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【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中健一編

あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい?

気になる企画があったんだ。

要するに高校生の甘酸っぱい話をみんなで書いてみようぜ。
登場人物は自由に動かしていいし、足してもいいからとりあえず甘酸っぱくしとこうぜって話なのかな?

企画ページそのものはこっちなのかな?

ということで企画者はうりもさんね。
#すっぱいチェリーたち
のタグをつけておいて、今までの登場人物を絡ませれば良いってことなのかな。

ということで、オモロイ感じがしたので、俺も参加してみよう。
せっかくだからこっちの話と絡めながらにしてみるかね。

あ、有料設定してあるけれど、全話無料で読めるんで。

こっちのが読みやすいかな?

こいつの主人公田中健一と主人公の宇利盛男うりもりおを絡めて書いてみようかね。

ちなみに今までの登場人物はshogoさんが記事でまとめてくれているから、今からおっつこうってヒトは読んでくれよな。

川辺の少年

その日の俺は1日外回りで、しかも真夏日が何日連続とか言う地獄の環境だった。
まあ、そんな日がたまにあるのは仕事だから仕方がない。
でも、こう毎日重なると流石に足元がふらついてくるってもんだ。

で、そんな日の最後の打ち合わせが終わって残務処理をするために会社に戻ろうとしていた時の話だ。

気分転換も含めて、少し遠回りになるが、まあ急ぎの仕事でもない。
近くの川沿いの通りを歩いて帰ろうとしていたんだ。

まあ、流石に夕方ともなればまあまあ気温は下がってくれていた。
川面から反射している夕日も素直に「キレイだな」なんて思って、「いい年してセンチメンタルに行こうとしてんじゃないよ」と思い返す。

そんなときだ。

その川べりの土手でどっかの制服をしている少年が同じ様に川面を眺めていたんだよ。

少年、おたがい色々あるよな。

そんなことを思って通り過ぎようとしたときに聞こえちまったんだよな。
「どうして俺は」って。

今回はオッサンと少年の一瞬の交流の話だ。

まあ、気張らずに少年の悩みを一緒に聞いてくれよ。

コーヒーでの出会い

これは俺の悪い癖だ。
なんか困っているやつを見つけると話を聞いてやりたくなる。いや聞きたくなる。

自分でも理由はわからない。
ただ聞きたくなるんだ。

聞いたことをどっかで話のネタにするわけでもないし、一緒に落ち込みたいとも困りたいとも思わない。
なんなら、ほっとくのが大人の対応だとすら思う。

でも、俺の悪い癖はその時も発揮された。

近くの自販機でコーヒーを2つ買って、少年の隣へと歩いていく。

そして、どっかと音がするくらいに少年の右側に座る。
当然ビビる少年。
そんなビビり散らかしている少年をまじまじと眺める。
ゴリラっぽい顔つきなのに、体は貧弱。
まるでひどいコラージュみてぇだと思った。

「悪いな、少年。君の独り言を聞いちまってさ」

少年は夕焼けに照らされている以上に赤くなっているのがわかる。
そらそうだ。見知らぬオッサンに突然声をかけられて自分の独り言を聞かれたってんだからな。

「まあ、そう固くならんでくれよ。少年をどうこうしようってわけじゃないんだ。コレでも飲んでくれ」

そう言ってそこで買ったコーヒーを渡す。
そう言って自分も同じコーヒーを開けて飲み始める。

夕方で気温が多少収まったとは言え、まだ蒸し暑い。
自販機の冷たいコーヒーでもちっとは生き返るってもんだ。

少年はおずおずとコーヒーを飲み始めた。
「苦っ」
少年は思わず声に出した。

そうか、ブラックはあんま飲まないか。そうかもしらんな。
「悪い悪い。その辺の自販機で適当に買ったやつだったんで、俺の好みに合わせちまった」

オッサンと少年

「川はいいよな」
俺は少年ではなく川を見ながら言った。

「ただただ上流から下流へ流れていく。まるで世の中みたいだ」
その俺の言葉を聞いて、少年は初めて言葉を発した。
「下流の人間は上流の人間の言うことを聞いてないといけないってことですか?」

そいつはえらく哲学的な問だな。
そんなことを思いながら、本質的にこの少年は頭の回転が速いんだって感じたんだよな。
なら、もう少し突っ込んで話しても良さそうだ。

たぶん、同級生と勝った負けたの類で落ち込んでる感じか?

「まあ、考え方しだいじゃないか?」
「はい?」
少年のマヌケな声が返ってくる。
まあ、そうなるよな。

「上流から流れてくる仕事をこなさなきゃいけない下流なのか。
それとも下流に仕事を流し続けなきゃいけない上流なのかってよ」

少年は目を見張った。
「そして、もう一つある」
「なんですか?」
「いつだって、そこには仲間がいるってことさ」

そんなときに一人の少女が少年に声をかけてきた。

「あれ?ウリちゃん、こんなとこでなにしてんの?ってかそのヒト誰?」
「だから俺は宇利盛男ってキッチリ名前があるんだから変なあだ名で呼ぶんじゃないよ!」

その姿を見て俺は思った。
大丈夫そうだよな。
「な、少年。言ったとおりだろ?」

少年は一度俺を見て、川面を見ながらこう言った。

「はい」
と。

そして
「ありがとうございました。あ、ええと」
「ああ、名前か。そんなンどうでもいいだろう?」
「いえ、教えて下さい」

あんまり真剣な目で見てくるもんだから、答えるしか無い感じになる。

「俺は、田中だよ。田中健一」
「僕は、宇利盛男です。コーヒーありがとうございました!」

そう言って少年は土手を駆け上がって友人の元に行った。
右手に空き缶を握りしめながら。

#歌えないオッサンのバラッド
※この少女が誰なのか。想像して遊んでください

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