<ちょっと一息>要するにオバマケアって何なの??
現職であるバラク・オバマ大統領の任期は2016年をもって満了となり、2017年度から米国は新たな大統領を迎える事となるのですが、現在、次期大統領を目指すべく、ドナルド・トランプ(共和党)とヒラリー・クリントン(民主党)両候補によって盛り上がりを見せています。
さて現職オバマ大統領ですが、医療に携わる人々に大きな影響を与えた政策として医療保険制度改革があります。
Patient Protection and Affordable Care Act オバマケアの方が馴染み深いでしょう。
このオバマケアを少し掘り下げていくと、非常に興味深く、今まで見てきたアメリカがまた違った形となって見えてくるかもしれませんので早速掘り下げていきましょう。
・そもそも「オバマケア」ってなんだ?
米国の医療保険制度改革の法律にオバマ大統領が署名した事により、オバマ+ヘルスケア=オバマケア 造語です。
このオバマケアの最大の目的は「より多くのアメリカ国民に健康保険に入ってもらう事」これにより、米国民の健康保険加入者率の底上げが可能となります。(国の医療への出費を減らす目的もあります)
・要するに国民皆保険なのか?
YesかNoかと言えばYes
・米国の前に日本の国民皆保険ってなんだ?
日本政府は日本国民から税金と言う形で強制的に徴収したお金から医療予算枠を決定し、健康状態にかかわらず日本国民に医療保険を提供し、さらに診療額のバラ付きが出ないよう国が診療代を設定する事により、日本国民全ての人に平等に一般的な医療を受ける機会を提供しています。
・では米国の仕組みはどうなのか?
オバマケアによって、米国国民は強制的に民間が提供する保険商品の購入を義務付けた事。そして、保険への加入が困難な層には補助金を出す事により、全米国国民の加入を促す。
・加入が困難な層とは?
約15%(4800万人)の米国国民が健康保険に加入していない(できない)と言う状態でした。これはおよそ6人に1人が健康保険未加入と言う状態です。常に発言、行動が世界に影響を与え、世界最大の経済を持つアメリカの状況とは言いがたい事実です。
・この15%の健康保険未加入者はどういった層なのか?
低所得者層及び、何らかの疾患を抱えてる層が主となります。
日本の様に税金を収め、公的機関が医療費の大半を払ってる場合では、許される訳ではありませんが、収支バランスが取れておらずとも運営していく事は可能です。しかし、米国における保険商品の提供元は民間企業となっており、保険商品がビジネスとして採算が取れなければ提供し続ける事は不可能となります。
これは即ち、低所得者へ保険商品を特別な低価格で提供し、一般層と同じ保険待遇を受け取る。既に疾患等を抱えてる層に対しは、一般層と比べ、医療費の高騰は否めないのですが、そういった層に対し一般層と同価格で保険商品を提供し、同じ保険待遇を提供する。
と言った事は、ビジネスとして採算が取れないので保険会社によって加入の拒否が行われていました。
さらに医療技術の進化は人々へより良い健康と、医療を提供し、豊かな暮らしを提供していますが、それと同時に医療費の高騰が起きています。
これは健康保険もビジネスの一つである米国では、決して保険会社のみが負担を背負うと言った事は起きず、保険商品の値上がり、保険適応幅、適応率の低下と言った形で、一般米国民に跳ね返ってきており、いざと言う時の為に加入した健康保険を所持していながらも、治療費が払えずに破産と言った状況でした(破産者のうち4〜6割が医療破綻であり、その内8割の人は健康保険加入者であったというレポートもある)
このような米国の健康保険制度への改革を断行したのを通称オバマケアと呼ばれています。
ではどのような形で医療制度の改革を行ったのか見てみましょう。
消費者側へ
1)低所得者へ対する補助金制度。
2)加入への強制力を持たせる為に罰金制度の導入
年間所得に対して罰金額のパーセンテージを上げていき加入を促す(2016年度で2,5%となっており、仮に年収$60,000だった場合$1500の罰金)
保険会社側へは
1)保険商品に最低限必ず組み込むべき医療項目の指定
妊婦、新生児へのケア、精神疾患、外来、救急等を保険対象外とする事を禁ずる
2)疾患、持病等を拒否してはならない
疾患、持病等を理由に保険への加入を拒否する事を禁ずる
といった事が主な改革内容であり、
消費者としては、保険への加入が容易となりオバマケアによって、米国民の健康保険の加入率は近年、上昇しています。
が、
忘れてはいけないのが、
1)民間保険会社への加入を義務付けた2)医療保険は原則、市場任せでありビジネスである
医療保険の提供側である保険企業は、医療内容に特化した保険商品を販売する事ができない。保険商品の提供拒否が出来ない。
これは即ち、潜在的に採算が取れない層へ対し保険の提供を義務づけられてしまいました。
これによって、保険商品の採算を合わせる為には、健康で貧困ライン以上の所得がある80%以上の米国民に、この負担を背負ってもらうと言う形になってしまい、保険料金の急騰、並びに自己負担額の増加と言う、とんでもない事が米国で起きてしまっています。
次回は、何が起こっているのか書いてみたいと思います。
(歯科保険と健康保険は別であり、歯科には関係ありません)