イワシの群れと私の未来世
ちょっと思惑があり、出かけてみた。
思惑というのは、なかなかうまくいかない。
少し先のことを予測したり分析したりして、意図すると
コントロールになる。
コントロールしようとしているわけだから、
その先に期待通りの意味のある偶然が起こるわけがない。
わかっていながら、あえてやってみて、
「ああ、やっぱりね。」と自分で仕掛けた落とし穴に落ちるのだ。
だけど、副産物はあった。
出かけた先は、博多港。
期待通りにはいかないなと、ふふっと笑いが込み上げながら歩く。
ベイサイドプレイスは目の前。
かつてのデートスポットは今どうなっているんだろう?
ちょっとした興味で、そちらへ足が向く。
シルエットになりかけのポートタワー。
黄金色の西陽の中のパームツリーの部分だけが
ビーチリゾートのサンセットみたい。
冬空景色のパズルに、一つだけ違うピースが紛れている様に感じる。
うん10年前、できた頃のベイサイドプレイスはキラキラで、
ここで彼とクリスマス♪という人も多かったはず。
お天気が悪かったからか、平日の微妙な時間だったからか、
閑散としていて、期待はずれの私の心模様を反映しているかのようだった。
ベイサイドプレイスには、たしか水槽があったはず。
まだあった!
海亀とか可愛いお魚たちが泳いでいる。
ここで、コーヒーを飲みながら水槽を見ていて、
イワシの群れに見入ってしまった。
小さくまとまったイワシの群れの動きは、素早くて変幻自在。
どんなルールかは私にはわからないけれど、
群れそのものが生き物のように動く様をずっと目で追いかけたくなる。
この動き。
エネルギーそのもの。
もちろん、私たちも含めて全てエネルギーなのだが、
イワシの群れは、強烈に目に見えるエネルギーとして飛び込んできたのだ。
キラキラしていて、一瞬にして向きを変えたり。
渦を巻いたり、二つに分かれたかと思うと、また合流して。
二度と同じ形はない。
見ていて少しも飽きることがない。
ふと降りてきた。
あ!これ似てる。
話は突拍子もなくなるが、
私は一度だけ未来世が見えたことがある。
一度見えた未来世は、脳裏にずっとあり続けている。
未来世を見た前後の経緯は割愛するが、
私は、今世で肉体を持つのは終わりだとなんとなく知っていた。
それは、霧の粒の集まりのようで、宇宙の画像とかに写っているガスや雲にも似ている。
ふわふわのピンクのマシュマロが二つ。溶けて境界線がなくっつき、
アメーバみたいにどんどん形が変わる。
キラキラの実体のないエネルギーになっていて、宇宙に在る感じ。
一時として同じ形ではなく、常に動き変化し続けているもの。
例えようもなかったこの体験と景色が、イワシの群れの動きを見た時に
まさにこれ!と思ったのだ。
イワシさんたち。
体現してくれて、教えてくれてありがとう。
腑に落ちた時というのは、妙に気分がいいものだ。
思惑は外れたけれど、
外れたおかげで、気づきが得られて、それは確信に変わる。
これは、想定外。
そう、宇宙はこうやって思いがけないものを届けてくれるのだ。