記憶で生きる
物事を永遠にしておきたいなら、記憶するしかない。
記録は、時に忘れるために行う。現に、私たちは過去に書いたものを再度開いてみないと思い出せない。潜在記憶には残っていても、取り出すことは容易ではない。
そんなものは永遠ではない。
記憶する内容はたった5秒でもいいし、なんなら一瞬で構わない。あと、脚色をしてもいい。
その手にある記憶を何度も思い出して、形を変えながらでも、永遠とする。それのおかげで生きていける。
それに殺されることもあるけれど、それでも構わないと思える記憶を手に持てばいい。
自死の道具でもあり、生き抜く術でもあるこの記憶。
自分の力なんて少しもない記憶だし、そんなものはなくていい。記憶を頼りに歩くことは何よりも幸せなのだ。
同時に不幸だから、心地がいい。
生きているだけでいいや。