「ATRIとアスノヨゾラ哨戒班は相性抜群では?」というATRIの話をしよう。[ATRI感想・備忘録]
注意 : ネタバレ注意です。
大々的にアスノヨゾラ哨戒班と書いていますが、その話が出るのはATRIエンディング後、つまり本記事の最後です。
それまでは筆者のTwitterと共に綴られるATRI感想をお楽しみください。まだプレイしていない方は下のリンクよりATRIを買ってプレイしてみて下さい。ボリュームは10時間ほどで低スぺノートPCでも動くので是非是非・・・!
ATRIを、プレイした。
ATRIとは、脚を無くし借金に追われる少年「斑鳩夏生」とポンコツアンドロイド少女「アトリ」との夏の思い出を綴った、ボーイミーツガールの結晶と言えるノベルゲームである。
みたいな紹介を兄貴からひたすらプッシュされたのが始まりだった。
いや、正確にはあらすじどころか「ATRIをやれ。いいからやれ。」という簡潔な嘆きを隙あらばLINEに送られたのが始まりだった。
以前に僕はTo The Moon、Steins;Gateをプレイしてその完成度と読了後の余韻に魅了されたため、、ADV並びにノベルゲーに対し「これまで遊んでこなかったけど、とにかく心を抉ってくる良作が魍魎跋扈してんじゃね??」とジャンルの計り知れない奥深さに好奇心を抱いていた。
そういう訳で、このATRIとやらは一体どれほどのものなのか・・・と興味本位でSwitchゲームソフトを舐めるが如く、恐る恐るプレイしたのであった。
※Switchゲームソフトは誤飲対策として世界一最も苦い成分「デナトニウム」が塗られている。無害だけどマネは禁物。
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「あれ?思ったより気楽に楽しめる・・・?」
まぁ序盤から「ヒロイン死亡!!友人死亡!!はい絶望!!死ね!!!」な超急展開なんてあるはずが無かった。あったらもうメンタル逝ってそう。
序盤は商店街行ったり、学校で発電機作ったり(?)と如何にも夏らしいシーンがメインで、純粋に楽しめる内容だった。
ただストーリー上、ずっと楽しい日常が続くことは大体あり得ない。ノベルゲーに限らず、小説や映画を楽しむ時はいつも「次はこういう展開来るんじゃね?」と脳の片隅にメタ思考を置いてしまう。「いつから主人公の状況が悪化するんだろう・・・?」と少し考えながら進めていった。
けれど、けれどね。
主人公&ヒロイン、夏生とアトリの甘々な蜜月がマジでずーーーーっと続いた。
いや嬉しいんだよ。幸せに過ごしているのは本当に嬉しいんだ。
だけど脳の片隅にしまっておいたあの考えが、段々と存在感を増していった。
脳内で「そろそろ日常崩壊するで派」VS「ずっとハッピーだから安心しろ派」が激しい争いを繰り返し、えっ何これセルフ狼少年?と突っ込みたくなるレベルで心が既に消耗していた。
・・・そして、遂に派閥戦争に終わりを告げる時が来た。
以下、ネタバレ最終防衛ライン
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「うわああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
「いや分かってた、分かってたはずだったんだ・・・蜜月はネバーエンディングじゃないのは最初から察していたんだ・・・」と言い聞かせたものの、急展開をここぞとばかりにズドン!と刺されたあまり心がボロボロになった。もう何も信じられない。
裏を返せばノベルゲーに心の底から楽しんでいる証拠なのだけれど、やはり辛いものは辛い。
この時の主人公の夏生には、お互いに絶対的な信頼を置いている男友達「野島 竜司」というナイスガイがいるのだが、あまりの状況の辛さに僕は竜司に助けを求めることしか出来なかった。
しかし、ここからがノベルゲーの真骨頂だ。
希望を掴み取る為、あの蜜月の日々が嘘じゃないことを証明する為、夏生を支えてくれた皆の為。
どん底からの起死回生、物語は意外な形で好転していった。
「落ちるとこまで落ちたら後は上がるだけ」とも言うが、やはり形勢逆転する物語はいつ見ても胸に込み上げるものがある。
その結果、アトリにある変化が生じた。かわいくなった。
もっと言えば、人間の心が芽生えて愛おしくなったのである。
この変化からが物凄く楽しかった。
各キャラクターの心情を深く深く掘り下げていき、これまでの伏線が回収されていく。その中で揺れ動く主人公とヒロイン、もう先がどうなるか考えるメタ思考はとっくに脳内から抜け落ちていた。
また、以前Steins;Gateで味わった「プレイヤー = 岡部(主人公)」という深い没入感とはまた違う、「意識、心とは何か」という問いをプレイヤーに投げかけて考えさせる没入感があるのが興味深く楽しかった。
他にも、この手のストーリーで好きなのが序盤に言ったセリフが大きな意味を帯びてもう一度終盤で繰り返される演出であり、ATRIもまた実に良いタイミングでぶち込んできた。
終盤、自身の成すべきことを自覚した主人公を祝うかのように、鮮やかに彩る夜空とロケットの一枚絵がとても印象的だった。
これを見たとき、瞬時にあのボーカロイド楽曲が脳裏に浮かんだ。
そう、アスノヨゾラ哨戒班だ。
ただサムネイルが似ていただけかと思ったら、意外にも「未来に希望を託す」「未来へと繋ぐ」というテーマが、ロケットを眺め意志を固める夏生と一致していたのだ。
厳密には違うかもしれない。しかし、ATRIのエンディングを迎え、読了後の余韻をさらに味わうには、十分すぎるほどの相性抜群なシンクロだった。
・・・プレイした感想、改め自分向けの備忘録を長々と書いて再び感じるのだが、このゲームに出会えて本当に良かった。
だが悲しいかな、この感動は一度きり、味わえるチャンスは一度きり(OneShot)しかない。再走しても同様の感動は得られないことが多いのだ。
ならば、籠もったこの感情をnoteに書き留め続けるしかない。
なのでスキとフォローを何卒・・・よろしくお願いします・・・
次は一度きりのADV「OneShot」感想記事予定ですので・・・