【医師解説】間葉系幹細胞の由来組織と臨床応用について
最初に臨床応用された間葉系幹細胞は骨髄由来です。そのため間葉系幹細胞の基礎的研究および臨床応用の多くは骨髄由来のものが多いです。
例えば、間葉系幹細胞による心筋梗塞への治療や免疫調節に関する研究のほとんどが骨髄由来幹細胞が用いられています。
間葉系幹細胞は骨髄由来以外では、脂肪組織、臍帯血、胎盤、滑液および羊膜由来のものが比較的多く用いられています。
上記以外では、症例は少ないですが骨膜、皮膚、筋肉、肝臓、膵臓、脾臓、胸腺、リンパ組織、月経血、子宮内膜、末血、骨梁、歯髄、歯根膜、血管周皮細胞および尿管など様々な組織から作成されています。
また、組織や体細胞由来以外にもiPS細胞から間葉系幹細胞が作成されています。
最初に間葉系幹細胞の臨床へ応用されたのは1995年で、血液悪性腫瘍患者に造血幹細胞と混合して用いられました。
造血幹細胞単独よりも間葉系幹細胞を同時投与した方が予後良好であることが報告され、間葉系幹細胞の安全性が確認されました。
2004年頃からは間葉系幹細胞を用いた細胞療法が心筋梗塞を始めとして多くの疾患に応用されるようになりました。
これまでに間葉系幹細胞の細胞療法で効果の認められた症例は、心筋梗塞、移植片対宿主病(GVHD)、糖尿病、肝炎、創傷、脊髄損傷、変形性関節症、潰瘍性大腸炎、クローン病などです。
また、筋萎縮性側索硬化症、全身性エリテマトーデス、リウマチ、パーキンソン病、脳梗塞、神経損傷、瘢痕などの疾患例も報告されています。
ただし、間葉系幹細胞治療は治療効果が一定ではなく、同一症例でも効果が認められる場合や認められないことがあります。
この原因としてはドナーの相違あるいは間葉系幹細胞の分離増殖の方法が基準化されていない事が原因であると考えられます。
青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範
参考文献:
1)Martello G, Smith A. The nature of embryonic stem cells. Annu Rev Cell Dev Biol. 2014; 30: 647-675. cells. Anna
2)Evans MJ, Kaufman MH. Establishment in culture of Evans N pluripotential cells from mouse embryos. Nature. 1981; 292: 154-156.
3)中山亨之, 加藤栄史 (総説) 脂肪組織由来間葉系幹細胞を利用した細胞療法―現状と展開 日本輸血細胞治療学会誌. 2013:59:450-456.
4)国際抗老化再生医療学会雑誌 第1号(1-20)2018 間葉系幹細胞による治療と抗老化 佐藤茂 劉效蘭
・院長プロフィール
総合内科、形成外科、美容皮膚科、美容外科。
がん診療に関しては10代の頃に母親を末期癌で亡くした経験と形成外科で癌術後の再建で患者様と日々関わることで、早期発見、予防医療の重要性を痛感し、がん検査や治療も行っている。
疾患の種類を問わず、アンチエイジングまで幅広い患者様に対応し、体の内側・外側ともに健康に綺麗にをモットーにしている。
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