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【医師解説】NKT細胞標的治療について ・臨床試験による有効性の評価


活性化したNKT細胞の働きがどんなに優れていたとしても、実際にがん患者さんに投与して効果を得られなければ意味がありません。つまり、客観的なデータを示してエビデンスを実証する必要があります。

がん3大療法の標準治療はエビデンスに基づいて実証されており、その時代で最も有効な治療法とされているものを基本としており、現時点で最善の治療を指しています。

診療ガイドラインには、エビデンスに基づいた治療法が推奨グレードごとに載っており、グレードAの治療法が最もお勧めできる治療であり、ここに属する治療が標準治療となっています。

診療ガイドラインに新たな治療法が加わるとなると、推奨されている治療法と同等か、それ以上の効果が認められなければ難しいといえます。

したがって、NKT細胞標的治療も臨床試験を実施して、客観的なデータを積み上げる必要があります。そこで行われたのが、理研と千葉大学による共同研究です。

最初に対象となったのは、進行・再発した非小細胞肺がんの患者7人でした。肺がんは再発や進行して手術ができなくなった場合は、完治を望める有効な治療法がありません。

非小細胞肺がんにおける標準治療が終わったあとの生存期間は、中央値で約8カ月と短いのが現状です。

こうしたなか、千葉大学で実施されたNKT細胞標的治療の臨床試験の結果、平均生存率は17.2カ月と、標準治療の2倍以上の延命に成功したのです。

また17例のうち60%を占める10例ではNKT細胞が活性化していることを示すIFN-γの分泌が顕著に見られたことも分かりました。その10例の延命効果は31.2カ月と、標準治療の約4倍でした。

その後、頭頸部がん、術後肺がんなど、違うがん種での研究も行われ、進行肺がんと同じように有効性を示す結果が得られています。

今後も、多くの臨床データを積み重ね、標準治療になることを期待したいと思います。



青山メディカルクリニック
院長 松澤 宗範


参考文献
・谷口克監修「NKT細胞標的がん治療とは | 新しい免疫療法の臨床試験と期待」
・理化学研究所「記憶免疫機能を持つナチュラルキラーT(NKT)細胞を発見 | 長期間生存し、2度目の抗原侵入に強力に反応―」2014年8月9日
・伊東信久:がんと闘うN K T細胞標的治療

        
・院長プロフィール
総合内科、形成外科、美容皮膚科、美容外科。
がん診療に関しては10代の頃に母親を末期癌で亡くした経験と形成外科で癌術後の再建で患者様と日々関わることで、早期発見、予防医療の重要性を痛感し、がん検査や治療も行っている。
疾患の種類を問わず、アンチエイジングまで幅広い患者様に対応し、体の内側・外側ともに健康に綺麗にをモットーにしている。

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