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#30 家電を修理したときの話~体験価値の重要さ~

こんにちは、GTです。
つい先日、家電の修理依頼をすることがあったので、その体験と思うところを書いていきたいと思います。

我が家では某有名家電メーカーのドラム式洗濯乾燥機を使っていますが、ドラムが回転するときに金切り音に近いような異音がしていたので、動かなくなる前に修理を依頼することにしました。

ドラム式洗濯乾燥機の仕組みとして、ドラムにベルトを引っ掛けてモーターで回すことでドラムを回転させていますが、異音の原因がモーターにあるのかベルトにあるのか、それともドラムにあるのかわかりませんでした。
メーカーに修理依頼しようにもエラーコードなどは出ていなくて、洗濯と乾燥の工程自体はできているので、修理の前に状況確認に来るような二度手間になるのは嫌だなと思い、まずは小回りが利きそうなメーカー提携のまちの電気屋に連絡することにしました。

連絡して状況を伝えると、一度状況を見に行きますねということでその日のうちに来てもらえることになり、実際に音の状況などを確認してもらうことができました。
その場で原因は特定できず、いずれにしてもメーカーの修理が必要とのことでしたが、状況を電気屋からメーカーに伝えてもらえることになり、その後はメーカーから直接こちらに連絡が来て修理日程を調整するという流れになりました。

ここまではストレスなくとてもスムーズに進みました。
ちなみに、まちの電気屋には出張料として2000円ほど支払いましたが、メーカーへの状況連絡などを地味に面倒なことをやってもらえたので、安いものだと感じます。

ただし、問題はここからです。

翌日メーカーから電話連絡があり、修理日程を調整してこちらが在宅勤務できる日にちで決めたのですが、そこで言われたのは「訪問時間はメーカー側で調整するが当日にならないとわからない。当日の朝に到着予定時間を電話で連絡する」ということでした。せめて午前か午後か教えてほしいと言っても、今はまだわかりませんの一点張り。
しかも修理日は平日です。在宅勤務といってもWEBでの打合せの予定が入ったり、関係者の都合上その日のどこかでWEB打合せを入れたいという状況が出てくる可能性は十分にあります。修理に来る時間がわからない中で迂闊に予定を入れると修理に対応できず日程を再調整することになったりするかもしれません。
メーカーの言い分を勝手に意訳すると、どの時間帯でも対応できるようにその日の予定は一切入れずに当日朝まで待っておいてください、というものになりますが、共働きも多いこの令和の時代に日中の予定を一切入れずに平気な人が一体どれだけいるでしょうか。

実際には幸い当日は仕事の予定が入らずに済み、朝9時半ごろに到着予定時間の連絡が来て1時間ほどで無事に修理が完了しましたが、この修理日程の調整から当日までの予定の不透明さはかなりストレスフルでした。

修理に来てもらった人に予定の組み方を聞いてみたところ、電話対応するオペレーターが日毎のスケジュールを組むようですが、実際の修理担当者が効率よく進むように直前に予定を変えることがあるので時間連絡が当日になるとのことでした。一応、オペレーターに午前か午後の希望を伝えたらそこは合わせるようにするとも言っていました。(今回はどうやら融通を利かせないハズレのオペレーターに当たったようです)
メーカーのオペレーションはわかったのですが、メーカーの都合だけを考慮して顧客の都合を完全に無視したオペレーションだという印象を持たざるを得ませんでした。

このような家電の修理体験をしたのですが、そこで思ったことが2つありました。

まず1つ目は、修理体験の良し悪しが買い替え時のメーカー選定に大きく影響するということ。
家電が途中で壊れることなく十分な年数を使うことができればベストですが、特に今回の洗濯乾燥機など比較的短期間で壊れやすいものもあります。壊れたときに修理がストレスなくできればまた同じメーカーのものを買おうと思うでしょうし、逆も然りでしょう。実際に妻とも次に買い替えるときは違うメーカーのものを買うようにしようかという話をしています。
メーカー側の視点で言えば、修理体験を高めることが顧客満足度を高め、さらにはライフタイムバリューを最大化するための要素の一つであると思います。修理体験から他の家電でもこのメーカーの製品を選ぼうというユーザーもいるかもしれません。今回で言えば日程の不透明さをなくすだけで修理体験を高めることができるので、ここを取りこぼしているのは非常にもったいないと思います。

そして2つ目は、修理体験がサーキュラーエコノミーの推進力の1つになること。
サーキュラーエコノミーは限られた資源を有効に、また循環させて使っていくための社会経済システムのことです。

サーキュラーエコノミー(循環経済)とは、大量生産・大量消費・大量廃棄が一方向に進むリニアエコノミー(線形経済)に代わって、近年ヨーロッパを中心に提唱されている新しい経済のしくみです。あらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図りつつ、付加価値の最大化を目指す社会経済システムを意味します。単なる環境規制ではなく、経済の仕組みを変える政策として各国が推進しており、ビジネス界もサーキュラーエコノミーを意識した活動に変化しています。

産業技術総合研究所HP https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20231011.html
経済産業省「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」より引用

以前から3Rとしてリデュース・リユース・リサイクルの考え方はありましたが、サーキュラーエコノミーでは資源の使用を最小限に進めていくために製品を修理しながら長く使っていくことも求められています。

今回の体験のように、修理する過程で大きなストレスがかかる状況があれば、修理せずに新しいものに買い替えるという判断にもなるでしょう。そうなると新たな製品をつくるために新たに資源が使用されることになるので、サーキュラーエコノミーとは逆行することになります。
修理体験を高めることで、買い替えのサイクルを長くできるのでサーキュラーエコノミーへの貢献にも繋がります。メーカーとしては買い替え需要の低下は売上には短期的にネガティブかもしれませんが、ライフタイムバリューで長期的に見ればポジティブということも言えるでしょう。

今回の修理体験はストレスが多いものとなりましたが、メーカーが顧客の囲い込みを考えたり、サーキュラーエコノミーを進める一環として、修理体験がより良いものとなっていくことを期待したいです。

ではでは、また次回お会いしましょう。

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