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【本当に必要?】右左折時やカーブ・曲がり角の逆振り(膨らみ)

こんにちは。自動車ライター/インストラクター/ジャーナリスト/ドラマーの齊藤優太です。

今回は、交差点の右左折、カーブ、曲がり角を走行するときによく見る「逆振り(膨らみ)」について考察します。

本当に逆振りは必要なのか、なぜ逆振りするのかなど、逆振りする側の立場・逆振りされる側の立場など、あらゆる側面から考えます。


逆振り(膨らむ)する必要性はある?

早速結論となりますが、交差点の右左折・カーブ・曲がり角などにおける逆振り(膨らみ)は、原則として必要ありません。

ただし、あくまでも原則としてです。
原則があるということは、例外があるということを意味します。

逆振り(膨らみ)の例外は、道幅が著しく狭い道路に侵入するときや障害物を避けなければならないときなどです。

では、シーンごとに逆振りの必要性を考えていきましょう。

幹線道路および高速道路における逆振り(膨らみ)必要性

幹線道路の交差点・カーブ・曲がり角、高速道路のカーブなど道幅が十分にある場合は、逆振り(膨らみ)の必要性はほとんどありません

ただし、幹線道路から狭い道に入るときは逆振りして(膨らんで)曲がらなければならない場面もあります。

もし、逆振りしなければ(膨らんで曲がらなければ)ならないときは、隣の車線に車両等がいないか確かめてから入るようにしましょう。

道幅が狭い一般道路における逆振り(膨らみ)の必要性

道幅が狭い道路では、逆振りしなければならない場面もあります

なるべく逆振り(膨らみ)をしない方が望ましいですが、逆張りしなければならない場面では、隣の車線の車両等に注意しながら曲がるようにしましょう。

駐車場(コインパーキングや立体駐車場など)における逆振り(膨らみ)の必要性

コインパーキングや立体駐車場をはじめとする駐車場では逆振りして(膨らんで)曲がらなければならないことがあります。

特に、都市部の駐車場は駐車スペースが狭かったり、場内の道幅が駐車している車両によって狭くなったりしていることがあります。

また、駐車場には歩行者が多く、カートを押している人や小さな子供・ペットを連れている人もいるため、あらゆる方向へ注意しなければなりません。

巻き込み事故はもちろん、他の車両への接触にも気をつける必要があります。

逆振り(膨らみ)する側の心理

交差点の右左折・カーブ・曲がり角などで逆振り(膨らみ)する人は、内輪差による事故を防ぐためにわざと逆振りして曲がっている場合が多いです。

中には、「曲がりやすいから」という理由で膨らんでいるドライバーもいます。

ただ、「曲がりやすい」をより具体的に言語化するのであれば、「内輪差のことを考える必要性を排除して、内輪差による接触や巻き込み事故を起こさないようにしている」となるため結局のところ「内輪差による事故を防ぐ」と同意です。

逆振り(膨らみ)される側の心理

逆振りして(膨らんで)曲がる車両等がいるということは、逆振り(膨らみ)の影響を受ける車両等がいる可能性があるということです。

逆振り(膨らみ)の影響を受ける車両等からすると、「曲がるのに寄ってくるなよ!」というのが本心でしょう。

人間は、予期せぬことがあると避けたりその場から遠ざかったりするなどの防衛本能が働きます。

つまり、逆振り(膨らみ)されると、無意識のうちによってくる車から遠ざかろうとすることがほとんどです。

逆振りしてきた車を避けるということは、並行する車線や対向車線など、他の交通のがいる方に近づいてしまうことを意味します。

他の交通に近づくと、接触したり、避ける連鎖が始まったりするため、非常に危険です

逆振り(膨らむ)する車両等が1台いるだけで、他の交通に迷惑がかかったり、事故を誘発することがあったりするのです。

世の中には逆振り(膨らむ)車両が多くいることを前提に、危険を予測した運転(加速をやめたり、軽く減速したり、避けるスペースがあるか確認したり)することが、逆振り(膨らみ)される側にできる防衛策と言えるでしょう。

逆振りが必要な場面とは?

