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祝・電子書籍化! 冨田恵一『ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法』のレヴュー&感想をまとめてみました。

2014年7月の刊行以来、音楽専門誌のみならず、「日本経済新聞」「読売新聞」などの文化面でも話題を呼んだ本書。このたび、電子書籍としても配信されました。そこで、本書を読むかどうか迷っている方、難しい専門書ではないかと躊躇されている方へ、購読検討の参考になるよう、この機会に、著名な方々のSNSでのコメントを中心に、おもな書評や反響などを集めてみました!

担当編集者としては、音楽アルバムという録音芸術を愛する方全員に読んでいただきたいと思い刊行した本ですが、正直、音楽を語る文章としてはじめて目にする記述も多く(冨田さんの文章には、鑑賞者としての視点と、プロデューサー、プレイヤー、エンジニアという制作者の視点、さらにマクロなポップミュージック全般を語る視点が、自身の経験値をベースに、時に具体的に、時に哲学的に語られているので、そんな文章はこれまで読んだことがなかった!)、読者の方からどんな反応が来るのだろうか、とても心配でした。なので、ここにリンクを貼らせていただいたコメント以外でも、面白かったというSNSでの反応は大変心強いものでした。すべてを掲載できておりませが、お読みいただき、感想をくださった、みなさま、誠にありがとうございました。(編集部・稲葉)

まずは、『スタジオの音が聴こえる』『ポップミュージックのゆくえ』などの著作もある高橋健太郎さんは、SNSはじめ各所で本書を紹介くださっています。

そして、名著『アメリカ音楽史』でも知られる大和田俊之さん。

『うたのしくみ』などの著作のある細馬宏通さん。

音楽を専門とされていない方では、経営学者の楠木建さんがいち早く激賞くださいました。

スピッツのディレクター、竹内修さんも絶賛!

出版関連ブログでも知られる、本読み、空犬さん。読み物としても面白いと紹介くださいました。

文芸評論でも知られる栗原裕一郎さんの書評は下記で読むことができます。

刊行時の宇野維正さんによる著者インタヴューもこちらでどうぞ。

「読書メーター」にも現在(2020.6.26)30のレヴューがUPされております。ご参考まで。

最後に、著者の冨田恵一(冨田ラボ)さんの言葉を。

音楽から何が聴こえているのかを知るためには、とにかくひとつの作品を何度も聴くことだ。大量の本を読むよりも、1冊の本を繰り返し読む有益さは読書家の知るところであろう。(『ナイトフライ』「はじめに 繰り返し鑑賞できる芸術作品を味わうために」より)
まず知って欲しいことは、良質な音楽があるということ。その音楽は何度も聴かれるべき内容を持っていて、しかもそうすることはえらく楽しいということ。そして、本当は楽しいどころじゃなく、聴いているとびきり楽しい音楽にみなさんが近づいてしまうかもしれない、ということだ。(『ナイトフライ』「あとがき」より)

ナイトフライ新

『ナイトフライ 録音芸術の作法と鑑賞法』
冨田恵一 著
四六判・並製・296ページ
本体2,000円+税
978-4-90758-309-5
https://diskunion.net/dubooks/ct/detail/DUBK070

目次
はじめに 繰り返し鑑賞できる芸術作品を味わうために

序章 70年代から80年代へ Gaucho and Since Then

制作工程の変化と質感の変化
生演奏とプログラミングの真に異なる点とは何か?
個別のトラッキングによって見えづらくなった音楽的指針
80年代に新鮮だった音楽

1章 時代性と普遍性 ナイトフライ概要
《Nightfly》の持つ強度
歌詞と旋律と和声
工程が分断されないことの強み
シンプルなフォーム
和声とジャズ
なぜレコーディングは長期化するのか?
ヴォーカルの訴求力
デジタル・レコーディングの黎明期
打ち込みによるアルバム
時代性と普遍性を併せ持つ名盤

2章 効果と手法の因果関係を探る ナイトフライ各曲解説
I.G.Y. ポップであるということ
Green Flower Street SDマナーと80年代的解釈
Ruby Baby カヴァー曲の演出
Maxine なぜバラードを書いたのか?
New Frontier シングル・カット曲の意味
The Nightfly 変形ブルースをパターン認識したフェイゲン
The Goodbye Look 定形ではないフォームが絶大な効果を生む
Walk Between The Raindrops アルバムをどう終えるか?

3章 プロデューサー論 カッツに関する誤解
正しい方法論
〝プロデューサー〟という曖昧な表記

4章 エンジニア論 シャイナーとニコルズ
音のコンサルタント

5章 基準値0のコンセプト 同時代アーティストの82年、そしてナイトフライが残したもの
1982年
80sサウンド〜音色と音楽語法
フェイゲンの空白
感情を伝える
《Nightfly》が与えた影響

あとがき

コラム1 なぜ音楽家はテクノロジーにまい進したのか?
 コラム2 80年代を彩ったFM音源
コラム3 SDフォロワーとされるバンドたち
コラム4 ナイトフライ後のフェイゲンの特徴
付録 レコーディングの流れ
冨田恵一(とみたけいいち)

音楽家・音楽プロデューサー。
1962年6月1日生まれ。北海道旭川市出身。
キリンジ、MISIA、平井堅、中島美嘉、RIP SLYME、椎名林檎、木村カエラ、坂本真綾ほか、数多くのアーティストを手がける。
2000年には以後の日本の音楽シーンにおけるバラード楽曲のフォーマットになったとも言われるMISIA「Everything」をプロデュース。200万枚を超える大ヒットとなる。
セルフプロジェクト「冨田ラボ」としても活動。
音楽業界を中心に耳の肥えた音楽ファンに圧倒的な支持を得るポップス界のマエストロ。


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