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2拠点生活のススメ|第156回|憂鬱は伝染する

先日、仕事仲間のディレクターに電話をすると、なんだか声が暗い。

お願いしている仕事の修正があって連絡したのだが、他の仕事でトラブルがあったのか、落ち込んでいる様子。こっちも修正かといったムードが終始漂い、なんだかイジメているようで、コチラまで重い空気に包まれてしまった。

映像の仕事というのは、修正が付き物。修正が重なってくると、自分自身が否定されているような気分になって落ち込むこともある。

彼の気持ちも分かるだけに、笑い話も交え、明るく用件を伝えて電話を切ったのだが、その後何だかやる気を失ってしまった。どうやら彼の憂鬱が伝染してしまったらしい。

落ち込んでいる人に、あんまり頑張れというのはプレッシャーを与えてしまって良くないと言うが、あまり相手の感情に共感し過ぎると、負の影響を受けてしまうので、気を付けないといけないらしい。


コロナ禍で多くのジャーナリストに、燃え尽き症候群、重度の不安感、うつ病、不眠症、孤独感などが生じていると言う話を聞いた。

ジャーナリストたちは、絶え間なく憂鬱なストーリーを取材するなかで、負の影響を心に受けてしまっているというのだ。

こうしたメンタルヘルスの悪化は「静かな伝染病」とも呼ばれているらしい。


タクシーに乗ったとき、運転手がイライラしてクラクションを鳴らすと、タクシーを降りてからもそのイライラがつきまとうとか、上司が慌てながら部屋に入ってくると、そのストレスが自分に伝染して、その上司に意見を報告するときに影響を受けるとか、ネガティブな感情やストレスが伝染するというのは、不思議なことでも何でも無く、日常に溢れているということのようだ。

コロナ禍においては、うがい・手洗い・マスクの装着はもちろん、憂鬱に共感しすぎない、しんどい話は適度に聞き流すなど、他者の憂鬱やストレスから身を守る「心の免疫力」を高める必要もありそうだ。

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