2拠点生活のススメ|第282回|ソテツはソテツの良さがある
徳島でいつもいく露天風呂には、たくさんのソテツが植えられている。
コンクリートの壁に大きな岩を配置した岩風呂、そしてそれを取り囲むように植えられたソテツ。何だかアンバランスで奇妙な空間なのだけど、通っている内にそんな風景にもすっかり慣れて、アバンギャルドな感じさえするから不思議だ。
ソテツを見ると南国リゾート気分にもなるが、椰子の木と比べると感じる空気がどうもアジアの湿った風という感じで、「南国」という「漢字」の雰囲気を脱しきれない気がする。これって私の偏見なのかもしれないが、椰子の木の持つ「横文字感」とは一線を画している気がしてしまう。
ソテツの学名は「Cycas(シカス)」というようで、「ヤシに似た植物」という意味、よく見ると全く別物の物まねタレントのようなもので、やっぱりヘルスセンター的な場所がよく似合う。
「ソテツ」という和名は、木が弱ったとき、株元へ鉄を打ち込むと元気が戻ったことから「蘇鉄(鉄で蘇生する)」と名付けられたそう。巨大なソテツの木が風に揺れる様子から、「雄々しい」という勇ましさと力強さを感じさせる花言葉がつけられているそうな・・・ソテツにも花言葉があるんですね。
確かにソテツからは、ハワイの風景は浮かんでこないけれど、日本の海岸線の風景にはとても似合う気がする。まあ、無理矢理日本をハワイのように見せる必要も無いわけで、張りぼてのハワイカフェに行くよりも、ソテツがなびく露天風呂に入る方がよっぽど素敵なんじゃないかと個人的には思っている。
今年はいつまでも暑くて、ソテツを見ていると余計に季節感が狂ってくる。・・・とはいえ、寒くなって雪の中のソテツなんていうのも日本らしくて悪くない。
ソテツにはソテツの良さがある。椰子の木ことなんか気にするな(笑)。