沈黙の艦隊の政軍分離
あんたは沈黙の艦隊って読んだことがあるかい?
あのマンガってさ。
きっと読み始めることが出来さえすれば、誰もが夢中になるタイプのマンガだと思うんだよな。
※案件じゃないよ
緻密な戦略、大胆な戦術、人間模様。
どれをとっても読んでいる俺たちに鳥肌を立たせる力がある作品だと思う。
実際、あんたも読んだことあるんだったら、共感してもらえるかもと思って書くけれど、同じかわぐちかいじさんの作品であるジパングも軍事ジャンルのマンガなんだけれど、ジパングは「感情」の物語であるのに対して沈黙の艦隊は「思想」の物語だと思ったりもする。
今回はその「思想」について考えてみる回だ。
ちっと戦争ってものについて考えてみようぜ。
絶え間なく続く戦争
戦争ってさ。
ホント俺たちの日常に情報が入ってくるようになったのはウクライナ戦争以降だと思うんだけれど、それ以外にも世界中の何処かでしょっちゅう起きているんだよな。
エグいくらいの戦争や紛争が起きている。
なんでそんなに戦争が起きるのかってのは、めっちゃ色んな事情があるんだと想像する。
宗教、生命の維持、貧困からの脱出、国の存在意義。
ホント色々あると思う。
もしかしたら戦争や紛争という手段を使わんでも解決する手段はあったのかもしれない。
でも、戦争以外の手段を使うという価値観をそもそも共有出来ていないっていう事情もあると思うんだよな。
農業革命、つまり農業をすることで安定した食料供給を手に入れることが出来るとヒトという生き物が理解してからこっち、ヒトは地球の土地という有限なものを奪い合うことで歴史を紡いできた。
しかも土地の状況は温暖湿潤な農耕に適したものだけじゃない。
砂漠もあれば、ジャングルもある。なんなら年中凍りついているような土地もある。
日本みたいに気候としては農業に適しているかもしれないけれど、山岳地ばっかりで大規模農業が出来ないし、地震雷火事おやじに悩まされる土地ってのもある。
※おやじは万国共通かもだけど
そんな複雑な事情の中で戦争や紛争を減らす手段ってあるのか?
政軍分離という物語
そういう現実が横たわっているなか。
かわぐちかいじさんは沈黙の艦隊という物語を描いたんだよな。
その物語は全編を通して俺の胸ぐらをつかみかかられた様な衝撃を与えてくれたんだよね。
中でも俺を唸らせたのは「政軍分離」という物語だ。
国家から軍事という力を引き剥がして、世界でそれをシェアすることによって各国家の都合による戦争や紛争ではなくルールによる軍事行為に集約していけば、戦争や紛争が減っていくという考え方だ。
このあたりはガンダム00にも近い思想が見え隠れしてくるよな。
ガンダム00の場合は、政治というものに対して「汚いもの」という大前提を出している表現になっているから、あんまり政治にフォーカスした物語にはなっていないけれどね。
沈黙の艦隊の場合はガッツリ政治にフォーカスした表現になっている。
その中で表現された「政軍分離」という考え方は、読んでいた当初の俺にとって本気でこれが世界平和に向けた手段なんじゃないか?と思わせるほどのリアリティを感じさせてくれたんだ。
沈黙の艦隊が国際連合配下ではまずい理由
この政軍分離という物語には「軍隊」を政治から切り離すというのがキモなわけだ。
国の事情とかを考えずにルールだけに従って軍事行動するわけだからね。
でもそうなると、その軍事力を維持する集団はどこになるのか?
そこで意味を持ってくるのが「全人類が唯一共有できている物語」だと思うんだよ。
そりゃなんだって?
お金さ。
沈黙の艦隊の物語の中では「やまと保険」という形でお金という物語と政軍分離という物語をつなげている。
これによってヒトの意思という揺れ動くものから武力を分断させるというわけだ。
究極の法による支配ってやつだな。
なあ、あんたはどう思う?
今も起き続けている戦争や紛争をお金という物語でなくすことが出来ると思うかい?