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HIPHOPのMV 20曲をピックアップ(2022年6月公開作品)
Twitterで毎日レビューを書き続け、4年目に突入したドラム師匠です。今回は、2022年6月に公開されたMV 20曲をレビューしました。
最近のHIP HOPを知りたい
曲にまつわるストーリーを知りたい
なんて人にオススメの記事です。それでは20曲の音楽の旅へ…
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Hold, Re-Sample Quartet / 100Ninchou
2022/06/03 公開
パプアニューギニア出身で、Daichi Yamamoto、KOJOE、5lackとの仕事でも知られるビートメーカー / キーボーディスト Aaron Choulai 。彼の呼びかけにより、SaxのYoshimoto Akihiro 、オーストラリア在住のトランペッターEugene Ball、MCには 田中光(Dry Echoes) で結成された Hold, Re-Sample Quartet 。
夜のアーバンな香りのするJAZZYなトラック。まくし立てるラップは、行き交う人々の足音のようであったり、人が多いことで生じる未整理な雑多さのようだ。ムードを作り出していた管楽器が、後半ラップと絡みあうアンサンブルにゾクゾクさせられる。
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Warbo / Feelin’ Down feat. Itto(Prod. DJ Mitsu the Beats)
2022/06/03 公開
名古屋を拠点とする音楽集団・Pitch Odd Mansion の人気コンピレーションアルバム『2 HORNS CITY #3 ーINSOMNIA HOTEL-』 に収録された曲。
コロナが猛威を振るった時期に制作されており、描かれる閉塞感。それでも絶望を乗り超えて光を見出そうとする姿に、人間のタフさを思い知る。
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呂布カルマ / THE KENJA(Prod. Mr.蓮)
2022/06/06 公開
▌賢者タイム=性交後憂鬱
MCバトルで絶対強者となった 呂布カルマ は、AbemaTVでひろゆきを論破したり、ACジャパンのCM に出演したりと活動の幅を広げている。
この曲は2021年6月23日に発売されたアルバム『Be kenja』に収録された曲。
生きてるだけでは満足できなかった、規格からはみ出たドロっとしたエゴが飛び散った曲。それは生命の神秘とも取れるが、研いだ刃物のような死につながる緊張がある。呂布カルマの歪さが育んだオリジナリティ。
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Teddy Habits × LEAP / Complex(Prod. JG)
2022/06/07 公開
HIPHOPバンド・TOKYO RAVE GROUPIE のMC・Teddy Habits とLEAP のダブルネイムEP『ATOZ』からの一曲。
刹那げなアコギと疾走感のあるエレキが入り混じる青春サウンド。傷だらけの二人だからかけられる言葉がある。いま苦しんでいる人に「大丈夫」と包み込み、そっと勇気づけてくれる。
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BENTO KIDZ / 優勝(Track by BABA Sounds)
2022/06/08 公開
▌とにかく圧がスゴい!
「How Gee」のヒットでおなじみBlack Machineばりのファンキーなホーンチューン。トラックは濃いが、BENTO KIDZのキャラも濃くて原液のようだ。
メンバーは、GACO 、鴉 a.k.a jungo 、TA2YA a.k.a FLAME&Tの3MCとDJ Murachiで、映像からニジみ出る仲の良さ。ほどよく下品なところも最高。テクニックあった上での過剰なサービス精神。
梅田サイファー好きなはぜひ!
