準備時間24hで臨む!崖っぷちドイツワインケナー挑戦記 - 前編: 筆記試験編-
24 -Twenty Four-
ジャックバウアーじゃないよ私のケナー対策総学習時間だよ!(古い)
…ということで超突貫崖っぷちにてケナー試験に臨んで来たので、落ちた場合は浪人する自分への備忘録に、万一受かってたら「こんなんでもいけるのか」と来年以降受験される方の間口を広げるために、記録に残してみます。
(11/2更新: 合格してました!)
間違っても高得点・上位入賞狙いではなく、むしろ逆に「どこまで削ってギリギリ合格できるか」を意図的に狙いに行った記録ですので、こんなポンコツ記録をご覧になられる奇特な方がもしいらしたら、くれぐれもその前提でご覧いただければと思います。
まとめ(後編内容含む)
総準備時間は座学約18-20h、テイスティング約4h、計24h程度
筆記は過去問と対策講座資料中心。テキストは意図的に「捨てた」
テイスティングはレコール講座中心。他はカシエルさん小瓶1回、自主練3本(3種)
テイスティングは品種5/5・地域4/5正解
結論: 合格(かつ入賞)してましたので、「レコール授業活用しつつ無駄を削ぎ落とせば24hでも受かるよ!だからみんな気軽に受けよう!」がキーメッセージです
受験の経緯(ただの与太話/飛ばし推奨)
今年の新年の抱負で「そうだ、ワインエキスパートエクセレンス受けよう!」とJR東海なみの突発的思い付きにて受験を思い立ってしまったわたくし。
諸事情により準備時間8日間でエクセレンス受験対策に臨む事になるも、学習3日にして既に絶望の淵を覗いておりました。←あたりまえ
ワインを飲むには全く知らなくていいような謎の土着栽培方法やら歴史上の小ネタやら、はたまた仏伊西独東欧各言語のフルスペル暗記でもはやアクセント記号がゲシュタルト崩壊を起こしかけていたその時、突然に思ってしまったのです。
「もっとこう、癒される試験が受けたい」
…と。←人はそれを現実逃避と呼ぶ
そう思ったが最後、切羽詰まってたはずの勉強そっちのけでエクセレンス以外の色々な資格について眺め始め、気づいてしまったのです。
「ドイツワインケナー、〆切今日じゃん」
…と。
もはや完全に頭がおかしくなっていたとしか言いようがないのですが、気づいたら最終日滑り込み申し込みをかましておりました(ちなみに申し込み順最後から3人目でしたw)。
ちなみにケナー申込〆切が9/27、エクセレンス一次が10/7、エクセレンス一次結果発表が10/17、ケナー試験が10/27。
申込時点でケナー試験の勉強に割けるのは最大でも3日間程の状況でした。なんたる崖っぷち…!
学習の計画と実行
これは単なる私の持論ですが、あらゆる試験は結局のところリソース配分の勝負。特に今回のように限られた時間前提ならなおさらで、もはや学習計画で8割方勝敗が決まると言って良いはず。
なので、まず最初に「何を捨てるか(やらないか)」に焦点を絞り、学習計画を立てました。
まず最初に「高得点(上位入賞)を狙わない」事を決めました。
これはエクセレンス試験の合間に受ける事になるという状況ももちろんありましたが、それ以上に「高得点を狙おうとすると途端に対策時間の跳ね上がりそうな試験だな」と過去問をざっと見た段階で思ったためです(詳細後述。入賞してしまってたのですが、結果論であり狙ったものではないです)次に、ワインスクールの直前対策講座を探し、レコールの北嶋先生&吉住先生の対策シリーズで以下の3講座(各2h)に申込みました。カバレッジ的にはケナー並級なら下記3つでジャストだったかと思います
ドイツワインケナー試験対策①「総論」
ドイツワインケナー試験対策②「各論」
ドイツワインケナー試験対策③「テイスティング専科・白」
※上記の他④テイスティング専科・赤白、⑤テイスティング専科・赤、⑥仕上げ、⑦テイスティング覚えこみ…と万全の講座ラインナップ!
