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僕が甘え下手な理由

僕は生まれてから、
ずっと母方の家で育った。

なぜなら僕の父は、
母との結婚を機に婿養子になったからだ。
父はその際、姓も変えた。

その母は四姉妹の長女である。
つまり母方の家は、
祖父の弟以来、
ずっと男子に恵まれなかった。

そんな四姉妹の長女である母の
第一子として、僕は生まれた。

自営業を営む
母方の家にとっては、
待望の男子だったため、
曽祖父や祖父が大喜びだったことは
想像に難くない。

それからというもの、
僕は休ませてもらう暇もないくらいに、
色んな人達から目をかけられ、
自分が何かを欲しいと思う前に
物が与えられる、
そんな幼少期を過ごしてきた。

生まれた順番が早かったという理由だけで
僕が家族から与えられた愛は、
妹や弟が与えられたそれと比べて、
桁違いだったかもしれない。

実際に比べられるようなものではないので、
真偽は定かではないが、
妹や弟から理不尽だと
言われても仕方ないと思う。

そんな環境で育ってきた僕は、
誰かに何かを欲しいと甘える前に
当然のように色んな物を与えられていたので、
今では極度の甘え下手な人間に
なってしまった。

困ったときに、
他人へどうやって甘えたり、
ねだったりすればよいか
分からないのである。

そのあたりは妹や弟の方が、
他人に対して甘える力を
小さな頃から磨いてきていて、
心得ているので立ち回りが上手い。

甘え下手で、
人の懐に入り込むのが
あまり得意ではない僕は、
他人との距離感がうまく取れない。

仕事上も年上の人には
生意気だと思われてしまう傾向があるし、
年下の人には時に舐められることもある。

こんな僕でも自分より20歳~30歳ほど
年上のおば様層と接するのは
唯一得意としている。

なぜならば、事あるごとに
家族が集う母方の家で、
姉妹である3人のおば様達に囲まれて、
多くの時間を共にしながら、
育ってきたからである。

書き起こせるようなコツはないが、
本能的におば様達と
どう接すればよいか心得ているのだろう。

僕がもし自分で新たに
ビジネスを立ち上げるとしたら、
その層の人達を顧客に想定した
事業にしようと決めている。

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