これまで述べてきたように、逆振り(膨らみ)は原則としてする必要はありません。ただし、狭い道や障害物がある場所などでは、逆振りしなければならないことがあります。

やむを得ず逆振りしなければならない主に場面は次のとおりです。

・道幅が広い道路から道幅が狭い場所に入るとき
・道路から道路外の場所に入るとき
・通りたい場所の幅が車の幅とほぼ同等のとき
など

逆張りしなければならない場面での注意点

もし、逆振りしなければならない場面に出くわしたときは、隣の車線へのはみ出しや車両等への接触(はみ出し事故の防止)、膨らんだことにより発生する空間の自転車やバイク(巻き込み事故の防止)などに気をつけながら曲がる必要があります。

つまり、逆振り(膨らみ)するということは、さまざまな危険が伴うということです。そのため、進む方向だけを確認するのではなく、反対側(膨らむ方)の安全確認も必要となります。

交通ルールはどうなってる?

交差点の右左折についての交通ルールは、どのようになっているのでしょうか?

道路交通法 第108条の28の規定に基づき作成されている「交通の方法に関する教則(平成30年12月14日現在)」には、次のように明記されています。

(1)左折しようとするときは、あらかじめできるだけ道路の左端に寄り、交差点の側端に沿つて徐行しながら通行しなければなりません。

(2)右折しようとするときは、あらかじめできるだけ道路の中央に寄り、交差点の中心のすぐ内側を徐行しながら通行しなければなりません。ただし、原動機付自転車が二段階の右折方法により右折しようとするときは別です。

(3)一方通行の道路から右折するときは、道路の右端に寄り、交差点の中心の内側を徐行しながら通行しなければなりません。ただし、原動機付自転車が二段階の右折方法により右折しようとするときは別です。

交通の方法に関する教則

つまり、原則として右左折するときは、あらかじめ曲がる方(左折なら左、右折なら右)に寄り、徐行しながら通行するのがルールです。

教習所では・・・

運転免許を取得する際に通う教習所では、第2段階の教習(路上教習)で交差点の右左折も含めて指導するため、先述した交差点の右左折方法をイヤでも実践します。

このような話をすると「第1段階で内輪差の分を空けて通るって教わったんだけど・・・」と言う方もいるでしょう。

確かに、路上教習に出る前の段階、つまり第1段階の教習では、教習の課程に「狭路の通行」があります。

警視庁が公開している「指定自動車教習所の教習の標準」には次のように明記されています。

【目標】
狭い道路において車両感覚をつかみ、適切な進路と速度を選んで通行できる。

【内容】
1.狭路の形状のとらえ方
2.視点の配り方、視野のとり方
3.車両感覚のとらえ方と走行位置のとり方
4.速度の調節の仕方
5.進路のとり方と修正の仕方
6.切りかえしの仕方

「普通免許に係る技能教習の標準」より

第1段階の狭路の通行では、内輪差の分を空けて通ると教えることが多いです。しかし、これの方法はあくまでも「進路のとり方」のひとつにすぎません。

教習の標準には「内輪差分を空けて通行する」とは一言も書かれていないないのです。つまり、逆振りは進路の取り方の1つとして覚えておく程度に留めておくのがベターといえるでしょう。

また、教習所で教えてもらったことや狭路の進路の取り方の図解だけを見て、「逆振りOK」と考えてしまうのは、思い込みなのです

原則と例外を理解することがポイント

ここまで、逆振りについて、解説してきましたが、原則と例外をしっかり押さえておくことが何より大切なポイントです。

繰り返しになりますが、「逆振りは原則としてしない、ただし例外的に狭い場所などで逆振りせざるを得ない場合もある。もし逆振りするなら、はみ出しによる事故や巻き込み事故に注意(慎重に安全確認)しながらする」ということを覚えておきましょう。


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