その次に、学習計画を立てる上での情報収集として、過去の受験者が公開して下さっているありがたい情報を参照しました。
特に「ワインを学ぶこと」さんと「Dr. Vin Jaune」さんのnoteを大っっっ変参考にさせて頂きました(この場を借りて一方的に大感謝)
最後に、得られた情報と「高得点を狙わない」目的設定にもとづき、より具体的な学習計画を立て、実行しました。具体的に設定したToDoと所要時間は下記の通り
レコール3講座への出席: 座学3h、テイスティング3hの計6h
協会公式対策講座資料: 1-1.5h
2周通読+暗記箇所の一部のみ2~3回復習
主な暗記箇所は下記(一部はQuizlet化)
州と生産地域
交配品種関連
重要用語
ワイン法関連、等
過去問に写真問題があるが教本には写真が無いので、写真はこちらの講座資料を頼るしかない
過去問5年分: 8-10h(計7周)
1周目はわからない部分(正解の選択肢以外も含む)を調べたり理解したりしながらで、これが6-7h
2周目以降は不正解問題のみ&早解きなので、6周合計で2-3h程度
協会公式対策講座資料や過去問から一問一答形式で覚えたいものをQuizlet化(単語カードアプリ)して覚える(作成1-2h、記憶1-2h)
テキスト「ドイツワインの魅力」は意図的に学習しなかった。一部辞書的に参照したのみで、0.5h
参考) 以下、学習計画や使用した資料についての補足事項です
過去問と対策講座について: 試験申し込み時、希望者のみとなっている「過去問題集(4000円)」と「対策講座(オンラインテイスティング無し4,000円 or F2Fテイスティング付き13,000円)」はほぼ必須
テキストのみでの学習は非現実的レベルに非効率(後述)
配布資料が重要なので、仮にZoom講座に出席できなくても、資料入手目的でオンライン講座を申し込んでおくと良い(私自身、Zoom講義自体は別件の私用のオンラインミーティングに出ながら片耳で流し聞きする事しかできませんでした)
テキストについて:
当初、過去入賞者の体験談にあった「過去問を見てテキストに線を引く」を真似ようと思いましたが、テキストの特性上時間効率が悪かったのですぐに辞めて計画変更しました
公式テキストは、「読み物としては良いが、試験学習向けではない」テキストと判断しました
章構成が特殊なことと、紙媒体で検索性が低いことの併せ技で、どこに何が書いてあるのかが大変わかりにくい
文章中心(図表などが殆ど無い)で情報効率が低く、覚えにくい
よって、テキストは問題集や対策講座でわからない点があった時のみ辞書的に使うこととしました
レコール講座について:
講義コンテンツそのものに加え、配布資料の豊富さ、テイスティングアイテムの選定や解説等含め、総合的に大変お勧めでした
講座では配布資料に無い「投影のみ」のスライドが多く使用され、写真撮影可のようでした。私は今回は撮影しなかったのですが、今度再度取る事があれば撮るようにしたいと思いました
また、講座での試飲ワインを小瓶に入れて持ち帰る事もOKのようで、レコールさんで小瓶の販売もされているようでした
Quizletの時間効率はいいのか?:
今回の勉強時間だと微妙(損益分岐点くらい/作成にかかる時間を使い力技で覚えきっても良かった)です
但し、来年以降浪人した場合or上級ケナー受ける場合のアセットになる事、通勤などの細切れ時間をあわよくば利用できる点を入れて作成する判断をしました
2024筆記試験本番
私見を含みますが、2024年の筆記試験は下記のような感じでした。
設問数: 変化無し(例年通り107問)
設問構成: ほぼ変化無しと思われる。参考までに2023年の問題構成は以下の通りで、これと大きな差はなかったと記憶しています
ドイツ一般歴史・文化: 8問
ドイツワインの歴史: 7問
ドイツワインの概要(生産地域・用語・統計・品種等): 44問
栽培・醸造・土壌: 27問
実在のエティケットに基づく問題: 6問
その他選択問題(トレンド、ドイツワイン法、ペアリング等): 8問
記述式問題(生産地域と地図上の場所、ワイン用語): 7問
