若者の投票率の低さを嘆くだけでなく考えること〜人口と投票率・数
大学生に話をしていて、感触的には彼女/彼らの多くはどうやら選挙に行っていないっぽい。もちろん選挙が唯一絶対の民主主義ではないし、多数決の民主主義なんて制度的には必要だけれど、昨日書いたとおり、多数決というのは暴力的だ。
今回の衆議院選挙の得票率は正式にはまだ出ていないがメディアの報道によると、戦後2番目に低い53.11%程度だというのがわかっている。そして上記の通り、おそらく若い子たちは結構いっていない。
総務省がこれまでの年代別投票率についてまとめている。
グラフを抜き出すとこんな感じ。
昭和42年の第31回衆議院選挙のみ、70代以上の投票率が最下位で20代を下回っているが、総じて20代が最下位で選挙で投票するのは50代以上がメインとなる。
総務省統計局の昭和40年の国勢調査の人口分布の表を見てみると、当時の日本はいわゆる途上国型のきれいな三角形(底辺側が若者)であることがわかる(拡大してください)。
上記2つをだいたい同じ頃だとして当てはめると、42年の選挙では、20代1700万人の66.6%の投票率があったということは1130万人超が投票。最も投票率が高かった40代で892万人超、50代で715万人超程度で、東京オリンピック後の高度経済成長期のガツガツした時代に若者のパワーを感じるのは確か。
X(旧Twitter)にこんなポストがあった。
コメントはともかく、図だけ抜き出すとこんなもの。
出所がどこなのかわからないから正確かどうかはわからないけれど、NHKのサイトにある下の図も含めて4つの図表を見るとなかなか思うところがある(ただし選挙はこの2つの図は別のものを扱っていることには注意)。
上のポストへの返事で、数はともかく投票率を同じレベルにすべきで、話はそれから!的なコメントがあって、まぁ、それはそうだなぁと思いつつも、70代前半の2/3程度しか人口がいない20代前半はフルで全員投票しても、70代前半のこのときの投票率程度しか票数がないと思うとなかなか萎える。
若者の低投票率を嘆くつもりもなく、選挙以外の政治参加があるのならそれに力を入れることだって考えたらいいと思う。ある種、スポイルも政治的な行動ではあると思うし。ただ現実的に市民運動的なものに力を入れるわけでもなく、さて、どんな政治参加ができるのかというのは考えなければいけない。
時間も能力もないので、これ以上これに触るつもりはないのだけれど、果たして、「黒い霧事件」を受けて社会の政治不信の中で、佐藤栄作首相が踏み切った昭和42年の衆議院選挙は若者に優しかっただろうか、はたまた若者が鼓舞される選挙だっただろうか。ベトナム戦争で国際社会が揺れる最中、このときの若者の投票行動は社会にどのような影響を与えたのだろう。多分どこかの学者さんがいろいろと調べ、分析し、論文を書いているのだろう。ご存じの方は是非教えて下さい。
なお、今回と同じく「政治不信」を受けてのこの選挙、結果は微減にとどまった自民党が引き続き政権を担うこととなっている。