見出し画像

『世界でいちばん透きとおった物語』

"予約していた本の準備ができました"
メールを受け取り、図書館へ。
本を受け取ったとき "あ、文庫本なんだ" と思った。
ここ数年で話題になっていた本だったので、てっきり単行本かと。でも、読み終わって違和感の正体を知った。この衝撃を残したくなり、ここにつらつらと。

あらすじ

衝撃のラストにあなたの
見る世界は『透きとおる』。

大御所ミステリ作家の宮内省吾が死去した。宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。
「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」
宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだがーー。
予測不能の結末が待つ、衝撃の物語

新潮文庫 『世界でいちばん透きとおった物語』 杉井光


主人公が、父の原稿を探していく様子は、まさに探偵。いろんな人の協力を得ながら、真相に近づいていく。これと共に見えてくる父の輪郭。
登場人物それぞれの気持ちの変化の表現がくどくなく、さらっと読める感じが好みだった。
父(宮内)の長男のある意味 "人間らしさ" もおもしろかった。初めは本当に嫌な感じだけど、憎みきれない、でも共感しきれないあの感じがなんともいえない。

"紙の本でしか" 体験できない感動

この本の醍醐味は、紙の本だからこそできる読書体験。
8割ほど読んだところで明かされる衝撃の事実。
え?そうなの????なんて思い、はじめから見返したくなるあの感じ。
原稿の謎が解ける。
面白かった。

思い出したのが、道尾秀介『N』
6章からなる小説。どの章から読んでもいい、読む順番で世界が変わる。章を連続して読めないように、上下交互に印刷されている。すごくワクワクするものだった。

紙の本離れが、影響しているのかな。電子書籍の手軽さ、身軽さは惹かれる。
そんな世の中で、"紙だから" 楽しめる読書体験も提供してくれる。あっと驚くサービスみたいな。とても感動した。

いいなと思ったら応援しよう!