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「第四の壁」を、破れ。[OneShot紹介]

※終盤のネタバレは無いよ!
第四の壁
想像上の見えない壁であり、フィクションである演劇内の世界と観客のいる現実世界との境界を表す概念である。 ─Wikipedia

OneShotとは、第四の壁を超えたパズルアドベンチャーゲームである。

太陽が消えた暗闇の世界に転生された主人公「ニコ」。
仄かにあたたかさを帯びる電球(太陽)を偶然手にしたニコは、お家に帰る方法を模索しながら世界に光を取り戻す旅に出る。大雑把に言えば一世一代の電球取り換え工事だ。

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異世界転生の被害者にして太陽を運ぶ「救世主」、ニコ

ニコが目覚めた世界はポストアポカリプス、いわゆる文明が退廃した世界だった。儚くも美しい景色、透明感のあるサウンドが使命を果たすべく奔走するニコを迎える。これを味わうだけでもプレイする価値は十二分にある。絶対ある。

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奔走とはいえ、この工事は一筋縄ではいかない。ニコ1人だけでは現場まで辿り着けないだろう。そこで、重要なキーパーソンがもう1人いる。



そこの君だ。


違う違う、「あぁはいはいキャラの操作役ね」じゃない。
文字通り君がニコを導く必要があり、そして君はパソコン上の謎の存在に導かれることになるのだ。

例えば、このゲームは直接プレイヤーに語りかけてくる。

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例えば、このゲームはドキュメントファイルと干渉する。

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例えば、このゲームはデスクトップを書き換える。

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そう、これが本作最大の特徴、第四の壁を破る演出だ。

正直、これはある意味ホラーだと思う。
一般的なホラーゲームはそのゲームウィンドウで展開が収束するため、「次はこれが来るんだろ・・・?」とビビりながらもまだ予測できる余地がある。しかしこのゲームはウィンドウ内に留まらない演出がたくさんある。
つまり何が起きるか本当に分からないのだ。

その例を挙げよう。
OneShotはニコがベッドで寝たタイミングで自動的にウィンドウが閉じられ、再起動するとニコが目覚めている。ニコの意識の有無と連動しているのだ。

ということは、もしもニコに危機が迫った時、ウィンドウが勝手に閉じたのならば、次起動したときはどうなっているのだろうか?
もしかしたらただの夢オチかもしれない。そもそも起動できないのかもしれない。

人々は古来より得体の知れない強大なモノに恐怖を抱く性質がある。
深海や廃墟の暗さ、クトゥルフ神話のコズミックホラーなどが良い例だろう。第四の壁を破るのは、制作者という強大な存在が表現の幅を何倍にも膨らますことが出来、プレイヤーは真の意味でOneShotに驚き、そして心の底から楽しめることが出来るようになるのだ。

前回のATRI感想ではストーリーの素晴らしさに感動したため、ネタバレ有りでなければ思いを伝えられないと考えたが、本作は違う。ネタバレは思いを伝える上で最も邪魔な存在に感じた。
OneShotは本当に初見だからこそ、エンディングに辿り着いたときは他のゲームよりも一層強い印象を受けるはずだ。

プレイ時間は約7時間、お値段は1000円未満、翻訳のキレ良し。是非ともプレイしてみてほしい。



[・・・]

[忘れるな。]

[―――<チャンスは一度きり>、健闘を祈る。]



これを読んで至点(Solstice)の果てに至ったプレイヤーは是非スキとフォローを何卒。

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