「聴覚医学会2022」参戦記 #057
学会の見どころ
今回のもっとも興味があったこととは・・・
やはり今回の見どころは、蔵王の紅葉でした。2022.10.06.12:00頃には、山頂で初雪も舞ったそうです。とにもかくにもロープウエイで登ったその山頂( https://zaoropeway.co.jp/summer/zaojizo.php )の紅葉は見事で圧倒されました。大塚さん、ぼくの回答はこれでよろしいですか?
とはぐらかしたフリして、
ガツンとガチな印象を述べていくことにします。
まずは、今回の学会の概要についておさらいから・・・
今回、ふたつの主題が掲げられ、多くの議論が交わされました。
主題1「音響性聴覚障害の新たな病態像と治療戦略」
主題2「CS(Cochlear synaptopathy)とAPD」
お題は、基礎耳科(病理)的なテーマと聴覚生理的(検査と心理)なテーマのふたつでした。
実際には、ひとつながりのおおきなテーマだったわけですが・・・。
主題に関するまとめと感想を列挙していくと・・・
・難聴の原因は、騒音である。いずれのタイプの難聴も騒音に対する脆弱性がその背景にあり、音暴露が正しくマネジメント出来れば難聴は予防できる。それ以外の原因と言われるものはいずれも騒音からの回復を抑制する要因(加齢、喫煙、糖尿病、動脈硬化など)という意味しかない。
・難聴は、蝸牛シナプス変性(CS)から始まる。CSは従来の方法では、発見できない。CSを見つけることの出来る検査法の開発が求められる。
・CSはおそらく、かくれ難聴(HHL)という病態として臨床上はしばしばわれわれの目の前に発現してきている。CSの一部あるいは全部は、TENテストによって検出できている可能性が高い。
・CSという病態が明らかになったいま、標準純音聴力検査での正常をよりどころに聴力正常ということは出来ないし、APDの診断のためのAPT(聴覚情報処理検査)を展開するにあたっては最低限TENテストで異常なしを確認してから行うべきだろう。そうでなければAPTは砂上の楼閣になってしまう(APDがないといっているわけではない。APDと診断される困りのなかにHHLがかなり含まれているはずだ。)。APDを診断したかったら、まずAPTより先にTENテストをやりましょうね。それからTENテストしてないうちはAPDとか言わずLiDっていいましょうね。
という流れだったとおもいます。
ここから先は
¥ 990
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?