東京の人にとって、東京は大切な地元(800字)
東京に初めて住んだのは23歳のとき。
バブルの終焉期だった。
人とクルマと電車とビルの多さに圧倒されつつ
それでも
新しい情報も刺激もモノも東京にしかなくて
多様性は東京にある言葉だった。
東京と地方のタイムラグは
年単位で違っていたように思う。
大都会はすごいなぁ、と思っていたら
東京が地元の先輩(28歳)から聞かれた。
先「なんでわざわざ東京で就職したの?」
私「地方には職がないからですかね?」
先「でもさー、もはや人が住むところじゃなくなってきてるよね」
私(確かにラッシュも人混みも物価高もひどいけど…)
「じゃあ、○○さんは、なぜ東京にずっと住んでるんですか?」
先「ここが地元だから。地元じゃなかったら住まないよ」
確かに、当時から東京は「若い頃はいいけど…」と言われる街だった。
刺激は多いけど、住みにくい。
地方から我も我もと東京に集まっていた時代。
なんだか少し申し訳なく思ったのを覚えている。
時は流れて
インターネット時代がやってきた。
東京と地方のタイムラグは小さくなっている。
そして
これからもインターネットが発展していくなら
環境が最高なのは地方の一軒家やろ、と考えることがある。
データ通信量が爆上がりしているし
1家庭の電力への依存が高くなっているからだ。
都会の集合住宅なんかに住んでるとネットワークが遅くて驚く。
戸数が多いほど、ネット回線は分け合って使っているし
築年数が経過するほど、回線の刷新工事はままならない。
自家発電だって導入しにくい。
情報もモノも
東京でしか手に入らないことは減っていて
どこだろうと
その場所とそこに住む人とのつながりの価値が
巡り巡って見直されてきている気がする。
全国の刺激を一身に背負ってくれていた東京。
なんだかんだ10年くらい住んだし
不思議な縁で本籍地は東京都なので
好きな街のひとつだ。
私は福岡に戻った。
先輩はいまも東京に住んでいる。
誰にとっても
地元が住みやすい街でありますようにと願う。