真珠腫性中耳炎と診断されるまでの経緯
子どもの頃のこと
この病気に罹った多くの方がそうであるように、私も、子どもの頃から耳と喉が弱かった。扁桃腺はすぐに腫れるし、何度も中耳炎にかかって耳鼻科通い。鼓膜切開の痛みは今でも忘れられません。
子どもはみーんなそうだと思っていたのだけど、どうやらそうではないらしい。夫は「俺、耳鼻科なんてかかったことないよ?」と言っていました。夫は、あの耳鼻科特有の椅子や、ステンレスバットに並んでいる器具や、吸入器から出てくるエアゾルの匂いなんかを、まったく知らないわけです。
子どもの頃と書いているけど、いい加減大人になっても、ちょこちょこ喉を腫らしていたし、中耳炎も繰り返していたので、27歳のときに覚悟を決めて扁桃腺を摘出しました。あの時は、全身麻酔から覚めたあとの、ひどい頭痛と喉の痛みと発熱で、それはもう最悪でした。癒着が酷かったせいで、入院も2週間くらいに伸びてしまいました。看護師さんが「冷やすと少し楽になるから」と氷を持ってきてくれて、まじで「天使だ!」と思ったことを今でも覚えています。患者さんが看護師さんに惚れちゃう気持ちがよくわかりました。
そんな経緯はあるものの、真珠腫性中耳炎特有の症状?である耳だれや耳の痛みがあったわけではないので、真珠腫性中耳炎だなんて疑いもせずにいました。むしろ私は、耳の中が乾燥していつもカサカサ?していて、お風呂上がりでもなければ、綿棒をいれてもカサカサするばかりの耳なのです。
耳から出血!?
6月に仕事で札幌に行ったときのことです。特に体調が悪いわけでも何でもないのに、耳から鮮明な真っ赤な出血が起こりました。
朝起きて、シャワーを浴びて、タオルで髪を拭いていたときに、タオルについた血液をみてギョッとしました。どこから出血しているんだろうと思ったら、右側の耳からでした。恐る恐る綿棒をいれてみると、鮮明な赤い血液が綿棒を染めました。
焦りながら、もう一度違う綿棒を入れてみたら、またまた真っ赤に、、、どんどん出血してくる><
仕方がないので、仕事の予定を一部キャンセルして、耳鼻科を検索(ネットってありがたい)、泊まっていたホテル近くの耳鼻咽喉科クリニックにお世話になることにしました。
待合室で待っている間にも、どんどん出血><、、、出血した血液が耳の中で固まって、血栓ができて耳が聞こえなくなってしまいました…とほほ。
診察の順番が回ってきて、血栓をとってもらい、応急処置をしてもらったら、聞こえは回復したので一安心、、、聞こえないままじゃ仕事にならないもんね。
内視鏡の画像をシェアしてもらいながら、
「鼓膜のそばがちょっと膨らんでるから、そこから出血したのかもね〜。いずれにしても、ここじゃ治療できないから、地元に戻って受診してね。出血はおさまると思うので、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」と言われ、写真と点耳薬をもらってクリニックを後にしました。
やさしい先生だったな〜私が札幌の人だったら、かかりつけに決定だな!なんて思いながら仕事に向かいました。やさしい先生の言う通り、出血はピタリと止まって、あとは普通に仕事をして、なんなら飲み会も参加して、札幌を後にしました。
この段階でも真珠腫性中耳炎だなんて、夢にも思わなかったし、飛行機には何度も乗っているから気圧が原因で出血?なんてことも、一ミリも思いませんでした。
地元のクリニック受診
札幌から戻ったけど、授業や会議が立て込んでいて、自宅近くのクリニックを受診するまでに1週間ぐらいかかってしまいました。
鼓膜のそばの膨らみをとってもらう感じかな?痛そうだな〜嫌だな〜なんて思いながら受診したけど、ことはそんなに簡単にはすみませんでした。
「出血したのは始めて?」と先生が言うので、
「えーと、そういえば、5〜6年前に風邪をこじらせて耳が痛くなった時に今回ほどじゃないですけど、出血したことがあります。その時は両耳からの出血で、自己免疫疾患の可能性があるからと言われて、大学病院でいろんな検査をしました。結局何でもなかったんですけど。」と答えると、
「自己免疫疾患?いやいや、自分の中では真珠腫性中耳炎一択だけど、いずれにしても、ここじゃ治療できないから紹介状書くね。○○病院、かかったことある?そこに良い先生がいるから。年配、、、言ったら怒られるな、ベテランの何例も手術してる素晴らしい先生がいるから、そこ行って。」
えっ?手術?
「はい…」と答えたけど、
「CTとってみないと何とも言えないから、あとはそっちの病院で診てもらってね。」という先生の声は、ちょっと遠くに聞こえました。
そのクリニックでは、聴力検査だけしてもらいました。そして、左は正常だけど、右は、ちょっと聞こえが悪いと言われてしまいました…たしかに、日常生活で困るようなことはないけど、電話の受話器は、右より左の方が断然聞こえが良いと言う自覚はありました。
総合病院受診
そんなに何日も大学を留守にできないので、その日のうちに、紹介状をもって総合病院へ出向きました。
ベテランの貫禄ありありの先生に診察してもらい、もう一度、聴力検査をし、CTをとり、再度診察し、「右側、真珠腫性中耳炎ですね。左も若干あやしいけど、とりあえず右、、、手術しないとならないけど大丈夫?」と、なんともあっさり言われてしまいました…
心の中では「手術なんで嫌だ〜〜〜」と叫んでいたけど、消え入りそうな声で、「はい…」と答えました。
「じゃあ、いつにする?仕事の都合もあるよね?」
なんか、会議の予定を決めるようなノリだなぁ…と思いつつ、私の都合と、執刀していただけるベテラン先生のご都合を調整し、9月18日に手術をすることが決まりました。
「手術までのスケジュール、看護師さんと調整して帰ってね。」
「はい…」
【手術までのスケジュール】
8月20日(火)入院前の検査
8月27日(火)入院前の診察
9月11日(水)〜 体温記録
9月14日(土)コロナ検査
9月17日(火)14時 入院
9月18日(水)10時 手術
あ〜、もう痛くもなんともないし、手術なんてしたくなーい。