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僅かな赦免を抱くまで [OMORI/GoodEnd√感想]
追記:感想というよりは思考の掃き出しに近いので、文章構成がちぐはぐだったり、ロールプレイ思考があっちこっちしてるから「走り書きのメモをどうにかして繋げたかったんだな…」と感じてくれればありがたい。
でも推敲する気はない。スマンナ
OMORIを、クリアした。Discordで友人3人に配信しながらやるスタイルでプレイ。ひとまずグッドエンド√。
ネタバレ全開で行く。故に、本記事は既にOMORIをクリアした者に向けて述べる形となる。
未プレイの方は是非とも爆速でブラウザバックしてSteamなりSwitchなり、お好きなプラットフォームでOMORIを遊んでほしい。初見プレイでしか味わえない感動を損なう前に。
また、主人公の名前を「サニー」から「ウォーシップ」に変えている為、スクリーンショット内の名前が文章と噛み合わないことがある。基本「サニー」として話を進めていくが、後に「ウォーシップ」としての話が挙がるので、ご了承頂きたい。
まず一つ、とある問題がある。クリアした方にも聞きたい。
グッドエンドでのサニーが罪を告白するシーン。
貴方は、マリを殺したサニーを赦すだろうか?
バジルも共犯者だが、「サニーとオモリの冒険を観測した」プレイヤーの貴方として、ここではサニーのみに絞って質問することにする。
さて、どうだろう。
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僕は…分からない。クリア後からずっとこの問いを考えている。
こちらの記事では、「サニーが告白することはむしろ『地獄の門が開く』のではないか」と述べている。確かに、この告白を経てもなお彼らが友達でいられる確証は、残念ながら無いと思われる。
僕は、この悲劇に概ね同意だ。グッドエンド√を走っている時、正直言って「これは赦されるものではない」と思っていた。姉であり、グループの中でも大事な存在でもあるマリを不本意ながらも殺してしまい、自殺に偽装した。そうだろう。端的に言って赦されざる犯罪行為だ。
…そう断じることが出来れば、どんなによかったのだろう。楽だったのだろうか。
僕の結論は「赦せない」ではない。「分からない」のだ。
いや、正確に言語化すれば、「赦せないのに赦してあげたい」。だから「分からない」のだ。恐らく、上記の記事でも完全に「赦せない」と断言している訳ではない。
何故か。
肯定側から言えば、サニー、オモリと共に30時間もの長い旅を過ごした結果、彼の辛さ、頑張り、覚悟、罪の意識…ありとあらゆる感情に触れ、ここまでの過程を肯定して赦してあげたくなったからだ。少なくとも、観測者の僕はそう感じた。
現実から逃げる為、そして一つずつ受け入れる為に、あれだけ膨大で緻密なヘッドスペースを長い時間過ごしたのだ。本当に長く、辛い痛みの伴う旅だった。(戦闘面の皮肉も一応含む)
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そして、友達の絆ほど奇妙なまでに不確定で、強固な関係はないと思っている。 僕がサニーの罪を赦したくなったように、どんなに時間がかかっても、いつか彼らもまた、サニーを受け入れてくれるのではないか。友達が赦してくれているなら、僕も赦す気持ちになる。
ただ、これだけ赦したい気持ちがあろうとも、どうしても否定的な意見が頭から離れない。むしろ、3:7で赦せない気持ちが優勢といったところだ。
例えば、ラスボスのオモリ戦。戦闘中、オモリはサニーに向けて存在を否定する言葉を投げかける。
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己の罪と向き合い、自己否定の念に駆られながらも、勇気を振り絞って克服するサニーの構図を表している。オモリはその引き立て役として数々の呪いの言葉を発する訳だが、そのオモリを倒すことは彼の言葉を否定し、「そんなことはない」というメッセージに繋がるだろうか?
僕は一概にそうとは思えない。むしろ、オモリの言葉の方が現実的にしっくりきた。きてしまった。
いや、そもそも現実的な、つまり「ごもっとも」な言葉だからこそ自己否定に繋がるという逆説的なパターンもあるが、とにかくオモリの言葉を否定できないのだ。そして、頷いてしまう。
そういえば、このゲームにおける絶対に肯定できるものって誰だろう。多分いない。ジュブナイル物語ってこういうグレーゾーン、白黒はっきり出来ない立場を抱える思春期の少年少女が魅力だと思うんだけど、この手の物語はあまり読んでこなかった。
そう、このゲームは唯一の絶対的正解がない。そんな気がする。
正史やトゥルー√はあれど、他の√が「もしも」というよりは「もうひとつの解」という形だと思う。むしろ、今回歩んだグッドエンド√があまりにも奇跡に奇跡を重ねた、一縷の希望をギリギリまで失わなかった理想の物語に見えて、否定的なリアリティをずっと胸に抱えてしまった。
…さて、いつまでたってもあやふやな答えを出す訳にはいかない。赦すべきかそうでないか。
サニーがそうだったように、逃げて逃げて逃げ続けても、いつかタイムリミットがくる。
だから、腹を決めなければならない。僕はそう学んだ。
…そうだよな?俺。赦せない気持ちが優勢なんだろ?