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ralph / Ridin' Mode (prod. Double Clapperz)
2022/06/10 公開
DJ KRUSHのライブツアーに参加するなど、秀でた実力でDrillの先頭を走る ralph 。危機感をあおるクリッピングされたDrillサウンドに、低音かつ早口でまくし立てている。
エッジを効かせたダークさは以前と変わらないが、なぜか聴きやすい絶妙なサジ加減。Ridinはスラングで「よその陣地を襲撃する」という意味があるらしく、ralphの意識が外に向いていることを表している。これからどう進化するのか?これは目が離せない。
「So アングラだとかメジャーだとか知るか 全部奪い取る」
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Ole × m-al / Lost Day(Prod. m-al)
2022/06/08公開
映像作家としての顔をもつラッパー Ole 。デビュー時には、遊びの延長で始めたような軽快さが、怖いもの知らずで無双してた。
デビューから3年以上が過ぎたOleの久々の新曲は、「何周遅れなのか今となっちゃ分からないよ」と自分への問いかけから始まる。それは悲哀に満ちており、無邪気だけでは通らない大人になった姿が映し出されている。
立ち止まることで向き合う心の内。周りには自然があり、自然が答えを導いてくれている。気だるいHOOK。そして自分に言い聞かせているかのようなリリックが印象に残る。
「まだいけんのか Be all right Be all right」
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EVISBEATS & Nagipan / Bon voyage feat. 田我流
2022/06/10 公開
和歌山の自然に囲まれながら山暮らしを楽しむビートメーカー兼MC・EVISBEATS とキーボーディスト・Nagipan による2人名義でのアルバム『PEPE』に収録された曲。
10年前にリリースされ今だに人気のクラシック曲"ゆれる"や"夢の続き"を生み出した田我流をフィーチャーし、相変わらず相性の良さを見せている。この曲で流れるゆったりとしたいい時間。人生の舵取り〜真実〜ビートたけしまで登場する遊び心にあふれたリリック。余白が多く、音を楽しむゆとりが感じられる。
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JUBEE / 手紙 feat.(sic)boy (Prod. AWSM. )
2022/06/09 公開
90sミクスチャーロックにあった、あらゆるジャンルを丸ごと飲み込む貪欲さを継承するラッパー JUBEE 。爽やかなギターが牽引するこの曲は、痛みのあるリリックと相まって切なさが混在している。
特にディストーションを効かせたギターと、Whoooooというコーラス、さらに (sic)boy がコーラスを重ねる箇所が超気持ちいい。
Steady&Co.が好きならぜひ!
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JAMBO LACQUER × ดีUSTY HUSKY × B.I.G.JOE /トゥナイト(Prod. BomJa Break)
2022/06/15 公開
楽しむをたしなむ大人のダンスミュージック。
シングル「惑星抱擁」のリリースが記憶に新しい、WARAJIのJAMBO LACQUERとDINARY DELTA FORCEのDUSTY HUSKYとの二人のコラボに、北海道のラッパー B.I.G.JOE が加わった作品。
大人の余裕を感じつつ、大人になることでできた殻を音楽の力でブチ破る。「全部嘘さ」と政治的メッセージを入れ苦味を加えつつ、踊ることで魂を解放してくれる。
仕事に追われて、自分を見失っている人にオススメ。
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ikaningen & dork boy / dork boy
2022/06/18 公開
けど幸せに生きたいよ
だからそこ死にたいんだよ
理解してあげたいのに理解してあげられない共感のできなさは、彼らの生き辛さに直結しているだろう。
常に付きまとう死の匂い。心が痛む音楽はもう聴きたくない。
そんなことを思いながらグイグイ惹きつけられる。ikaningen & dork boy は情報が少なく詳細は不明。
映像での壁に空いた穴は、心の痛みの現れであるが、同時に世間に求めるSOSでもある。思いをリリックにすることで、細い糸で社会と繋がろうとする姿に救いがある。
ふと小さく声が小さくなる瞬間があって、彼らが消えてなくなりそうで緊張感が走る。
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Flight-A / FXXk haters(unreleased) | 03- Performance |
2022/06/18 公開
ぶら下がった1つマイクに向かって、MCがパフォーマンスをする注目のYouTubeチャンネル・03- Performance 。今回は静岡県磐田市のラッパーで、多国籍集団 GREEN KIDS の主要メンバーである Flight-A が登場。
0から1に上がってる今
恵まれない環境も含めてhatersに噛み付く。言葉を唯一の武器とし、何もない所からマイク一つで成り上がっていく姿勢が、 03- Performance のコンセプトと合致。育った団地を背景にしたパフォーマンス。そして最後は場を立ち去り、同じ境遇の人々に夢を与える魅せ方も上手い。
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Maddy Soma / OKE
2022/06/21 公開
ブルガリア民謡を思わせる声楽隊は、精霊と交信するかのようにスピリチャルな世界へと導く。一方で低音でうごめく808ベースは凶悪さを放ち、天国と地獄が同居するDrillトラック。複雑に絡み合うリムショット。リンクするように回転する Maddy Soma のラップは、悪夢すらも燃やし尽くす。
漆黒のなかに、炎の明るさ、スピリチュアルな透明感など様々な色が混じりる不思議な作品。
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Killing Mob feat.裂固 / It'sMagic
