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【医師解説】間葉系幹細胞を利用するがん幹細胞

腫瘍組織とは悪性度、増殖能、多分化能など異なった遺伝子が発現している腫瘍細胞とがん幹細胞を含む細胞群です。

がん幹細胞は種々の幹細胞あるいは組織を構成している細胞の遺伝子損傷で発現し、抗がん剤や放射線に強い抵抗性をもっています。

抗がん剤による化学療法や放射線治療により腫瘍の消失が認めても、再発が見られるのはこのがん幹細胞の存在によるものと考えられています。また、このがん幹細胞は居住性と移動性の2つが存在します。がん幹細胞はCD133陽性細胞と考えられていましたが、全てのがん幹細胞にCD133が発現しているのではなく、単一のマーカーのみでがん幹細胞は特定出来ません。

また、間葉系幹細胞は乳がんのがん幹細胞の増生および転移を促進したとの報告があります。

間葉系幹細胞はIL-6を分泌しCD133 を発現している大腸がんのがん幹細胞を増加させると考えられています。

放射線治療を受けた乳がん細胞はTGFβ1、VEGFおよびPDGF-BBなどの成長因子を分泌し、それに反応して間葉系幹細胞が集合します。

管内胆管がんのがん細胞から放出されたエクソソームは間葉系幹細胞を活性させ、がん細胞が増殖する為の微小環境を形成させます。

これらの事は、がん細胞は間葉系幹細胞を集積させがん細胞の為の微小環境を作らせているように思われます。

現時点で間葉系幹細胞ががん幹細胞の抑制効果を示す報告はありません。


青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範



参考文献

1) Hanahan D, Weinberg RA. Hallmark of cancer. The next generation. Cell. 2011; 144: 646-674.

2) Brabletz T, Jung A, Spaderna S, et al. Opinion: migrating cancer stem cells-an integrated concept of malignant tumour progression. Nat Rev Cancer. 2005; 5:744-749.

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6)国際抗老化再生医療学会雑誌 第1号(1-20)2018 間葉系幹細胞による治療と抗老化 佐藤茂 劉效蘭

・院長プロフィール
総合内科、形成外科、美容皮膚科、美容外科。
がん診療に関しては10代の頃に母親を末期癌で亡くした経験と形成外科で癌術後の再建で患者様と日々関わることで、早期発見、予防医療の重要性を痛感し、がん検査や治療も行っている。
疾患の種類を問わず、アンチエイジングまで幅広い患者様に対応し、体の内側・外側ともに健康に綺麗にをモットーにしている。

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