EMAAR vs DAMAC - 2大コミュニティを比較
今回は、ドバイ不動産で必ず聞く2大デベロッパーです。政府系最大手EMAARが開発するコミュニティ「ドバイヒルズエステート」と民間最大手DAMACが開発するコミュニティ「ダマックヒルズ」の2つのコミュニティを比較分析していきます。最後に、投資する際のポイントをまとめます。
この記事はこんな人に向いています。
✅ ドバイ不動産への投資を真剣に考えている
✅ EMAARとDAMACを聞いたことがある
✅ 長期投資をしたい
EMAARとDAMAC
EMAARは、ドバイ最大の政府系デベロッパーです。代表的な開発は、ダウンタウンドバイ、ドバイモール、ドバイマリーナなどはEMAARが主導で開発されました。政府から土地を仕入れ、国家プロジェクトの一環としても総合開発を行います。現在は、新しいダウンタウンに変わる都市として、ドバイクリークハーバー(以前の解説記事)の総合開発をしています。
一方、DAMACは、2002年に設立された民間最大手のデベロッパーです。ドバイに来たことがある人はお分かりだと思いますが、街中では、EMAARとDAMACの2つの看板をよく目にします。DAMACは、ドバイを中心に、中東全域や英国でもプロジェクトを展開しています。
創業者は、UAE出身のHussain Sajwani氏です。4人の子供がおり、娘さんのAmira氏は、DAMACのシニア バイス プレジデントの役職についています。息子たちは、自分のデベロッパーの会社を創業しています。まさに不動産開発一家です。
ドバイヒルズとダマックヒルズ
今回は、まだ開発中だが完成に近づいているコミュニティ、かつ、内陸側でヴィラとアパートメントのどちらもあるコミュニティという条件で、ドバイヒルズとダマックヒルズを比較します。
どちらのコミュニティも、それぞれのデベロッパーがマスターデベロッパーとして開発する巨大なコミュニティです。
立地
ドバイヒルズとダマックヒルズはともに、ヴィラを中心に、公園やモール、学校、病院など生活に必要な施設も揃う、総合開発されているコミュニティです。
ダウンタウンのドバイモールまで車で行く場合は、ドバイヒルズが15~20分、ダマックヒルズから25~30分程度の距離です。
ドバイヒルズの方が都心部に近く、ダマックヒルズよりも立地が良いとされるので、その点はご了承ください。ドバイヒルズについては、以前の記事でも解説しています。
アメニティの比較
アメニティの種類については、そこまで大差はないですが、モールの規模や学校はドバイヒルズの方が充実しています。一方、ゴルフ場やスポーツ施設については、Damac Hillsの方が充実しています。
完全に同じ条件で比較はできないので、以下に条件を整理します。
どちらもアパートメントとヴィラがあり、総合開発されている
どちらもUAE民ではなく、外国人の居住者がメイン
立地はドバイヒルズの方がダウンタウンの中心地に近い
コミュニティの面積はドバイヒルズの方が広い
コミュニティ内のアメニティはほとんど同じ
コミュニティの物件比較
それぞれのコミュニティの物件価格を比較し、投資目線ではどちらのコミュニティが適しているかを検証します。2018年から2023年までの過去の取引データを使って分析をしています。
取引件数の推移
緑がドバイヒルズ、青がダマックヒルズです。ドバイヒルズの方が供給が多く、取引数も多くなっています。ダマックヒルズの方が開発が先に始まっているかつ面積が広いため、取引数はドバイヒルズが多くなるのは当然です。
アパートメントの面積あたりの価格推移
緑がドバイヒルズ、青がダマックヒルズです。
2023年のアパートメントの平均価格を見ると、ドバイヒルズは6,280万円、一方、ダマックヒルズは5,160万円です。グラフは、面積あたりの中央値を採用しています。
2023年の首都圏中古マンションの面積あたりの価格 686,000円/㎡(東京カンテイのレポートより)と比べてみます。
ドバイヒルズは、857,114円/㎡
ダマックヒルズは、473,080円/㎡
ドバイヒルズは、基本的に上昇傾向であり、2022、2023年に特に大きく上昇しています。一方、ダマックヒルズは2021年から上昇に転じていますが、上昇率はドバイヒルズよりも低い結果が見られます。
ヴィラの面積あたりの価格推移
緑がドバイヒルズ、青がダマックヒルズです。
ヴィラの面積あたりの価格は、2020年が底値となり、上昇トレンドに転換しています。2023年の価格は、以下のとおりです。
ドバイヒルズは、515,000円/㎡
ダマックヒルズは、369,654円/㎡
考察
ヴィラとアパートメントを比較すると、底値のタイミングが異なっています。ヴィラは2020年、アパートメントは2021年になっています。
ドバイは、ローンではなく一括払いで購入するバイヤーや富裕層が多いため、価格帯の高いヴィラが先行して価格変動することが考えられます。ヴィラが上昇トレンドに転換した後、価格帯の低いアパートメントが続くという構図です。
長期的に需要が高いヴィラは、どちらのコミュニティでも投資を検討できそうです。一方、アパートメントの場合は、ドバイヒルズの方が上昇期待が大きいエリアです。ダマックヒルズは、コミュニティの隣にダマックラグーンという新しい巨大コミュニティが開発されていることもあり、アパートメントの希少性も少し下がってくる可能性もあります。しかし、ダマックヒルズにしかない利点もあるので、一概には言えません。今後のnoteでこの辺りも解説します。
オフプランと完成物件の比較
先ほどよりも、もう少し詳細にデータを見ていきます。ドバイでは、オフプラン(まだ完成していない)物件と完成済みの物件の取引が区別されています。
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