト属を滅ぼしていった。
これってさ、エヴァンゲリオンで使徒同士が決して協力することがないこととなにか通じることがあるって感じないか?
サピエンス全史の初版発行が2011年だから、1995年に公開されているエヴァンゲリオンが影響されることはない。
でもそんな共通点がこの2つのコンテンツに見られるって結構衝撃的じゃないか?
聖書をモチーフに描かれたエヴァンゲリオンが実際の人類史とつながる部分がある。
これって聖書が一部の真理を描いている部分があるって意味なのかもな。
俺たちは絶対に一つの意識を共有できない。
でも共有したときと似たような効果をもたらす虚構という発明が出来たって真理をさ。
それと同時に虚構は社会という複雑なシステムを作り上げ、出自の違うシステムはお互いを傷つけ始めた。
ヒトが惟一持つ虚構による協力によって得られた巨大な力でね。
結果としてヒトという生き物は地球上の全ての生物を消し去るような力を抱えたまま、お互いの社会システムを抱えて生きているってわけだ。
まさに俺たちヒト=リリンが使徒だって言ってるも同然の状況なんだよな。
なあ、あんたはどう思う?
俺たちはいつか、全てのヒトで共有できる虚構を手に入れて、一つのATフィールドを得る日が来るんだろうか?
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