「ハトに絡まれながら」
--梶井基次郎「檸檬」の練習論文
今でも覚えているが、2年前、最寄りの駅に隣接した公園のベンチで、ハトに絡まれながらこの世の終わりのような顔をして項垂れている友人Mを見かけた。声をかけると、前日の夜から飲みすぎ、ひどい二日酔いであるという状況を、息も絶え絶え話された。この日は互いにゼミ面接の前日であった。「そうか、大変だな・・・」と言いながらも、その悲壮な顔、さわやかな陽の光、友人が無数のハトに絡まれている、と言う状況に、必死に笑いを噛み殺して、まあ明日頑張ろうぜ、という言葉だけかけてその場を去った。彼は哀