OMORIのGood Endingを振り返る ─ 2022年プレイした中で一番"心を壊された"ゲーム[感想/GOTY]
副題 : My Time re-rendering
"GOTY選考基準"
・今年プレイしたゲームより選出
・発売時期は無関係
・「感情の起伏」「デザインの面白さ」「没入感」からなんとなく選出
・ストーリーのあるゲームがやや有利だがそんな不公平性なんて気にしない
・実は年々プレイする本数が減ってきている
"注意事項"
・ネタバレSpoilerご容赦
最近はゲームを買ったりプレイする前により慎重に品定めして、「絶対にハズレを引きたくない」という消極的な行動をすることが多い。
以前より貧乏性が強いのは自覚していたが、如何せんここまで強いと「無気力状態で何もしない時間」が増えてしまい、コントローラーを握ることも続かない日々が続いた。
他にも、新しくゲームをプレイしても終盤面白くなる信頼が持てなくなったり、急激に飽きることが多くなった。特にスロースターターなノベルゲーがキツイ。クリアまでの引力をゲーム実況や口コミという外部機関に委ねることである程度進めることはできたが、それでもゲーム内の発見や体験をクリアまでのモチベーションに繋げることが難しくなってきた。
特に、以前noteで絶賛したHalf-Life:Alyxはクリアまでにリアルで数か月の時間を要した。クリア時点のプレイ時間は20時間弱にも関わらず、これほどインターバルが長かったのは、VRの面白さをモチベーションに繋げるのが難しかったからだ。あとホラー。ジェフ許さねえ。
しかし、例外はあった。
プレイ中のどんな瞬間にも興味をそそられ、情熱のあまりプレイ時間外にも考察や情報整理に身を注いだゲームがあった。
それこそがOMORIだった。今年の僕のGame of the Yearはコレだった。
日本語版が発表された昨年末から注目はしていたが、結局プレイしたのは今年の6月だった。
友人鯖での配信機会の調整、ホラー耐性のなさ、不慣れなJRPGへの不安…そしてTGA GOTYに輝いたELDEN RING。あとValorant。色々と要因が重なって時期は遅れたが、なんとかプレイするに至った。
OMORI制作時に影響を受けた作品として、ゆめにっき、MOTHERシリーズ等JRPGを中心に国産ゲームが挙げられている。理想を言えばこれらの作品をプレイしてからOMORIを遊びたかったが、如何せんサイコロジカルホラーはどうにも苦手なもので、関連作品のクリア状況は強いて挙げるならMOTHER繋がりでUNDERTALE履修済みが精いっぱいだった。
数か月に一度、未プレイのゲームトレイラーを一気見してゲームのチェックを行うことがあるのだが、その中でもこのトレイラーは一番興味を惹かれた。ホラーというより、彼らの不可解な友情になにかスイッチを押された。
ちなみに、現状況では5つのルート分岐(Fandom表記)の内Good Ending、Bad Endingのみ回収しており、残りのEndingは他媒体で確認済みだ。いずれ全回収する。
Good Ending到達直後の感情は既に下記noteにて吐いているため、本記事ではもうちょっと冷静になってGood Endingを迎えた1周目OMORIを振り返ることにする。
いや、違う。
このゲームを語るにはプレイした後の狂った感情を呼び起こす必要がある。故に冷静なんていらねえ。
Good Ending到達後、僕もため息が出た。
Notionに感情を言語化し、古傷を抉った感覚があった。
noteに記事を出し、「あの選択で本当に良かったのか」と電球を見上げた。
気が付けばあの時、僕はハルバル町にいて、ヘッドスペースにいて、あのホワイトスペースにいた。
それほどまでに、このゲームはプレイヤーを「持っていく」のだ。
夢と現実を行き来するJRPGの旅は確かに長かった。
しかしこれは、サニーとプレイヤーが事実をじっくりと再確認するための過程にすぎなかった。友達とバカをしたり秘密をつくった過去がプレイヤーにあれば、この過程は心に重く、鋭くのしかかる。
そうして積もりに積もった時間は、凶器になった。
ブラックスペース。凶器が身に触れた瞬間はその地に踏み入れた時だった。
ブラックスペースにあるおぞましいなにかが何を意味するかは分からない。しかし、これまでの旅の光景と比べて、明らかに異質で、猟奇的で、そして意図せず零れ出た純粋さを感じた。
ただ迷い込んだだけならすぐに逃げていただろう。だが、既に長い旅を過ごしている以上、契約を交わしてしまった気がした。
「こんな僕でも、僕(の観測者)でいてくれる?」と言わんばかりの契約を。まるで、口裂け女の問いだった。
いやむしろ、ここまでついてきたプレイヤーを信頼したからこそ、それでもなお天秤の傾きが変わらないことを調べる最終審判だった。
見届けなければならない。サニーの過去に何があったのか。どんな苦痛を伴ったのかを。プレイヤーの記憶にドス黒いナイフが刺さろうと、古傷がハサミでこじ開けられようとしても、やらなければならない。
サニーがオモリを通して過去を見たように、僕もまた過去を呼び起こしていた。何故そうしていたか、と聞かれると、「気づいたらそうなっていた」としか答えられない。
それくらい、ブラックスペースに飲み込まれていた。
当時思い出した記憶はこんなのだったかな。あちら側の開示に比べれば屁でもないが、3つ目は未だにトラウマだ。キツい。
そうして、権利を得た。いや、限りなく義務に近い、アルバムの閲覧権だ。
最後まで見た。歯軋りをした。頭を抱えることしか出来なかった。
マリは膝が悪い。なのに死因は首つり自殺。だからうっすらと勘づいてはいたが、いざ開示されると、何も言えなくなってしまった。
もっといい方法はなかったのか。この事故を回避するにはどうすればよかったのか。どこから歯車が狂ってしまったんだ。いや、違うんだ。
もう、どうしようもなかったから、4年もの歳月が経ってしまったんだ。
やめてくれ。あの契約内容を見ないでくれ。話が違うとは言わないが、心がつらくなってくる。
でも、一番つらかったのは罪を秘匿し続けて心が限界になったサニーであり、バジルでもあって、プレイヤーの苦痛などは足元にも及ばない。
だから、プレイヤーが、世界を共に歩んだ僕こそが彼らの手足にならなければならない。
マシなエンディングまで導かなければ、ならないんだ。
結局、あの告白はベターだったのだろうか。
事故ながらも姉を殺し、バジルと共に自殺偽装した。あのコンサート直前の励ましですら、主観的な願望に他ならない。
でも、彼には友達がいる。しかも強くて、優しくて、とても愛おしい。
それに、あれだけの過程を乗り越えてきたんだ。4年分の痛みは、きっと理解してくれる。
つくづく思う。OMOCATはよく告白後を殆ど描写しなかったなと。
ひどいよ。ここまでついてきて、最後はサニーとバジルの笑顔だけなんて。
もっとくれよ。オーブリーは?ケル、ヒロは?彼らのその後は?本当に知りたいことだらけだ。
ホント、良いゲームだよ。OMORIは。お前がGame of the Yearだ。