【Techra Drumsticks】カーボンファイバードラムスティック
こんにちは。自動車ライター/インストラクター/ジャーナリスト/ドラマーの齊藤優太です。
いきなりですが、カーボンファイバー(炭素繊維)と聞いて、何を思い浮かべますか?
航空機、ゴルフクラブのシャフト、テニスラケット、車のボディなど、人によって思い浮かべるモノは異なるのではないでしょうか?
つまり、今やありとあらゆる業界の製品にカーボンファイバーが使われているということです。
楽器の世界では、パーツや楽器本体にカーボンファイバーが採用されていることがあります。
そして、ドラムの世界では、シェルにカーボンファイバーを採用したり、アウタープライまたはインナープライにシート状のカーボンファイバー貼り付けたりすることがあります。
そんなドラムを演奏するときに欠かせないのがドラムスティックです。
このドラムスティックにも、カーボンファイバーを使っているタイプがあります。
今回は、カーボンファイバー製のドラムスティックを製造・販売している「Techra(テクラ)」のドラムスティックを購入しました。
特徴や実際に見て触って使ってみた印象などをレポートします。
2種類のカーボンファイバードラムスティックを購入
今回、サウンドハウスを経由して購入したテクラのカーボンファイバードラムスティックは、次の2種類です。
いずれもウッドスティックより耐久性が高いことが特徴です。
そもそも、この2種類を購入した理由は次のとおりです。
・ドライでソリッドな(カーボンファイバーらしい)サウンドを求めていたから
・カーボンファイバーの特徴(剛性、振動減衰性、疲労強度など)が音にどのような影響を及ぼすのか知りたいから
・プラスティックっぽさがあるのか検証するため(CFRP=炭素繊維強化プラスチックであるため)
など
では、実際にスティックを手に取り、トレーニングパッドを叩いてみたり、スティックを鳴らしたりしてみたレビューをお届けします。
カーボンファイバーと樹脂の割合の違いが音に影響
早速、カーボンファイバードラムスティックの見た目、触った感覚、リバウンドの感覚、中心点、スティックそのもののサウンド、クロススティック(クローズリムショット)などをレビューします。
【見た目や触った感覚】
■COLOSSUS(コロッサス)
・カーボンファイバーが含まれていることがわかる斑模様の見た目
・マッド加工のようにサラサラした感触(よく手汗をかく筆者には最適です)
■THE BLACK DIAMOND(ブラックダイアモンド)
・硬い樹脂のように見えます(COLOSSUSのカーボン模様と比べると見た目の物足りなさがあります)
・サテン仕上げがされているため触り心地は良好
■WOOD(VIC FIRTH SD4 COMBO)
・見慣れていることもあってウッドらしい暖かさを感じる見た目
・薄めの表面加工により、触り心地の良い感触
【リバウンドの感覚】
■COLOSSUS(コロッサス)
・第一印象はウッドスティックに近い感覚
・ただし、ウッドスティックほど強いリバウンドはない
・どのポイントで叩いてもリバウンドが一定(ブラックダイアモンドも同様)
■THE BLACK DIAMOND(ブラックダイアモンド)
・チップ側に重心があるためリバウンドしにくい
・リバウンドはウッドスティックほど強くない
・パワーを求める人におすすめ
■WOOD(VIC FIRTH SD4 COMBO)
・ウッドスティックならではのスティック本体の響き、撓り、リバウンドがある
・木材であるため打面にヒットするポイントの違いで音が変化する
【中心点とコントロール性】
■COLOSSUS(コロッサス)
・Techra COLOSSUS 5Aの場合、スティックのほぼ中心でバランスする
・ブラックダイアモンドよりコントロールしやすいが、ウッドスティックから持ち替えた時に慣れるための時間が必要になることがある
■THE BLACK DIAMOND(ブラックダイアモンド)
・Techra THE BLACK DIAMOND 5Aの場合、スティックのほぼ中心でバランスする
・重心がチップ寄りになっている(少ないモーションでパワーのあるサウンドが出せる)
■WOOD(VIC FIRTH SD4 COMBO)
・VIC FIRTH SD4 COMBOの場合、中心よりややグリップエンド側でバランスする
・重心がグリップエンド寄りで遠心力の影響を受けにくい(チップ側が軽いためコントロール性が良い)
【スティックそのもののサウンド】
■COLOSSUS(コロッサス)
・ソリッドでドライなサウンド
