ドリフを始めるまで(仕入れ編)
ビールと旅道具の仕入れ。
飲食も小売も酒販もアパレルも販売も経験がない。
唯一は「ビールの飲み手」であることと「道具の使い手(遊び手)」だったことのみ。
初めて個人事業の名刺を作った。
肩書はドリフのオーナー(開業予定)であることと、Hiker、Traveller、Beer Geekとした。その裏付けとして10年来やっているブログと、ビール中心の個人インスタを掲載。
改めて会社の肩書がない自分というのを知り、考えるきっかけにもなった。好きを商売にする上で、過去のブログやSNSの蓄積は少なくとも話のネタにはなった。意図せずではあったが発信をしてきて良かったと思った。
何かを始めたいと思っている人は、個人の名刺を作ってみると良いと思う。自分自身の得意や不足を感じることができる。
そんなことから、仕入れ準備・交渉をスタートした。
▪️ビールの仕入れ
全くコネはないので、片っ端からインポーターに連絡した。ネットで調べたり、裏のラベル見て連絡したり。。。とにかく地道に。でもビール旅やブログが役に立った。電話でスタートしても実際は殆どメールでのやりとりになる。その際にそのインポーターの主要銘柄を見て行ったことのあるアメリカのブリュワリーの話題をブログ記事をリンクしてやりとりした。本当に好きなことが伝わって会話が広がり、スタートアップに際して支援してくれるインポーターも出来た。中には新規の狭小店に対して厳しい所もあったが、6インポーターからの仕入れが可能になった。初回仕入れは単価が高くなるが、混載(少量多品種)で対応可能なインポーターのサポートを受けるのがベター。(1ケース24本ってのは小商いでは中々厳しい)
基本的にインポーターはどこもクラフトビール市場の拡大・活性を目指しているので新規取扱にも協力的であることが多い。クラフトビールの伸長余地しかない現在の環境に後押しされた。タイミングも良かった。(その後の仕入れはやっぱり信頼関係と販売量・期待値によって入手できる銘柄は変わってくる。)
加えて、新しいカタチのボトルショップの先行事例があったのが精神的支えになったし、聞きに行くとアドバイスを頂けたのも大きい。(都立大学と荏原町)
自分達もそうありたいと思う。
北米中心のビールのレベルの高さにくわえ、缶のアートワークの良さから小さいドリフの冷蔵庫で作品として提供できることから、インポート中心と決めていたが、世界一好きな国内Brewery(Y社)だけは2年以内に取扱うことを目標にしていた。6年飲み手として通い続けていたことから飲み手個人として認知はしてもらっているが、ごく僅かの選ばれた販売店しか置けない貴重な銘柄を実績なしで許可は不可能だ。と思っていた矢先に、Brewerと共通の知人2名のサポートもあって、奇跡的に許可をいただけた。2人のうち1人はハイキングの繋がり(ブランドオーナー)、もう1人は毎週通っていた飲食店オーナー(ビール業界精通)であって、意図せずに「遊び」が仕事に活きたカタチだ。遊び手時代は開業するなんて思ってなかったから尚更。
そんなこんなで開店から半年の現在は新しいインポーターさんのご紹介をいただいたり、ご連絡をいただくケースも増えてきてやっと安定して回せるようになってきました。思い描いていた以上に素晴らしい取扱ができているのは、クラフトビールシーンの伸張とともに、インポーターの新規参入が相次ぎ、国内新入荷が一気に拡大している時期と重なった幸運もある。
▪️旅道具(ギア)の仕入れ
ここは唯一、早くからULハイキングをやっていたこと含め、ガレージブランドの人の繋がりがあった。それがドリフの原動力になった。(唯一の当初から有していたポジティブ要素)
基本は、自身が使っているブランド・プロダクトを逸脱しないことを前提にギアクラフトマンに直接話をして依頼にした。自分がクラフトマンなら使ったこともない道具を売りたいって言われても託せないと思っているので。正しくは使っていないギアは使ってから売るようにしている。
説明もブレブレだったと思うが、お互いに飲んで酔っ払いながら話したせいか、何故かYESの回答を頂けた。その時にクラフトマン達が何を思っていたかは未だに聞く勇気はないが、不安要素だらけだっただろう。と思うから、支払・入金だけは今でも速攻でやることにしている。
店としての信用がないリスクの中で取扱させて頂けたことは、スタートアップへの支援の気持ちに限ると思う。ご本人達にもこれからスタートアップする人達にも同じような気持ちでいようと思ったのもこの経験・感謝から。(詳しくはwith craftmanで書こうと思う。)
感謝しかない。という言葉はこういう時に使うのだろう。
それゆえ、スタートアップに協力してくれたブランドの方々の前進に何があっても協力したいと心から思っている。定番として展開し手広くやるつもりはない。彼らも事業主や経営者。ブランドの成長や安定、暮らしにも貢献し期待される販売店になることでお返しできると思っている。(全く持って現在はできていないが、真剣に継続的にやろうとしている。)
一方で、レインウェアやインサレーションの類や、夏場のUL傘や火器、コッヘルなどの旅道具としてエッセンシャルなギアは友人のガレージでは賄えない。少なくとも始める前はそれが品揃えに必要だと思っていたのだ。その仕入れが大手からでしか叶わず難航した。というか9割方は叶わなかったというのが正しい。初回購入は20万円以上だったり、連絡が返ってこなくなったり…。これが信頼のない個人狭小店の現実。しかもダブルワークでやることもポジティブではなかったようだ。先例も個人としての信用もない。企業勤めの立場を考えるとそうなってしまうのもわかる。安定した太客中心に回す方を志向するもんね。支払いなども不安だろうし。
まぁこの辺も(ビール併せて)累計10回/10件くらいは展示会や商談に臨んだけど、殆どは徒労だった。
結論としては全く必要なかったことに気づいたのはドリフを始めてから。お客様がドリフに求めるものはそれではなかったと実感。最初からそう思っていたけど、起業時の不安から、あれもこれも欲張りたくなったんです。不安ってのは迷いを生みますよね。
◼︎やってみてから思うこと
「好きなもの、やりたいことだけ」をやるためには、改めて、絞りに絞ることでシャープにして、抱えるもの(従業員やら設備やら取扱やら)もミニマムにすることが大事。そのかわり押し出すモノはしっかり持つ。そう気づいたのはスタートしてからでした。
ビール・ギア含め、しっかりとドリフの定番の認知を高め、スポットでPOP UP(スタートアップブランドや個人のアウトプットの場)を継続していくというサイクルが僕らの小商いのカタチになっていきそうです。