⑤バイタルとは?おまけ編 ~AとBの違いって?~
➀~④で終わりにしようと思っていたのですが、もう一つだけ。
AとBの違い?なんぞ?と思った方。
よく、急変した患者や救急搬送された患者さんで、ABCDEを最初に確認しろと言われませんか?
そう、
A:Airway(気道)、B:Breathing(呼吸)
ですね。
この違い、ちゃんと分かっていますか?
実体験を一例。
以前、私が口腔内の手術を受けた時のこと。
麻酔から目覚めてまず感じた異変。
それは痛みでも非現実感でもなく、
苦しい
でした。口腔内の血液が喉に垂れ込んできて、窒息しかけていたんですね。
わずかに出る声で「苦しい!早く(血液)吸って!」と叫ぶ私に、担当看護師さんから一言。
「先生、酸素2LでSpO2 98%だから大丈夫ですよ~(笑)」
なんというか、絶句。言葉悪いですが、殺意を感じました。笑
なぜ苦しがっているのにSpO2が98%か分かりますか?
必死に呼吸してるんですわ。
呼吸回数30/分を超えている患者を目の前にして、SpO2がOKだから問題ない?これはいかんですよね。私は余裕をかましてサクションをなかなかしようとしない看護師から吸引機を奪い、自分で行いました。本当に死ぬところだった。
➀でバイタルは血圧とSpO2だけではないということを述べました。
それを記事にしようと思った理由は、この経験からです。
さて、本題。AとB、これが最も重要です(切迫するD等、例外あり)。
Aは気道の問題、要は窒息ですね。
窒息している状態でいくら酸素を流しても、意味がありません。だって呼吸できないんだから。
それに対してBは、必要な酸素が足りない・換気ができない(鬱血性心不全、気胸等)状態。人工呼吸器が必要な可能性がある点はAと共通していますが、必ずしも下顎挙上や気管挿管は必要ないかもしれない。気道は確保されているわけですからね。
このことは、あまり普段全身管理をしない医師も分かっていないことが多い印象です。そのため、頓珍漢な指示が飛んでくることも。
ぜひ、コメディカルの方々は早く異変に気が付き、応援を呼ぶ、必要な機材をすぐに集める等で救命をできるように心がけてください。