・ウッドよりトーンが低く、サスティーンが短い
※サウンドサンプルはコチラ
■THE BLACK DIAMOND(ブラックダイアモンド)
・樹脂製のブロック(LP Jam Blockなど)のような硬くハイピッチな音
・サスティーンは短め
※サウンドサンプルはコチラ
■WOOD(VIC FIRTH SD4 COMBO)
・ウッドらしい抜けが良いサウンド
・自然の素材であるため個体差がある
※サウンドサンプルはコチラ
【クロススティック(クローズリムショット)】
■COLOSSUS(コロッサス)
・ドライかつソリッドでウォームなサウンド
・ピッチは低め、サスティーンは短い
※サウンドサンプルはコチラ
■THE BLACK DIAMOND(ブラックダイアモンド)
・ソリッドでアタック(パンチ)が強いサウンド
・ピッチは低め、サスティーンは短い
※サウンドサンプルはコチラ
■WOOD(VIC FIRTH SD4 COMBO)
・ブライトかつウォームで芯のあるサウンド
・ピッチが高めでグリップエンド側とチップ側で音色の違いが楽しめる
※サウンドサンプルはコチラ
同じカーボンスティックでもサウンドが異なる理由
今回、カーボンファイバードラムスティック2種とウッドスティックを比較しました。
比較してわかったことは、今現在使っているスティックの種類によって感じ方は異なりますが、ウッドスティックからカーボンファイバースティックに持ち替えても違和感が少なく、扱いにくいと感じにくいということです。
また、耐久性が高く、個体差が少ないことに加え、木のカスやささくれが出ないこともカーボンファイバードラムスティックの嬉しいポイント。
練習用のドラムスティックとして1セット持っていても良いのではないかと思います。
そして、同じメーカーから販売されている同サイズのカーボンファイバードラムスティックを2種類比較してわかったことは、カーボンファイバーと樹脂の配合バランスによってサウンドが異なるということです。
今回、「COLOSSUS」と「THE BLACK DIAMOND」を比較しました。
COLOSSUSは、見た目・手触り・サウンドなどから、カーボンファイバーの含有量が樹脂より多いと考えられます。一言でいえば、ドライカーボンに近い感じです。
一方、THE BLACK DIAMONDは、カーボンファイバーより樹脂の方が多いために、樹脂製ブロックのようなサウンドになっていると考えられます。つまり、ウェットカーボンのような感じです。
※カーボンファイバーと樹脂のバランスを確かめようと、メーカーのページやサウンドハウスのホームページなどを見てみましたが、含有量のバランスは確認できませんでした。そのため、この考察・推察は、あくまでも個人的な見解となります。
比較したドラムスティックの詳細情報
最後に、今回比較したドラムスティックの詳細情報を記載しておきます。
Techra COLOSSUS 5A
サイズ:長さ409mm×太さ14.3mm
材質:Carbon fiber(カーボンファイバー)
Techra THE BLACK DIAMOND 5A
サイズ:長さ409mm×太さ14.3mm
材質:Carbon fiber(カーボンファイバー)
VIC FIRTH SD4 COMBO
サイズ:長さ404mm×太さ14mm
材質:Maple wood(メープル)
今のところ「COLOSSUS」が個人的なタイプ
カーボンファイバードラムスティックを実際に購入し、スティックを鳴らしたり、トレーニングパッドを叩いたりして感じたことは、意外にも扱いやすいということです。
特に、COLOSSUSは、ウッドスティックから持ち替えた時の違和感が少なく、カーボンファイバーらしいドライでソリッドなサウンドでした。よって、COLOSSUSが現時点の個人的ベストカーボンスティックとなっています。
これが実際のアコースティックドラムだとどうなるのか?
アコースティックドラムでのインプレッションは、またの機会にお伝えします。
関連サイト一覧
Techra:https://www.techra-drumsticks.com/en/
サウンドハウス:https://www.soundhouse.co.jp/search/index?s_maker_cd=1552&i_type=m&suggest=y
パールドラム:https://pearldrum.com/ja/products/snares/drum-set-series-snare-drums/masterworks
VIC FIRTH(パールドラム):https://pearl-music.co.jp/vic-firth/