問題難易度: かなり難化したと思われる
問われている事自体が難化したというよりも、問い方や選択肢が例年よりいやらしくなったという印象 以下例:
詩人アウソニウスについて、今までは「どの地域のことを詠んだか」か聞かれていたのに、「アウソニウス自身の出身がどこか」という問題に(対策講座資料に記載なし)
レゲントの交配について、選択肢は「ディアナ×シャンボーソン」との記述。対策講座では「(シルヴァーナー×ミュラートゥルガウ)×シャンボーソン」の記述であり、テキスト巻末の交配品種一覧の備考欄にしか「ディアナ=シルヴァーナー×ミュラートゥルガウ」との記載はない
フランケン赤白比率について、選択肢の数字間隔が近すぎ(82:18と77:23が両方選択肢に含まれている等)、「だいたい8:2くらい」ではダメで、1の位まで覚えないと答えられない
各生産地のリースリングの栽培割合問題について、 例年であれば「比率最大の生産地域はどこか」程度の問い方でした。一方今回はtop5までの順序を問うており、かつ選択肢間の差が僅差なものになっていました(例えばモーゼルとミッテルラインのリースリング比率は1-2%差程度で、それがわからないと解けないような組み合わせ)
…などです
とはいえ…なのですが。
私はボーダーラインが何%程度なのかは知りませんが、例年合格率70%程度であることを考えると、おそらく6~7割程正答できていれば合格なのではないかと思います。そういう意味では、いやらしい問題を全て落としてもおそらく合格ラインには達すると考えられます。
ただ、上位入賞を目指そうとするとより面倒になったのだろうな…という完全に他人事の感想を抱きはしましたw
考察: 今後に向けて
考察①: 2024年の問題を踏まえ、今後の傾向と対策は?
今年の難化傾向が継続するかは不明(揺り戻しもありうる)ですが、今後は「選択肢のいやらしさ」対策をしておいた方が安全ではありそうです
具体的には前項の例題に挙げた通り、「統計は数字を1桁まで覚える」「対策講座資料に出た内容についてはテキストも参照して補足の情報を得る(アウソニウスの出身地や、レゲント親の品種名やら)にあたるもの」など。ただ、そのあたりは時間コストとのバランスなので、単なる合格狙いなら諦めもありかもです
考察②: もし「高得点/入賞狙い」で臨むとしたら何をしたか?
今回は状況上はなから「低得点通過狙い」の戦略を取りましたが、浪人するなら次は高得点狙いで行くかもしれません。
実際に今回高得点を狙って対策された方の情報の方が参考になるとは思いますが、「自分が今回意識して切り捨てた逆を狙えば高得点になるのでは」という意味では、以下を考えます(重要と思う順に並べています)
テキスト: まず、通読も1度はする必要がありそうです。とは言え通読で覚えるのは厳しいので、並級に加えて上級ケナーの問題も一通り目を通して「試験に出そうなポイント」を追加把握した上で、該当箇所だけテキストから拾ってQuizlet化するという方法を取ると思います
統計・数値系: 今回はざっくり(例えば順位で覚えるものはトップ5まで、パーセンテージは大体の割合くらいで覚える等)で済ませてしまいましたが、その逆でトップ10くらいまで覚える、パーセンテージはビタ覚えするなどより細やかに覚える必要がありそう
テキスト巻末単語集: 今回は対策講座で抜粋されていた単語+過去問に登場した単語のみ絞っていましたが、巻末単語リストを全て覚えるくらいが必要か
歴史・文化系: 基本的には捨て問にしていましたが、高得点狙いなら落とせません。レコール講座である程度まとめて下さってはいますが、しっかりやるならドイツの歴史系の本・観光案内などのソースから追加でまとめる必要もありそう
【番外】テイスティング: 上位を狙うとなるとヴィンテージ以外は1問落とせるかどうかといったところだと予想します。それを狙うのであれば、苦手品種の復習と、赤対策はもう少し厚くしたいところです。また、レコール吉住先生が直前に開催されていた「覚え込み講座」はぜひとも出たい
後編(テイスティングについて)も綴ってみました↓