…
……
いや、分からない。分からなかった。
クリアしたあの夜から、ずっとキーボードを叩いて色々調べた。考察記事も見た。他のエンドも文字媒体のみに限って断片的に調べた。あのグッドエンドにおけるサニーの告白が友達にとってどう伝わるのか。そして、僕の気持ちはどちらに近く、どちらに決めるべきなのか。
結局、何も決まらなかった。
思考停止して客観的な事実だけ拾っていけば、僕の解は否定になる。だけど、それが出来なかった。やりたくなかった。
思考停止して主観的な経験だけ拾っていけば、僕の解は肯定になる。だけど、それが出来なかった。やりたかったのに。
わかんねえよなぁ
— Driver (@Drvr91) July 3, 2022
「わかんねえ。わかんねえよなぁ。そういうゲームだから。」
こう決めつけて判断の責任をなすりつけたかった。でも、自分で決めなければならない。
現時点、当時の思考回路を復元しながら解をはっきりさせようと藻掻いているが、心がグシャグシャになってくる。いつの間にか涙も出てきた。暑さでゲロも吐きそうだ。
僕は現実世界で作られたトラウマがある。流石に中身は言えないが、クロージングをいつまでたってもせずにあやふやにしてるせいで、たまに顔が強張る程の。
その記憶も呼び起されるくらい、OMORIで旅をしてしまった。思い出を作ってしまった。サニーの痛みを共有してしまった。
…いや、この共有して取り込んだ痛みは、「ウォーシップ」のものなのかもしれない。
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また、主人公の名前を「サニー」から「ウォーシップ」に変えている為、スクリーンショット内の名前が文章と噛み合わないことがある。基本「サニー」として話を進めていくが、後に「ウォーシップ」としての話が挙がるので、ご了承頂きたい。
ずっと謎に思っていた。「なぜサニーの過去が色濃く出るこのゲームで、名前を変えることが出来るのだろう?」
その過去はサニーのものだ。コピーアンドペーストしたって変わらないはずだ。
じゃあ何故か。多分、サニーのものと知っても尚、その苦しみや辛さをプレイヤーと共有して生まれる感情を、そのままプレイヤーに還元したかったからじゃないのだろうか?
ただ、それだと疑問が残る。それならば、マリを殺したシーンをプレイアブルにして「お前が殺した」と当事者意識を持たせる展開もあったはずだ。なのに、それがなかった。名前を変えられるだけでは、プレイヤーに感情を還元するのにも限界があるのではないか。
ここは一介のプレイヤーが想像してもキリがないのでこれ以上は論じないが、少なくとも僕は、サニーから名前を変えられることで、プレイヤーにもOMORIへ感情移入する権利が与えられたと思っている。
余談だが、ウォーシップ(Worship)の語源は僕に本来付くはずだった下の名の英訳だ。都合が良いのでたまに使うのだが、OMORIを通してより愛着が増した。
話を戻すが、ウォーシップとオモリの旅は本当に色んな事があった。
スペース元カレに負けてレベリングを行ったり、解読班になった友人が「ABCE」だけで「WELCOME TO BLACK SPACE」を導出したり。
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スイートダンジョンにいる苗モグラがスイッチ一つで突如爆散して驚いたり、マリが死んでいることを知って死因や理由を考察したり。
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バジルがアルバムをウォーシップに託すことに違和感を覚えたり、ピザ屋のバイトが予想以上に難しかったり。
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カーテンとマリの関係から、「カーテン越しにマリの死体を見たとしたら、首つり自殺?いやマリは膝が悪かったらしいし…」と考察することもあった。
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ブラックスペースでは、あまりの支離滅裂な光景に「精神世界を理解することはナンセンスでは?」と諦めるも、現実世界と比較して意味を見出そうとすることもあった。
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楽しかった。怖かった。30時間もの旅を経て、徐々にサニーをウォーシップの物語へと作り上げていった。
だからこそ、オモリ戦でコンティニューすることにためらいはなかった。
あきらめたくなかった。
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ふと、気が付いた。
「貴方は、マリを殺したサニーを赦すだろうか?」
この問いに対し、「分からない」という考えは変わらない。
しかし、徐々に投影していくことで生まれたウォーシップなら、あのオモリを打ち破って、罪を告白することを決断した僕自身なら、ほんの僅かだけ、小さな意志を持って赦すと思う。
僕のOMORIのロールプレイは以上だ。基本ゲームをプレイする時は全力でのめり込んで遊ぶため、後から思考回路を掘り起こしてみると理解し難い考えになっているかもしれない。結局サニーの判断からは逃げているしね。
それでも、こういう遊び方をしたプレイヤーがいて、自分なりに解を出そうとして藻掻いた証を残しておきたかった。
OMORI、素晴らしいゲームでした。ありがとう。