2022/06/22 公開
名古屋のラッパー Killing Mob が、岐阜のラッパー・裂固をフィーチャーした作品。
振ると音が出るオモチャのような音色、バウンスするビート。ほどよく角ばった言葉が、小回りを効かせて回転する様は、小石が坂道を転がっていくようで耳心地が最高!ライブで、みんなが笑顔になるアンセム。
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CALI MELLOW & Kidney Fuji / Prove
2022/06/27 公開
水々しいトラックの上で、メロウに歌う2MC。CALI MELLOW のザラついた声には、日々の不満が宿るが、実力で分からせるという思いがタイトルに表れている。
惜しまれつつ解散してしまった茨城県土浦のクルーSOUTHCLOUDのメンバーKidney Fujiによる色気あるフローもいい。
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GG×DJ SWEEP / SAKURA(Prod. DJ SWEEP)
2022/06/28 公開
ラッパー Garahavi とのユニット・DRYNAGE ORCHESTRAの元メンバーであり、プロデューサー / DJとしても活動する覆面がトレードマークの神奈川のラッパー GG as G.B.S 。そして 、同郷のDJ / ビートメーカーとしてレゲエをはじめ、ヒップホップなど幅広く数々の著名人をプロデュースしているDJ SWEEP 。
この二人が作り出したのは、エレガントなピアノがループする90s調のBoomBap。ハードなラップスタイルで自分の信念を語るVerse1。そしてVerse2では、信念を貫いた先の未来を、子供達に捧げている。
この優しい視点。ギャップに萌える。
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赤目/ tiny brain(track by haruyoshi morita)
2022/06/26 公開
ニコラップで名を馳せ、梅田サイファーとも縁の深い 赤目 。フルートが導くファンタージーな世界に、カスれた声でマンブルに毒を吐く。そこにいるのは俺と君。ダメな君を振り切ろうとしてるけど、自分もまた不完全体で、どうしようもなく刺激を求めていく。
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Hawo Beats / Ghetto Boy Jake feat. Jin Dogg
2022/07/30 公開
ゆるふわギャング、YENTOWNのJNKMNがメンバーの謎の音楽集団・JODYのプロデューサー Hawo Beats が各地の猛者たちをフィーチャーしたアルバム『HOWA LAND』をリリースした。
そのアルバム収録された、Jin Doggをフィーチャーした楽曲。寒気がするほどの冷静さで言葉を吐き捨てながら、切り取るGhettoでの日常。そこには熱が帯びている。
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astl / 諦観/達観(Prod. kakasi)
2022/06/29 公開
諦観:物事の本質を捉えた上で諦めることを意味する
達観:物事の本質を捉えて真理を悟ることを意味する
長野で活動する音楽集団・Road Leef の中心人物 Warbo と jam fuden から成るユニット・astl(アストラ)。実は出身中学が同じだという。
JAZZYなトラックに合わせた2MCのハスキーボイスが魅力的。「ため息すらも歌詞になる」とあるように、ネガティブな状況も歌詞にすることで前に進めると歌っているが、実は未来から先導されて言葉を書かされているのでは?そんな感覚になるのが面白い。
Verse1のWarboが諦観、Verse2の jam fudenが達観を歌っているように思えるが真相はいかに?
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SOUL SCREAM / DNA feat. SHAMO, 輪入道 (Prod. by dj honda)
2022/06/28 公開
第1次日本語ラップブームの真っ只、メジャーレーベルから数多くのHIPHOPアーティストが活躍した1990年代。その追い風の中、新人としてデビューし、2MC & 1DJのグループ・SOUL SCREAM 。
1999年にヒットさせた楽曲「蜂と蝶」は、今だにバトルMCでスピンされ会場を沸かせている。グループとしての活動を休止が、2020年に再始動を始める。
そんなSOUL SCREAMの復帰第3弾となるこの曲は、同じくレジェンド・dj honda がプロデュース。タイトル「DNA」から分かるように、ここには彼らの明確な意図が感じられる。
音楽シーンの中で、注目を集めるようになったHIPHOP。彼らのようなレジェンドの活躍が若手を刺激し、奮闘させるのは間違いない。でもそれ以上に、俺たちを踏み台にさらにシーンを大きくしてくれというメッセージが感じられる。
その証拠に、次世代の中心を担うであろうSHAMO, 輪入道をフィーチャー。SOUL SCREAMのパンチラインを引用するなど敬意を払いつつ、彼らにしかできないVerseを蹴っている。
次 繋がるように生きる覚悟
意味なんかないよ 君も俺も
歩く道のり FREE
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終わりに
最後までお付き合いありがとうございます。いい曲との出会いがあったのならうれしいです。良かったら高評価とフォローもお願いします。皆さんのアクションが活動の支えになりますので…(これ本当です)
また、こんな曲もあるよって皆さんのオススメMVも教えて下さい。必ずチェックしますので。
最後に、この記事で紹介しきれなかった6月のプレイリストを作りました。さらに深堀したい人はクリックして下さい。では次の記事でお会いしましょう!また…
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![ドラム師匠@ヒップホップライター](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/20795455/profile_87d8b76b07da8a562325f7fc0c6f635c.jpg?width=600&crop=1:1,smart)