『ゲームマスター』時代の思い出

先日の自己紹介に、沢山スキを付けて頂いてありがとうございます!
これは、放置せず何か書いた方が良いなと思ったので、今日はゲーム
クリエイターとしての昔話でもしてみようと思います。

『ゲームマスター』って、何?

皆さんは、『ゲームマスター』という言葉をご存知でしょうか?
昔、MMORPG全盛期にオンラインゲームを遊んでいた方なら、聞き覚えが
あるんじゃないでしょうか。
(仮面ライダーファンなら、エグゼイドの檀黎斗を思い出すかも)

ゲームマスターの本来の定義は存じ上げませんが、私の認識としては、
・オンラインゲームの中で、キャラクターとしてゲーム運営を行うスタッフ
のことだと認識しています。
今から10~20年程前に、主にMMORPGなどのオンラインゲームの運営の
一環として、ゲーム内で様々な対応を行う専門のスタッフがいたんですよ。
現在は、インターネットが普及し、ユーザーの数が大きく増加したことや、ゲームマスターがゲーム内に入ってくるとユーザーから罵詈雑言が飛ぶなどの問題があることにより、ゲームマスターという存在は、オンラインゲーム業界から無くなりつつあります。

ゲームマスターのお仕事

ゲームマスターの主な仕事としては、
①ゲーム内の巡回・監視
②不正行為者へのゲーム内対応
③不具合で困っているユーザーの救出
④ゲーム内イベントの運営
⑤ゲームの保守・管理
⑥メール・電話などのサポート窓口の運営(会社による)

などが挙げられるでしょうか。

※ここから話す内容は、私が実際に業務で行っていた内容なので、
 もしかしたら他の会社ではやっていなかったことなども含まれるかも
 しれません。

①ゲーム内の巡回・監視

ゲーム内に、ゲームマスター専用のキャラクターでログインし、ゲーム内の各所を見回りしたり、不正行為が行われていないかの監視などをします。
専用のキャラクターを使うと言っても、基本的にユーザーの皆さんのお邪魔にならないよう、また混乱を招かないよう、普段は透明人間のような状態で
いることがほとんどです。
「ゲーム内でアレコレしてたの見られてたの!?」
と心配になる方もいらっしゃるでしょうが、基本的に巡回はユーザーが沢山集まる町や集合場所などを見て回る感じなので、ご安心ください。
逆に、不正行為などは人気が少ない場所で行われることも多いので、
そういった輩がよく出没する場所なども監視対象にしていました。

②不正行為者へのゲーム内対応

私がゲームマスターを担当していたMMORPGでは、主に歩く速度を超加速
する不正ツールなどが、ゲーム内での監視・処罰対象でした。
(アイテムの増殖やステータス操作などの不正行為は、ゲーム内ではなく
主にログデータなどから検出、対応していました)

まず、不正行為者がよく現れる場所で張り込みをし、不正行為を発見
したら、専用のツールで不正行為者のアカウントを特定、アカウントを
BAN(ログイン出来ない状態)にします。
その後、ゲームマスター専用の機能で、対象のキャラクターを移動・
ログアウトが出来ない、金縛り状態にします。
(この時、専用の牢獄マップに不正行為者を強制転送することもあります)
その後、ゲームマスター専用キャラクターで、不正行為者の目の前に
出現し、不正行為を確認したこと、アカウントの利用を停止することなどをゲーム内チャットで伝え、その後強制ログアウトさせて、対応完了です。

何故、わざわざゲーム内にゲームマスター専用キャラクターで姿を現して
対応していたのかと言うと、別に専用キャラクターの自慢がしたいわけではなく、
「不正行為をすると、こんな風に処罰されるよ」
という、他ユーザーへの啓蒙の意図もありました。

なお、アカウントの停止期間は不正行為の悪質度によって変わり、軽度の
利用規約違反行為の初犯であれば、チャットで警告だけして解放することも
ありました。

③不具合で困っているユーザーの救出

オンラインゲームもデジタルゲームなので、バグ(不具合)も少なからず
あります。
もちろん、根本的なバグの修正は随時行うのですが、修正に時間がかかる
場合、バグで被害を受けたユーザーへの直接対応をすることもありました。

例えば、移動中に本来入れない壁の中に閉じ込められてしまうバグがあり、メールのサポート窓口にユーザーから連絡があると、ゲームマスターの
キャラクターで現地に急行、ユーザーを安全な場所へ転送して救出する、
といったこともやっていました。

④ゲーム内イベントの運営

今では考えられないことかもしれませんが、今から10~20年程前は、ゲームマスターと触れ合うことが出来るゲーム内イベントなどが、盛んに行われていました。
私が経験したイベントだと、ゲーム内でユーザーとかくれんぼをしたり、
お料理教室を開いたり、夏祭りの会場を盛り上げたり、ユーザー同士の
ゲーム内結婚式で神父を務めたり、など色々やっていました。
私も、ユーザーの皆さんにあだ名を付けて頂いたりして、楽しくイベント
運営をやらせて頂いておりました。

⑤ゲームの保守・管理
⑥メール・電話などのサポート窓口の運営

これらは、ゲームマスターが担当することもあれば、サポート専門の
スタッフが他にいて対応することもありました。
前述の不具合対応などもあり、ゲームマスターが兼任することによる
メリットなどもありました。
現在では、それぞれの専門スタッフが担当することがほとんどですね。

ゲームマスターの心構え、難しい点

社会人の方は、自分の働く会社との『守秘義務契約』を、雇用契約時に
結んだのではないでしょうか。
これは、仕事で知りえた機密情報を、会社の外に漏らしてはならないという
取り決めです。
ゲーム業界でも、もちろん守秘義務契約を結ぶことがほとんどですので、
ゲームマスターはゲーム内外でうっかりユーザーに機密情報を話してしまうようなことが無いよう、重々気を付けなければなりません。
ゲームマスターの場合、それ以外にも、
・力に溺れない精神
・ユーザーを公平に扱うこと
・ゲームの利用規約を隅々まで覚えること
・ユーザーから心無い言葉を投げ付けられても、めげない心
・タイピング速度
・トークスキル

など、色々な心構えや技能が必要でした。
一時期オンラインゲーム業界で問題になったのですが、ゲームマスターと
しての権限を私利私欲に使うスタッフが出て事件になったり、ユーザーと
癒着するスタッフが出て今でいう炎上騒ぎになったり、ゲーム内やサポート窓口でユーザーからの厳しい言葉を浴びて心にダメージを負ったりと、
ゲームマスターは決して楽しいばかりの仕事ではありませんでした。
※当初は、アルバイトのスタッフがゲームマスターを担当することが
 多かったのですが、数々の事件が世間を騒がせた後は、ちゃんと教育を
 受けた社員のスタッフが担当することが主流になりました。

ゲームマスターの思い出

前述の通り、現在のオンラインゲーム業界では、ゲームマスターという職種は非常に希少な存在になっています。
しかしながら、私はゲームマスターという仕事をした経験は、決して無駄になっておらず、今のゲームクリエイターとしての、エンターティナーとしての仕事に大きな影響を及ぼしていると思っています。

私は、ゲーム内イベントなどで、ユーザーの皆さんと交流した時の楽しい
思い出は、今でも大切にしています。
願わくば、あの時イベントに参加してくれたユーザーの皆さんにとっても、楽しい思い出として残っていてくれると良いなぁ、と願うばかりです。

もし宜しければ、皆さんのゲームマスターに関する思い出などを、コメントで残していって頂けると嬉しく思います。
長文をお読み頂き、ありがとうございました。

#オンラインゲーム
#ゲーム
#MMORPG

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