素人が幅を利かせる時代 ~悪貨が良貨を駆逐する~
こんばんは、Dr Fjです。
本記事は、2020年9月20日に書いたものの再掲です。
今日は、私が最近感じているビジネスの流れについて話をしてみたいと思います…といっても、自分自身は単なる勤務医で世間の荒波に揉まれることもなくぬるま湯の中にいるので、あくまで一消費者としての感想です。先に申し上げておきますと、experience basedですらない雑談なので、間違っていたらすみません。
さて表題の件ですが、最近流行っているサービスには、素人がそれなりの値段で提供するプラットフォームがアプリなどで提供され、これを通じて素人が小銭を稼ぐというビジネスモデルのものがたくさんあります。Uber/Uber EatsやAirbnbなどはその代表的なものですが、個人が販売側に立つことができるメルカリやAlibaba、破格の値段で本を書いて販売することを可能にしたKindle出版などもそうだと思います。芸能の世界に素人が参入してYoutuberやTikTokerが生まれ、築古戸建てをセルフリフォームして貸し出すという動きも素人が不動産業界に参入したとも言えます。今までこれらの業界内に手を出そうとしても様々な参入障壁に阻まれていたのでしょうが、これがインターネットがもたらした広義のグローバル化によって取り除かれた結果、このような社会になったのでしょう。
このようなmovementの結果、割を食っているのはもちろん素人ではない人たち、プロの皆さんです。この中には大企業も含まれ、きちんとシステムを整えてそれなりの価格で完成した商品を届けていたのだと思いますが、『そこそこのqualityでいいから値段を下げて!!』という圧力の前に、現在は苦戦を強いられているという人たちも少なくありません。ちょっと前までは中国や東南アジアから輸入される安価な商品との価格競争にさらされていたのに今度は素人という新たなライバルも現れ、プロの皆さんにとってはホント踏んだり蹴ったりだと思います。このようなqualityが低いものが高いものを圧倒する現象を、『悪貨は良貨を駆逐する』のグレシャムの法則と言いますが、このままプロの皆さんたちは淘汰されてしまうのでしょうか?
ここからは私の完全な私見になりますが、私はこのような状態はいつまでも続くわけではなく、振り子のように原点回帰するのではないかと思っています。工業化によって淘汰されそうになった手作りの商品がその後その価値を再発見されたように、素人に毛が生えた程度の商品のqualityでは到底太刀打ちできないホンモノの商品が求められるのではないかと思うのです。もちろん、そのレベルに達していないqualityの商品しか生み出せないプロの人たちが淘汰されることは避けられませんが、ホンモノのプロの商品は、その価値を再発見されてしかるべきというのが私の見解です。
このような流れは、実は私のいる医療業界にも押し寄せて来ています。『医師の』とか『医師が』という枕詞が付いた粗悪なサービスが医師の中では素人に分類されるような人たちによって提供され、長い年月をかけて習得した技術や知識が報われないということが発生しているように思います。先人の残してくれた知見の上に立って遠くを見通すのが科学ですが、先人が築き上げた信頼にタダ乗りして小銭を稼ぐようなことだけはしたくないものです。
…ま、これは最近そういうサービスで稼いでるっていう話が聞こえてきたので、馬鹿正直に臨床をやっている私が負け惜しみを言ってるっていうだけなんですけどね。