ドバイ法人の関係で税務調査に入られた話
はじめに
私のことを本当に税理士かと疑っている人もいるかもしれないので、たまには税理士っぽいことを書こうと思います。
ま、そこまでの認知度はありませんが(笑)
ということで、今回は日本の法人でドバイの法人の売上の回収代行を行っている法人に税務調査が来たときのお話しをします!!
簡単な経緯
わたしが顧問している法人の代表者からいきなり電話ががかかってきて、「急に税務署が来て資料を全部持って帰った!!」と伝えられました。
通常、税務調査がある場合は、事前通知というもので顧問税理士(顧問税理士がいない場合には法人の連絡先)に税務調査前に連絡が来ます。
これが行われないことも稀にあるのですが、そのような場合というのは、証拠書類等の隠蔽の恐れがあるような場合に限られます。
今回は税務署の判断でそのような判断だったのでしょう。。。
ちなみに今回の調査は税務署と国税局の合同調査で、資料調査課(通称「料調」)という課が来ました。
みなさん資料調査なんて部署はほとんど聞いたことないと思いますが、資料調査課が来るのは、国税庁が動く一歩手前の段階で、ほぼ黒で億単位の追徴を狙っているときです。
ドバイ絡めて節税している法人だから相当悪いことしてるんだろうと思って来たんでしょうね。。。
では、具体的にどのようなことを指摘してきたのでしょうか??
論点
何点か論点があったのですが、その中でも大きく揉めた2点についてお話ししたいと思います。
1. 仮装隠蔽の意図があったかどうか
仮装隠蔽の意図があると重加算税の対象となり、7年前まで否認の対象となります。
そのため、仮装隠蔽の意図があるかは重要な要素となります。
2. 事業実態は日本法人かドバイ法人か
事業実態が日本にあるかドバイにあるかによってどちらの税法が適用されるかが決定されます。
つまり、日本と認定されれば日本の法人税率で約30%が課税され、ドバイと認定されれば0%となるわけです。
かなり大きな差です!!
仮装隠蔽があったか否か
まず最初に仮装隠蔽があったかどうかです。
既にのべたとおり、仮装隠蔽があった場合には重加算税の対象となります。
そして重加算税の対象は過去7年間に及びます。
今回の案件では仮装隠蔽があったか否かが問題となった年度が6年前だったため、仮装隠蔽でないとなると、そこに課税額が増える要因があったとしても否認が出来なくなります。
そこで揉めたのが、数ヵ月分の通帳の入力が漏れていて、その責任が誰の責任かでした。
結論から話すと納税者の責任ではないということになりました。
その理由は、申告後に修正申告をするために通帳は税理士(わたしが顧問する前)に渡していたが、税理士が修正申告をするのを忘れていたというものでした。
つまり、税理士は納税者の代理であっても、税理士のミスは納税者の責任ではないということになったということです。
税理士側がミスを認めてくれたおかげで重加算税の対象から外れることができ、なおかつ否認の対象にもなりませんでした。
事業実態が日本法人にあったかドバイ法人にあったか
既にお話ししたように、事業実態が日本法人にあったと認定された場合、かなりの金額の追徴がくると予想されました。
結論からお話しすると、事業実態はドバイにあったという認定がなされましたので、その懸念はなくなりました。
その際に議論されたのは
「ドバイ法人から実質的に販売を行っているか否か」
でした。
日本法人は情報商材の販売を行っていましたが、売上額がかなり高くなり利益も多くなったので、ドバイに法人を設立して節税をすることにしました。
その際に顧客との契約をすべてドバイ法人に変更しました。
代表者もドバイに移住して、情報の発信もドバイから行っていました。
ドバイで従業員も雇っていました。
しかし、日本法人の定款に事業目的として回収代行をいれていませんでした。
また、日本法人とドバイ法人の間での回収代行契約が結ばれたのがドバイで事業を開始してからしばらくたってからでした。
その際の契約書では過去に遡って手数料の金額を払うというとのになっていました。
以上が事実の概要です。
この事実に基づいて税務署が突っ込んできたのが、定款の事業目的に回収代行が入っていなかったことと、過去に遡って契約を結んでいたことでした。
まず、回収代行が定款に書かれてなかったことについてですが、形式上の問題であって、実質的に回収代行を行っていたという事実があったため、結果として回収代行をしていたことが認められました。
みなさんここ重要です。
税務署は形式が整っていても実態がなかった場合は必ず否認してきますが、逆の場合、すなわち、実態は整っているけど形式が整っていないという場合には、比較的寛容に対応してくれます。
次に、過去に遡って契約を締結していた件ですが、この件は結構揉めましたが、結局、最終的に契約を過去に遡って締結することは普通に行われていることなので問題ないという結論に至りました。
まとめ
結局、最終的に税務署は一番取りたいところは取れずに帰っていきました。
税務調査で大事なことは、相手の主張をどれだけ論理的に潰していくかです。
今回は、形式的に問題がある点はいくつかありましたが、結局、実態が伴っていたので税務署はこちらの主張を覆すことが出来ませんでした。
つまり、一番大事なことは、きちんとした実態を整えるということです。
形式が整っていることに越したことはありませんが、形式は二の次です。
特にタックスヘイブンを使って節税を考えている方は、必ずその国での実態を作りましょう。
でないと100%否認されます。
否認されないように論理構成したいという方がおられましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
相談は無料です!!
最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
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