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医療安全って何?
医療安全とは、読んで字のごとく医療における安全のことを指し、
「医療者が安全で質の高い医療を提供し、患者がその医療を提供されること」
と言い換えることもできます。
医療安全が世界的に注目されるきっかけとなったのは、1999年12月に米国Institute of Medicine(IOM:(旧)米国医学研究所、(現)全米医学アカデミー)が公表した”To Err is Human: building a safer health system(人は誰でも間違える)”というレポートです。レポートの要旨としては、米国で投薬ミスや医師の過労による医療過誤(medical error)で年間44,000〜98,000人もの入院患者が死亡しており、その数は正しい対策を取ることで減らせるというものでした。
このレポートは発表後に多くの批判を浴びることにはなりますが、世界中に激しい衝撃を与え、医療安全に関する意識を高めた名著として広く知られることになります。
同じ1999年、日本では大きな医療事故が立て続けに起こり、そのことが大々的に報道されてたことで日本でも医療事故が社会問題として認識されるようになりました。
医療安全は、防ぎ得た死を適切な施策で防ぎ減らしていくことが目標ではありますが、防ぎ得た死を防ぎ減らしていくことは、医療安全が注目される前から当然のように行われてきたことでもあります。しかし、1999年以降それが体系的に行われることになったことと国の施策として対策を講じるようになったことは大きな転機です。
ただ医療安全が注目されたのは、それ以外に切実な問題があるからでもあります。
それが、医療過誤によって生じる莫大な損失です。
医療過誤によって生じる経済的損失がどの程度かというと日本全国で1年に約35億円程度とも言われています。
もちろん、医療過誤は医療機関の過失ですからそれ相応の補償を行うのは当然の義務ではありますが、医療過誤によって生じる損失の補償は一企業が負うには重すぎる負担となりかねません。
医療機関はその特性上簡単には倒産しませんが、それでも2000年〜2019年の20年間に年平均約34件の医療機関が倒産しており、その負債総額は4100億円を超えています。一件あたりの負債額に換算すると一件当たり6億円程度になります。もちろん倒産の原因が医療過誤の補償によるものとは限りませんが、医療過誤で生じる経済損失がどれほど大きなものかを示す指標の一つにはなるかと思います。
つまり医療安全は、被害者である患者を守るだけでなく、医療機関自体を守るためにも重要なことでもあるのです。
それに医療過誤によって生じる損失は、経済的損失だけではないのです。
次の投稿では、医療過誤によって生じる経済的損失以外の損失についても少し触れてみたいと思います。
見出し画像には、奥山まめ様の画像素材を使用させていただきました。 Facebookで無料素材を公開されていますのでリンクを載せておきます。
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