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【医師解説】間葉系幹細胞の由来組織による細胞表面マーカーの違い

間葉系幹細胞の分離や増殖過程で表面マーカーに変化が見られるとの報告があります。

間葉系幹細胞などを含む脂肪組織より最初に抽出した細胞群およびその継代培養初期の間葉系幹細胞では免疫反応を引き起こす造血性関連抗原が発現しています。

しかし、間葉系幹細胞を継代培養していくと、これらの免疫反応を促す抗原は消失します。

この事から、継代培養した間葉系幹細胞には同種免疫反応がなく、自家および他家共に組織拒絶反応は起こらないと考えられています。

また、間葉系幹細胞を用いた細胞療法はどの組織由来であっても治療効果は認められますが、由来組織によって表面マーカーに相違があることが報告されています。

例えば, 骨髄と脂肪組織由来の間葉系幹細胞を比較すると、
骨髄組織ではCD22、CD51、CD64a、CD349、MSCA-1
脂肪組織ではCD9、CD34、Cd49d、CD55、CD59
の表面マーカーが認められています。

このことは骨髄由来幹細胞は骨細胞への分化に優れ、脂肪組織由来のものでは溶血抑制に関して優れているものと考えられます。また、白色と黄色の脂肪組織が知られていますが糖尿病治療に関しては黄色の脂肪組織由来の幹細胞が優れているとの報告があります。

また、間葉系幹細胞は凍結保存してもその分化能、増殖能、細胞表面マーカーは変化しないことが確かめられています。

青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範

参考文献:
1)Ikebe C, Suzuki K. Mesenchymal stem cells for regenerative therapy: optimization of cell preparation protocols. Biomed Res Int. 2014:951512.
2) Charles-de-Sá L, Gontijo-de-Amorim NF, Maeda Takiya11 C, et al. Antiaging treatment of the facial skin by fat graft and adipose-derived stem cells. Plast Recondtr Surg. 2015; 135: 999-1009.
3) 中山亨之, 加藤栄史 (総説) 脂肪組織由来間葉系幹細胞を利用した細胞療法―現状と展開 日本輸血細胞治療学会誌. 2013:59:450-456.
4)国際抗老化再生医療学会雑誌 第1号(1-20)2018 間葉系幹細胞による治療と抗老化 佐藤茂 劉效蘭

・院長プロフィール
総合内科、形成外科、美容皮膚科、美容外科。
がん診療に関しては10代の頃に母親を末期癌で亡くした経験と形成外科で癌術後の再建で患者様と日々関わることで、早期発見、予防医療の重要性を痛感し、がん検査や治療も行っている。
疾患の種類を問わず、アンチエイジングまで幅広い患者様に対応し、体の内側・外側ともに健康に綺麗にをモットーにしている。
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