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アルミニウム/Al:骨粗しょう症が沈着原因か?

原子番号13の元素。
古代ギリシャ時代、ローマ時代にアルミニウム塩であるミョウバンをalumenと呼んでいたことに因んでいる。

地殻を構成する元素として、酸素、ケイ素に次いで多い。
生命は、そもそもアルミの多い環境で暮らしてきた長い歴史があり、あらゆる植物や水、大気を通して、生体内には常にアルミが存在している。

工業利用や日用品にも鉄に次いで多用されており、アルミ鍋やベーキングパウダーや添加物、医薬品などにも利用されている。

アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症とアルミニウムの脳への沈着の関連が指摘されている。
骨粗鬆症がベースにあり、ハイドロキシアパタイトが溶け出し、それが沈着の原因になっている可能性がある。
さらに、腎機能が低下するとアルミの排泄も低下するので、透析患者ではアルミの多い食品はリスクになる。
特に必須の働きもないため、敢えて摂取する必要はない。

アルミニウムの動態

経口摂取では、99%が便に排泄され、吸収されるのは1%程度。
多くは尿に、そして汗にも排泄される。
自然界に存在するため、水や食物にはアルミが含まれているが、摂取上限は決められている。

摂取上限

人が一生涯摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される暫定的な許容量として
体重1kg、一週間当たり、2mg
厚生労働省の調査では、成人では許容量を超えていないとしながら、アルミニウムを多く含む食品を多く食べる一部の小児で許容量を超える可能性があり、基準を見直すことが必要と述べている。
あらゆる水、食物には、自然にアルミが含まれているが、さらにアルミを増やす要素がある。

食品添加物

膨張剤(ベーキングパウダー):パン・ケーキ・菓子類
色止め剤:漬物(ナスやシソなど)
形状安定剤:魚介類(いか、たこ、クラゲ、ウニなど)
品質安定剤:水煮野菜
着色剤


多くの食品に含まれているので、日常的に摂取している可能性がある。

薬剤

アルミニウム含有の制酸剤

透析患者において、投与されると、アルミニウム脳症・アルミニウム骨症のリスクがあると指摘されている。


アルミ鍋の不適切使用

アルミ鍋自体の調理に大きな問題はないとされるが、トマトや酢など酸性の食品の調理で溶出する可能性がある。


中毒症状

アルミニウムに急に曝露されると神経毒性を示す。
アルミニウム中毒患者は骨形成に異常や貧血を起こす。

吸収され、排泄されなかったアルミニウムは、主に骨に分布し、また、 中枢神経、肝臓、肺、リンパ節にも分布する。

低濃度のアルミニウムによって脳内の炎症レベルが上がるが、炎症自体がアルツハイマーのリスクになることが指摘されている。

ラットの大量摂取では、生殖への異常も指摘されている。
透析患者では、アルミニウム排泄が低下するため、アルミニウム含有の薬品の不適切投与で、アルミニウム脳症や骨症のリスクがある。
現在、WHOや厚生労働省においても、アルミニウム摂取基準についての強化が検討されている。

元素周期表において、アルミニウムの隣に位置するケイ素は、アルミニウムと拮抗作用がある。
ケイ素の摂取を増やすことで、アルミニウムの吸収を防いだり、排泄を促すことにも利用されている。


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