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読更かしのうた②

ロンドン・コレクション 1984-2017
才気を放つ83人の出発点

若月美奈 著


繊研新聞社出版の、ロンドンファッションウィークについての本。

もう表紙とタイトルで分かると思いますが、とっても面白いですこれ。

80ー00初頭のブリティッシュデザイナーズへの理解を深めたいな〜なんて思いで買いました。

テキストとビジュアルのバランスが丁度良かったものの量が物足りなかったなぁ…。

というのも、主旨としてはLFW発足当初(1984)から現在(2017年出版)までの一連の流れを紹介する物なので昔の事柄ばかりを取り扱っていないのは仕方ないです。

なんせ83人のデザイナーを紹介してるので…。

しかしそんな中でもフセインチャラヤンやジョンガリアーノ 、アレキサンダーマックイーンなんかのビッグネームにはしっかりページ数が割かれていて、しかも色んなメディア媒体から当時のコレクションについてのインタビュー記事なんかが沢山抜粋されていて、とっても良かったです。

どの作品、どのコレクションにせよ、それぞれが出来上がるまでの構想背景やその時々の社会情勢、デザイナーの気分やバックボーンなんかの目に見えない部分が存在すると思います。

なんならそっちの方が多いし、最初から古今東西のありとあらゆる事物を知り揃えていない自分にとってはこうしたインタビューや解説で作品の解像度を上げてもらえるのは本当にありがたい事です。

結果(コレクションルック)しか見ない/見られないのは余りに勿体無い。
勿論、歩み寄れど歩み寄れど全然分からない領域もありますけれど…。


そういえば

「パッと見の直感とか、感覚的な部分がピンとくるか」「服そのものをカッコ良いと思えるかのシンプルな話じゃない?」

誰かがそう言ってる訳ではないんですけれど、そういう「小難しい事考えずに純粋にファッション楽しめばよくない?」みたいなタイプの人の幻影にずっと影を踏まれてるんです。

その人に言うんですけど、それって古くない?

良い服の外側だけコピーしてパッと見のルックスだけ整えた狡い服がこれだけ溢れたインスタントなファッションシーンでそれ言って、なんなら何かを生み出すときにその暴論使って、本当に本物が生み出せる?
良いものをちゃんとジャッジ出来る?

ファッション(というよりモード)はより豊かに、深く深く楽しめる物に進化していってるし、受け取り手も楽しみ方そのものをアップデートしていかなきゃいけない。
そうじゃないといつの日かどのコレクション見ても何も響かなくなってしまう。

そして置いてかれた事実から目を逸らすように
「最近のファッションつまんなくね?」

恐過ぎる。


話が逸れに逸れたけれど、オズベックやリッチモンド、ボディマップ、パムホッグなんかのマイナーなレーベルも紹介されているアツい書籍なので見つけた方は是非。オススメ。


僕は何でロンドンにはこうも大好きと大嫌いの両極が多いのか考えておきます…笑笑

ではおやすみなさい。

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