満員電車の同志
あんたは、今日どんなものを見つけた?
何気ない散歩をしていても、普段と同じことばっかりだと思っちゃいないか?
今日は日常の中にある何かを見つけに行こうぜって話だ。
そんなことを言ったって、日常なんてクソ面白くないことの連続だぜ?
あんたはそう言うかもしれないな。
そのクソ面白くないことってのを、一丁見つめ直してみようじゃないか。
例えば、通勤でものすごい満員電車に毎日乗っているとするよな?
その満員電車はあんたにとって苦痛以外の何物でもないと思う。
俺も毎日満員電車に乗っているからその辛さってのはすごくよく分かる。その電車に乗っている人全員が何も悪いことをしているわけでもないのに、それでも黙ってその満員電車で目的地に向かっている。
おそらくは、その先にある日常の仕事ってやつに向かうために。
「ほら見ろ。何が面白いもんか」
あんたの声が聞こえてきそうだ。
俺もそう思う。でも、そこであえて自分の視線をずらしてみたらオモロイと思わないか?
例えば、その満員電車に一体何人の人が乗っているのかって考えを及ぼしたことあるかい?
だいたい乗車率200%ってのが満員電車の一般的な数値らしい。いわく「体が触れ合い相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める」程度だ。
これで1車両あたり280人だそうだ。
10両編成なら2,800人が同じ思いを抱えながら過ごしているってことになるな。山手線なら5分に1本電車が来るから、1時間で33,600人が同じ思いを抱えるってスンポーだ。
それってさ?3万人もの同じ思いがそこにあるって意味だよな?
この思いが細分化されている世の中で、これほど同じ「思い」を共有する空間って無いんじゃないのかね?
そう考えると、周りのすごい数の人々が、途端にあんたと同じ同志に思えてきやしないか?
隣の仏頂面かかえたオッサンも、後ろでつらそうにしている女性も、みんなおんなじ。同志がそこにいると思ってみろよ。
そのときにあんたの心にある言葉はどんな言葉だい?
「うぜぇよ!こんちくしょう」
じゃないよな?
「今日も、頑張っていこうぜ」
かもしれないよな?
どっちの言葉があんたを幸せにする?
どっちの言葉があんたの好みだい?
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