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【医師解説】間葉系幹細胞による皮膚の抗老化作用

皮膚は表皮と真皮に分けられ、真皮には結合組織と毛細血管が見られ、皮膚の老化は遺伝的および環境的要因によって起こります。

皮膚の変化はモニターによる観察や機器により計測されて化粧品の処方開発が行われ、ペプチド、オイルおよびビタミンEなど多数の成分で皮膚の若返り効果が確かめられています。

老化した皮膚あるいは糖尿病患者では、コラーゲン線維は糖化により終末糖化産物 が合成されます。コラーゲン線維が糖化すると弾力性が失われ、皮膚のシワが深くなりその弾力性は失われます。

老化により皮膚は薄くなりますが、これは表皮細胞の層の数が減少するのではなく、表皮内の保湿の低下や真皮部の毛細血管が減少するためです。また、表皮細胞の増殖能が低下し、ヒアルロン酸も減少します。

真皮層では炎症反応やアレルギー反応と密接な関係を持つ肥満細胞、あるいはコラーゲン線維や弾性線維を増生する線維芽細胞の減少が老化により認められています。

皮膚の老化はホルモンなどによる内性因子や紫外線や化学物質による外性因子によっても起こります。

また、外因性の一つである紫外線は遺伝子損傷を引き起こし、皮膚がんの原因ともなります。紫外線の波長によりA波、B波、C波に分けられますが、B波は直接表皮幹細胞のDNAを障害します。A波は活性酸素を発生させそれにより表皮幹細胞のDNA障害が起こります。太陽光にさらされている首などの皮膚の光老化が紫外線により起きます。

紫外線によって、皮膚の乾燥、コラーゲン線維と弾性線維損傷による弾力性の低下、表皮幹細胞の機能低下、色素沈着あるいは皮下脂肪層の委縮が起こります。

しかし、紫外線による日光弾性症では弾性線維の変性を示しますが、コラーゲン線維の変性は認められません。

D-ガラクトースで誘導した皮膚老化モデルマウスは、酸化ストレスの指標となるmalondialdehyde(MDA) の増加、活性酸素を分解する SOD superoxide dismutase と抗酸化作用を持つglutathione peroxidase(GSH-Px)の減少が見られます。

間葉系幹細胞の皮膚下投与でMDA増加の抑制および抗酸化作用の増加がみられ、組織学的にはコラーゲン線維の正常化が見られます。光老化した皮膚は間葉系幹細胞で若返らせることが可能です。

また、紫外線をヌードマウスに照射して光老化によるシワを作成し、間葉系幹細胞を皮膚下に注入することにより MMPs が発現して、コラーゲン線維の増生によりシワが伸びたとの報告があります。

光老化によるシワやシミを間葉系幹細胞幹細胞の培養上清液により減少したとの報告があります。

間葉系幹細胞から分泌されたTGF-β1によりチロシナーゼ、TRP1 の発現を阻害することによりメラニン合成を抑制させます。

45から65歳の6人に自家間葉系幹細胞を皮膚下に投与して電子顕微鏡観察し、結合組織や毛細血管系の再構築が見られ、皮膚の若返りを認めたとの報告があります。

間葉系幹細胞の培養上清液5%含んだ化粧品を29-69歳の女性25人に顔に塗布すると、細胞損傷を促す酸化ストレスを与えても、コラーゲン合成の減少や、表皮幹細胞の増殖能の低下から保護することが分かっています。

このことから光老化に対して間葉系幹細胞上清液を皮膚表面に塗布するだけでも効果があることが示唆されます。


青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範


参考文献
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