【気のせい?】最近気になる交通事情
こんにちは。
自動車ライター/インストラクター/ジャーナリスト/ドラマーの齊藤優太です。
交通事故があるのは日常茶飯事です。
ですが、近年、発生している事故や危険運転の内容が変わってきているような気がします。
そこで今回は、気になること交通事故や危険運転をピックアップし、なぜなのか?どうして人はこんな行動をしてしまうのか?考察します。
今までと内容が変わってきた?個人的に気になる交通事故と危険運転
交通事故や危険運転などは、毎日のように発生しています。
さまざまな交通事故や危険運転の中でも、個人的に次の2点が増えているように感じます。
・車両暴走による悲惨な事故
・いつ事故になってもおかしくないような思いもよらぬ運転行動
これらを少し深掘り&考察していきます。
【1】高齢ドライバーだけではない?!車両暴走による悲惨な事故
車両暴走は、特に高齢ドライバーに多く見られる事故です。
アクセルを踏み込んで一度車両が暴走してしまうと、猛スピードでさまざまなものを巻き込んでいきます。暴走事故の中には、前進で突っ込むだけでなく、後退でさまざまなものをなぎ倒していくケースも見られます。
ただし、このような暴走事故は、高齢ドライバーに限った話ではありません。
近年の車に多く装備される運転支援システムの過信により、暴走事故につながる可能性もあります。
運転支援システムは、以前の公開した記事にも記したとおり、あくまでも運転の補助機能。基本的には、ドライバーが主体で、運転支援システムはドライバーの運転をサポートする引き立て役です。
しかし、運転支援システムが装備されている車のCMを見ると、ヒヤッとする場面でシステムが作動し、車がブレーキをかけたり停まったりする映像とともに、「安全機能が充実しているので安全・安心です」といった謳い文句が当たり前のように付いています。
確かに、システムが作動する様子を見せたほうが視覚的に理解しやすいものの、車を買うユーザーからすれば、「何かあるときは車が対処してくれる」と勘違いする可能性もあります。
また、販売店で安全装備が充実している車を売る場合、「危険な時はシステムが作動して車を制御してくれるから大丈夫ですよ!」といったセールストークになることもあるでしょう。
このようなCM・広告やセールストークなどで「安全」をアピールされると、ユーザーは「安全機能がたくさん付いている方がいいよね」となり、「運転支援システムが自分たちを守ってくれてる」という錯覚に陥る可能性があります。
しかし、残念ながら、「車が何でも対処してくれて自分たちを守ってくれている」というのは、単なる思い込みや錯覚です。
というのも、運転支援システムの大多数は自動運転レベル2に該当するドライバー主体のシステムだからです。
また、条件を満たせばレベル3のシステム主体の運転支援システムを作動できる車もありますが、システムが対応できない事態になると、ドライバー主体に切り替わることから、レベル3でもドライバーは気を抜くことはできないでしょう。
加えて、個人的に危惧しているのは、運転支援システムが充実している車に乗ると、ドライバー自身が運転や危険に対する思考が停止する可能性が高いということです。
なぜなら、「システムが何とかしてくれるなら、少しくらい気を抜いてもいいよね」というドライバーが増える可能性が高いからです。
このように気を抜いた状態、つまり、運転への意識が低くなり危険の予測をしない思考停止状態になると、いざという時の対処が遅れる可能性があります。
また、運転支援システムは、ドライバー主体の運転をサポートするだけの機能です。そのため、最終的な操作や状況判断はドライバーに委ねられています。
運転支援システムは、危険が近づいていることを警告してくれたり、衝突の軽減や逸脱のサポートなどをしてくれたりしますが、最終的な操作や車の制御はドライバーが行わなければならないケースがほとんどです。
この最終的な状況判断と操作や車両の制御ができないために、結果的に車が暴走し、事故を起こしてしまうことも考えられます。
少し長くなってしまいましたが、簡単にまとめると、暴走事故による悲惨な事故は、認知機能や運動機能が低下している高齢者だけでなく、運転支援システムの過信による思考停止ドライバーにも起こりうる事故といえるでしょう。
【2】いつ事故になってもおかしくないような思いもよらぬ運転行動
電動キックボードの免許不要&ヘルメット着用努力義務になってから、いつ事故になってもおかしくないような思いもよらぬ運転行動(危険運転)をするドライバーが増えているように感じます。
思いもよらぬ危険運転をするのは、電動キックボードだけでなく、自転車、歩行者、バイク、原付、車など、道路利用者全てに言えることです。
例えば、こちらのニュース。
車が歩道を走っています。
そして、こちらのニュース。
電動キックボードも逆走しています。
最後に、こちらのニュース。
「俺の道だから俺のルール!」と言わんばかりの危険運転です。
これらはあくまでも一例ですか、その他にも「なんでそんな事するの?」や「本当に免許持ってる?」と疑いたくなるような交通違反やマナー違反などがあります。
どうしてこのような危険運転をしてしまうのでしょうか?
おそらく、これらもドライバー自身の思考停止(ここでの思考停止は、他の交通のことを考えない自己中心的で他人のことを考えるのをやめたという意味での思考停止)が影響しているのではないかと考えています。
「自分さえよければ他人は関係ない」、「事故さえ起こさなければ問題ない」、「捕まらなければ大丈夫」など、主体性の歪みがこのような危険運転に繋がっているのではないかと推測しています。
確かに、車の運転では、主体的に物事を考えて運転することが求められます。しかし、他者のことを考えず、自分のことを棚に上げて運転するのは、単なる自己中心的な運転です。
つまり、「主体性=自己中心的」になった途端、周囲のことを考えない運転になると言えるでしょう。結果的に、周囲から見ると、思いもよらぬ運転行動(危険運転)に見えているのではないかと考えています。
これらの思いもよらぬ運転(危険運転)を直すのは本人にしかできないことです。もし、捕まったとしても「運が悪かった」で終わってしまうでしょう。
当事者の意識を変えるためには、当事者自らが事故の体験をしたり、周囲からの視点で見たりすることが大切です。
例えば、VRを使って自己中心的な運転者からの視点だけでなく、後続車・対向車線・歩道からの視点で見てみてはいかがでしょうか。(ドライブレコーダーの映像でも良いですがよりリアルな体験をするためにはVRが良いのではないかと考えています)
周りからどのように見えているのか、もし事故になったらどうなるのかなどを、リアルな映像・音声・振動や衝撃で体感することができれば、二度と同じ過ちをしないような思考になるのでないでしょうか。
例えば、お酒で失敗したという実体験があると、飲み方や飲む量を調整するなど、自分で自分をコントロールしようとしますよね。
これと同じで、失敗=危険体験や事故体験をすると、自分で自分の感情や運転をコントロールできるようになると考えています。
技術の使い方で人は学ぶこともできれば怠けることもできる
今回紹介した2つのことは、先進的な技術をうまく活用できるかが共通点です。
暴走事故は、技術に頼りすぎることで、人が怠けて事故に繋がる可能性があるという事例となっています。
予想外な運転行動(危険運転)は、先進的な技術による学習を通じて体験することで抑制できる事例です。
どちらも「技術をどのように使うか」がキーポイントとなります。
技術というのは、良い使い方をすれば学びや非日常的な体験を得ることができます。しかし、間違った使い方をすれば、人をダメにするだけでなく、人の能力より技術の能力のほうが上回るという事態になるでしょう。
あなたは、技術をどのように使いますか?
せっかく技術を使うのであれば、自分の能力や知識を伸ばす方に使う方が良いのではないでしょうか。