オルレアンペスト拡張について

 オルレアンペスト拡張は、オルレアンの第3拡張になります。まだ日本語版は出ておらず、日本語版発売予定の発表もありませんが、日本語版で出版するに値する拡張といってよいでしょう。

英語版は、capstone gamesから出版

 本拡張では、新しい奉仕ボード(公共ボード)1枚が追加され、基本ゲームのものをこちらに置き換えるのと、各人に診療所ボード1枚とペスト医師駒が与えられます。また、イベント(砂時計)タイルが総替えになり、新たな施設タイル(場所タイル)が3枚追加されています。
 また、新たなチップとして、死体トークンが追加され、ほかにも免罪符カードという死体トークンを除去し、勝利点を与える一種の目標カードが追加されたことに加え、ゲームの展開を変えるセットアップカードとでも言うべき疫病カードも追加されています。

 死体トークンは、単なるお邪魔チップで、死体チップを引くとがっかりなのですが、これが基本的にラウンドの開始時に公開されるイベントタイルの処理フェーズに袋に入ってきます。このあたりが苦しい要素になります。
 ペスト拡張という毒々しいタイトルに加え、妨害要素的な死体トークンも加わるため、きわもののような印象を受けますが、至極まっとうな拡張でした。

 ヨーロッパを襲った黒死病(ペスト)については、歴史に関心のある方は当然お分かりでしょうが、本拡張の発売時期はちょうどコロナの時期に重なります。そこには、不謹慎な意図というよりは、疫病であるペストの惨禍とコロナの惨禍を重ね合わせるという鎮魂歌のような意味合いを感じます。
 個人的には、ペストの猛威が襲うオルレアンの町を、それでも経済を止めてはならないとして奮闘する人々といった感じで、独特の感慨を抱きました。そういう意味では、非常にテーマ性の濃い拡張という気がしました。

 ゲームに色々な縛りを与える疫病カードは、ゲームごとに3枚公開されゲームを変えます(合計で15枚ある)。リプレイ性も抜群といえるでしょう。オルレアンくらいの名作ゲームになると、どうしても定石のような動きが出てきてしまい、答え合わせのような感覚にとらわれることもありますが、本拡張はそういった弊害も防いでくれます。

 一応私訳してみましたが、商用利用、無断配布は禁止します。自分の基本版はアークライトの日本版なのでアークライトの訳をベースにしています。免罪符カードの地名などに言語依存があるので、日本語版が出てくれるとプレイしやすいと思います。



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