インサートイヤホンと新しいベントについて解説するよ #053
はじめに
さて前回(#052)の記事ですが、
インサートイヤホンによる聴力測定(検査)の記事を読ませていただいて、いくつか気になったことがありましたので、今回はまず前半で、そうした技術的知見について知っておくべき知識など、補足的なお話をします。
後半は、Phonakからこれから出てくるActiveVentテクノロジーについて、ノイズキャンセリングとオクルージョンという視点からその新技術の期待される可能性についてコメントしてみたいとおもいます。
【前半の部】 ヘッドホン vs インサートイヤホン
補聴器のレシーバは、RICにせよCICやIICにせよ、それは外耳道内に挿入されています。そのことを考えたら、聴力測定はヘッドホンよりインサートイヤホンで行うべきであることは疑いようもありません。ヘッドホンで行うのは、コストの点から、あるいは時短のために多少の不具合は目をつむるという理由しかありません。
さらに言えば、with新型コロナ感染時代にあっては、使い捨ての耳せん一択ではないでしょうか。
ヘッドホンを使用している場合、感染対策としてイヤマフ部分をアルコール消毒する必要がありますが、繰り返しアルコールで拭くことはマフの劣化を生じさせます。マフそのものはけして安価ではありませんし、その都度、神経使って消毒するくらいなら、この際、インサートイヤホンに変えるほうがよほど合理的だと思います。
後述しますが、ヘッドホンでは単純に±5dBの測定誤差を抱えていますから、補聴器の微調整のためには2dBステップで正確に計測できるインサートイヤホンを選ぶべきなのです。
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